こんにちは。第2、第4金曜日を担当する日経バイオテク副編集長の河野修己です。
 現在、日本癌学会学術総会を取材するために大阪市に滞在しています。今年の学術総会では新たな試みとして、研究者、政治家、患者、官僚、ジャーナリストが約30人集まってのがん研究の活性化のための討論会を開催しました。時間は3時間しかなかったので、各自が数分ずつ意見を述べ合って時間切れとなり、あらかじめ用意してあった宣言をみんなの拍手で了承して終了しました。
研究者、政治家、患者、製薬企業が癌学会で討論、「がん研究のイニシアティブを取る存在が必要」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3880/
 こういう場ですから白熱した議論というわけにはいかなかったのですが、中には興味深い発言もありました。例えば、ある患者団体の代表の方がインフォームドコンセントについて、「あなたたちの説明は総じてへたくそで論理が飛びすぎ。内容も何を言っているかさっぱり分からん」(注:もう少し上品にしかも回りくどい表現を使っていましたが、翻訳するとこうなります)と釘をさしていました。
 研究者側は、この10年でインフォームドコンセントへの対応はずいぶん改善されたと考えていたはずですが、患者側とはその認識にかなりの格差があるようです。
 私がおっと思ったのは、文科省の鈴木寛副大臣の発言です。公的ながん研究支援に対する研究者側の要望は、研究費の総額もさることながら、省庁別に分割されていて全体としてみると何をやりたいのか明確でない現在の施策の在り方を、米国のNCIのような“統合参謀本部”がある形にしてくれというものです。
 鈴木副大臣は、野党時代に研究開発強化法を超党派で成立させるなど、日本の国会議員の中では科学技術政策に最も明るい人物の1人です。それだけに、大きな制度変更を伴う要望にどの程度踏み込んだ発言をするかと注視したのですが、「制度や仕組みはさておき・・・」といった感じで、正対した回答にはなっていませんでした。
 「うーん、副大臣ともなるとやはりこうなるか」。あの場にいた誰もが、こう感じたのではないでしょうか。
        日経バイオテク副編集長 河野修己