毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日のバイオテクノロジージャパン(BTJ)メールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田孝雄です。
 ここ2週間で13本ほどBTJ/日経バイオテク・オンラインで報道しましたが、ただいまカウントしてみると、「食の安全」関連が5本、「腸内細菌やプロバイオティクス」関連が4本と多くなりました。
 「腸内細菌とプロバイオティクス」のほうは、日経バイオテクに特集記事をとりまとめておりまして、再来週月曜日(9月27日)に読者のお手元に届きます。東京では毎週木曜日深夜にTV放映されているドラマ「もやしもん」でも、プロバイオティクスヨーグルトのコマーシャルが入ってます。
 前にも書きましたが、米国では「菌食」という習慣がもともとないようで、西海岸のほうから、プロバイオティクス食品が普及するようになったのは最近のことです。「もやしもん」カルチャーを持つ日本の強みを、腸内細菌・プロバイオティクスでも生かしていきたいものです。
 一方、「食の安全」は、消費者庁と消費者委員会ができて1年たって、エコナ関連などで新たな動きが目立つため、報道が増えました。
 それで今週は、函館開催の日本油化学会第49回年会を水曜日と木曜日に取材しました。昨年の名古屋で開かれた年会も取材して、トランス脂肪酸やグリシドール、エコナの関連記事をいくつか報道しました。
食品安全委員会が「高濃度にDAGを含む食用油等に関連する情報(第2報:Q&A)」を公開、「緊急に対応しなければならないほどの毒性所見は得られていない」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/5571/
「トランス脂肪酸の健康影響は、工業産と反芻産の違いがないことが分かってきた」と日本油化学会で丸山武紀・日本食品油脂検査協会理事長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/5546/
いため専用トクホ油を8月末に発売した花王、「ホスファチジン酸を添加したDAGの炒め調理機能」を日本油化学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/5400/
 今年もグリシドール、トランス脂肪酸で注目発表が相次ぎましたので、記事にとりまとめて参ります。
 油化学会をおもしろいと思う最大のポイントは、脂質の分析に詳しい専門家の方々が集まるという点です。
 日本学術会議第21期会長を務めている金澤一郎・宮内庁皇室医務主管/東京大学名誉教授/国立精神・神経センター名誉総長/国際医療福祉大学大学院教授も、国立医薬品食品衛生研究所の西島正弘所長も、脂質の研究で有名な方です。
2010年4月完成の「日本の展望」で言いたい最大のポイントは2点、金澤一郎・日本学術会議会長が「日本学術会議の最近の活動と今後にむけた決意」を岩波「科学」2010年6月号で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1537/
メタボロミクスの日本学術会議シンポに160人、「記念すべき日」と金澤一郎会長、費用のサポートは共催の日本薬学会
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8052/
塩野義が東大薬に産学連携共同研究室、1億円MS設置で有田誠准教授らのリピドミクス研究が加速
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0516/
 今回の日本油化学会で「進歩賞」を受賞なさった産業技術総合研究所の環境化学技術研究部門バイオケミカルグループの井村知弘研究員は、現在、米Scripps研究所で研究をなさっていますが、「研究所で表面張力を測っているのは私ぐらい」とお話しでした。受賞の対象となったのは「天然両親媒性物質が形成コロイド次元分子集合体の調製とその応用に関する研究」。
 脂質はそもそも分子が多様ですし、取り扱いの難しさもあり、生体でどんな役割をしているのか、不明がことが多いようです。今後の研究の発展で、日本らしさ、が生かせるのではと思います。
 分子生物学でゴリゴリというのは、なかなか米国にかなわない部分があるかとおもいますが、界面科学などほかの評価法、分析・合成技術などと組み合わせると、世界に先駆けて研究ができるのでは、と感じました。
 日本油化学会では、浜松医科大学の質量顕微鏡(イメージングマススペクトロメトリー)の演題も4つありました。おもしろかったので、報道してまいります。
 メール原稿の締切時間になりました。ここ2週間で報道した直接担当の記事のリストを、短いコメントつきで紹介させていただきます。
※BTJ/日経バイオテクオンラインの記事【コメント】
腸内細菌は宿主のフェノール代謝系とインドール代謝に影響、慶大と実中研がCE-TOF MSでメタボローム解析
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3711/
【腸内細菌の研究はオミックスで成果が挙がってきました。今回発表されたのは宿主側のメタボロームです】
ガセリ菌SP株の内臓脂肪低減効果を欧州誌に論文発表、sICAM-1上昇抑制作用は学会発表、プレスセミナーで雪印メグミルク研究所主幹が解説
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3713/
【宿主を痩せさせる腸内細菌の研究が、米国発の論文をきっかけに注目を集めています】
サントリーがプロテクト乳酸菌サプリを新発売、ウイルス抵抗力高める効果を8月の国際免疫学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3707/
【前回記事とりまとめたときに、サントリーは、「プロテクト乳酸菌」の商標を出願してました】
「Nutri-metabolomics」の第5回メタボロームシンポジウムが鶴岡で開幕、参加登録者数は250人超
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3625/
【「Nutri-metabolomics」を掲げた今回は、今年秋にデビューする山形の新たなお米「つや姫」の新たな分析結果も発表されました】
リスク評価の会合を公開にすべきか否かは専門家間でも見解相違、近く開催のエコナWGは公開
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3606/
【日本でもリスク評価の会合の公開の範囲について再度、検討してみる必要があるように思います】
WHO国際がん研究機関が評価しているのはHazardだがタイトルはRiskのまま、オランダ語とドイツ語ではRiskとHazardは同じ単語
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3605/
【日本には外来語をカタカナ表記できて便利ですが、言葉の定義・意味を広めるのは大変に思います】
東大農「食の安全研究センター」が連日開催のリスクコミュニケーション講演会、9月7日は188人、9月8日は136人が参加
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3601/
【2日間とも盛会だったようです】
アンチエイジングでも注目のオレアノール酸、阪大などが共発現解析でマメ科植物の生合成酵素を同定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3571/
ストリーマ放電で結核菌を分解、ダイキンが慈恵医大などと共同で実証
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3567/
【家電メーカーが進めている医学系との共同研究の成果と発表の仕方にも注目です】
冊子「『エコナ』と食の安全・コミュニケーション」を花王が発行、食の専門家や報道関係者が対象
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3555/
【内容が充実した冊子です】
食品安全委員会が「エコナ」に関するWG議論を近く開始、委員数は前回WGの3倍
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3554/
【安全性の議論にはたいへんなパワーが必要です】
日本脂質栄養学会の策定委員会、「長寿のためのコレステロールガイドライン2010年版」を取りまとめ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3523/
【日本動脈硬化学会は昨年末、あやふやなLDLコレステロールを基準値とするのはとりやめてトータルコレステロールに戻したことも話題になってまいした】
続報、ガラクトオリゴ糖を含むビフィズス菌発酵飲料が肌の乾燥を抑制、ヤクルトが学会発表の成果を記者説明会で紹介
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3459/
【ガラクトオリゴ糖単独でも美肌効果を得られますが、ビフィズス菌と組み合わせるとより少量(数分の1)のガラクトオリゴ糖で同様な効果あり】
 上記の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテク」のご購読が必要です。申し込みはこちらから。
→ http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 最後に、先月末に発行・公開したBTJジャーナル2010年8月号の紹介です。
BTJジャーナル2010年8月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1008
 巻頭の“緑”コーナーは「アカデミア・トピックス」。東京大学の分子細胞生物学研究所が、応用微生物学研究所の改組で1993年に発足してから初めてとなる大規模な改組を2010年度に進めています。4月にはエピゲノム疾患研究センターが発足し、7月には高難度蛋白質立体構造解析センターが発足しました。
 “青”コーナーは「リポート」。第6回日本疲労学会総会・学術集会が2010年6月25~26日に大阪市で開かれました。会長を務めた関西福祉科学大学の倉恒弘彦教授は、厚生労働省の研究班で慢性疲労症候群(CFS)の指針策定を急いでいます。早ければ10月にも指針を作成し、来年1月にも発表する。オミックス研究など、第6回学術集会で発表された最新の成果も客観的に総合評価した上で、指針の策定を進めていく考えです。
 “赤”コーナーは「キャリア」。文部科学省が「平成21年度 大学等における産学連携等実施状況について」を発表しました。1107大学等のアンケート調査に基づき、共同研究や受託研究、発明状況などを分析しています。ライフサイエンス分野の共同研究や受託研究の件数や、治験等収入の増加が浮き彫りになりました。調査報告書の最後には、産学連携や特許に関する11種類の順位付け一覧表も掲載しました。
 “黄”コーナーは「コミュニティ」。BTJのテーマサイト「BTJアカデミック」では、東京大学の分子細胞生物学研究所の大規模改組の記事がアクセストップとなりました。2位には最先端研究開発支援プログラムに対する総額97億円の追加支給の記事、3位には、東大先端科学技術研究所のスーパーコンピューターの記事が入りました。
 BTJジャーナル2010年8月号(第56号)の目次は以下の通りです。
●CONTENTS
東大分生研の改組
日本疲労学会 CFS指針
産学連携の文科省調査
P.2 アカデミア・トピックス
東大の分子細胞生物学研究所が
初の大規模改組を実施
P.4 リポート
大阪で日本疲労学会
CFS指針の作成にオミックス活用
P.9 キャリア
大学等の産学連携等実施状況
文科省が平成21年版を発表
P.13 BTJアカデミック・ランキング
トップは東大分生研の改組
P.16 技術シーズ・レター
ライフサイエンス分野 Vol.6
P.20 奥付け