まずは御礼から。明日、東京品川で開催されるBTJプロフェッショナルセミナー「ヒトES細胞/iPS細胞(in vitro use)」にご登録ありがとうございました。おかげさまで満員札止めになりました。また、多数の方と議論できることを楽しみにしております。12月21日にはヒト幹細胞のin vivo useのセミナーも開催する予定ですので、どうぞ時間確保願います。
 本当は今頃、ナダルとジョコビッチの熱戦が繰り広げられているはずですが、テニスのUSオープンが開かれているニューヨークは雨、試合開始が伸びています。グランドスラムと呼ばれるテニスの4大大会のうち、ドーム型の室内コートがないのが、USオープンと全仏です。全仏は近くローランギャロスのテニスコートが移設される予定で、頑固なニューヨークのフラッシングメドウのみが、野外での試合に拘る結果となりました。新しもの好き、TVの放映権で全てのスポーツビジネスが決まるアメリカが何故、ここだけ保守的なのかは、まったくの謎です。
 長友選手を擁するセリエAの弱小チーム(と思われていた)、チェザーネがまたやりました。何と、セリエAの常勝チームACミランを2対0で完封してしまいました。後半長友の反則でPKを蹴ったイブラヒモビッチの球はポストに当たるという幸運もありましたが、彼の年棒の方がチーム全員を合わせた年棒より高いチェザーネが意地を見せました。長友はACミランのフォワード、パトを完全に封じ勝利に貢献しました。献身を要求されるサイドバックの日本人選手の評価は鰻登りです。
 バイオでも評価が鰻登りなのが、次世代DNAシーケンサーです。
 全世界では1500台以上、我が国でも推定100台以上が稼働中です。まさに、バリバリと音を立てて、ゲノム情報が解読されています。年末までには、日本人のゲノム情報も50人分(以前150人と伝えましたが、楽観的過ぎました。訂正いたします)は解読される見込みです。何度もこのメールで申し上げていますが、このマシンはバイオテクノロジーを変えてしまいます。
 先週の金曜日、東京で開催された日本学術振興会ゲノムテクノロジー第164委員会のシンポジウム「次世代シーケンサーの衝撃」は、次世代シーケンサーがバイオをどう変えるか展望するには絶好の機会となりました。まるで民間のセミナーのようなタイトルで、内容も面白かったのですが、敢えて言えば、ここまで出遅れてしまった日本の研究体制をどうするか、といった発展性のある提案がまったくないのが非常に物足りない。
 ヒトゲノム解読完了で、ゲノムは終わったと判断した旧科学技術庁の歴史的愚かさと日本政府の資金不足だけが、我が国が国際的なゲノム研究プロジェクトからどんどん脱落している原因ではないということが良く分かりました。ことここに至っても、自分達の研究だけ満足すれば良いという小さな小さな小さなエゴイズムの集合体に留まっていては、世界から大きく遅れます。アカデミアの先見性と構想力の不足が、我が国のゲノム研究の基盤整備を大きく遅らせている原因です。
 早急に、以下の議論をアカデミアとしてまとめて政府や社会に提案すべきです。
1)我が国に大型ゲノム解読センターが必要なのか、どうか?
2)ゲノム解読後に待ち受けている、遺伝子の機能解析に必要な広範な医学・生物学的研究を推進する体制の革新をどう行うか?遺伝子発見の速度に対応する機能解析研究体制とは何か?
3)以上の結果から得られる創薬標的やバイオマーカーをどうやって社会に還元するのか?
4)安全性と経済性を評価するレギュラトリーサイエンスや許認可体制の革新をどう行うのか?
5)1)から4)までの革新を、全体として最も効率良く進めるためのマネージメント体制はどうしたらよいのか?
 とてもゲノム研究者だけでは回答が出ないと思いますので、是非とも日本学術会議などで真剣に、そして早急に議論していただきたいと考えます。
 もう一つ、先週の金曜日のセミナーで国立遺伝研究所の大久保教授が「一体、どれだけの次世代シーケンサーが今日本に稼働しているのか、まったく分からない。これが分からなければ、DDBJでゲノム解析の生データの収集を行っているが、どれだけストレージを将来確保すれば良いか、対策の打ちようがない」と嘆いているのが、印象的でした。ゲノムコホートなどを予測して、それでも20万人分のゲノム情報に対応したストレージを用意するとおっしゃっていました。総合科学技術会議も、ビッグプロジェクトを打ち上げるなら、その波及する技術開発やインフラ整備まで、視野に入れなくては、その知性を疑われます。
 全世界では下記のサイトに自主的に研究者が次世代シーケンサーの保有台数を自主的に登録、欧米のゲノムデータベースは予め予測を立てて余裕あるストレージを準備することができます。日本はどうか?たった11台しか登録されていません。科研費でもそうですが、どうも費目の流用など、我が国の研究者が正々堂々と研究できない仕組みが残り、しかも大型機器を購入した研究者が嫉妬されることを恐れて公表しないなど、まったくどうしようもない、ガバナンスがない状況で科学研究が行われています。ここも正さないと、我が国の科学は、まったく我が国の諸芸が家元制度による口伝に近い、似非科学のままに留まります。唯一、科学の発展が保証されるのは、公開による相互批判、仮説の修正と真実への接近を許す風土です。近年、我が国で頻発している捏造問題もここに根っこが存在すると、懸念しています。まさに、我が国の科学の品性が問われているのです。
http://pathogenomics.bham.ac.uk/hts/hts/stats
 皆さん、正々堂々と科学するインフラを早急に作り上げましょう。額に縦皺を寄せて、これが真実だなんて力んでいる時間はありません。
 正々堂々といえば、産学連携、オープンイノベーションにも必要です。9月29日から、パシフィコ横浜で開催する我が国最大のバイオ展示会・シンポジウムBioJapan2010では正々堂々と、我が国民の税金で支援された皆さんの技術シーズやアイデアを一刻も早く、国民に還元するために、産学連携を国際的に支援します。日米欧のビッグファーマやベンチャーに加え、今年は中国や韓国などアジアからも多数、皆さんとの共同研究やライセンスを求め、ご参加いただきます。
 求められよ、さらば与えられん。どうぞ、下記のBioJapan2010のパートナリングサイトからご登録、オープンイノベーションの輪にご参加願います。一切費用は無用です。登録は7分で終了いたします。どうぞ一人でも多くの方が、次の飛躍を掴むことを期待しています。取材のお申し込みもどうぞ下記からお願いいたします。
https://exponet.nikkeibp.co.jp/match2010/?action_login_input=true
 月末に横浜でお会いいたしましょう。今週もお元気で。
 
               
                Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
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<<BTJブログWmの憂鬱>> 
最新一週間の記事  http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
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2010-09-08  
BTJブログWmの憂鬱2010年09月08日、昨年、欧州と米国で承認を獲得した抗血小板薬「Effient/Efient」は、第一三共の期待の新薬、日本の製薬企業も海外へ進出
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3603/
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2010-09-06  
BTJブログWmの憂鬱2010年09月06日、日本に残すべきは製造業か?知的産業とサービス産業か?
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3553/
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大学順位付けのトップに北里大、東北大、自治医大、慶大、国際大
文科省の大学等産学連携の調査結果を「BTJジャーナル」2010年8月号に掲載
BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年8月号を先月末(8月25日)に発行・公開しました。
 “赤”コーナーでは、文部科学省が8月に発表した「平成21年度 大学等における産学連携等実施状況について」を取り上げました。1107大学等のアンケート調査に基づき、共同研究や受託研究、発明状況などを分析しています。
 ライフサイエンス分野の共同研究や受託研究の件数や、治験等収入の増加が浮き彫りになりました。調査報告書の最後には、産学連携や特許に関する11種類の順位付け一覧表も掲載しました。
BTJジャーナル2010年8月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1008
 以下にBTJ/日経バイオテク・オンラインの関連報道記事一覧を示します。この記事を元に、今回の記事をまとめました。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの文科省「大学等産学連携」調査の関連記事リスト
続報、文科省の産学連携調査、大学ランキングのトップに北里大、東北大、自治医大、慶大、国際大
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3164/
大学等の治験等収入が民間企業からの共同研究費受入額の半分超に、ライフは共同研究件数が初の5000件超で受託研究件数が初の8000件超
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3163/
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年8月号(第56号)のコンテンツを目次にて紹介します。
●CONTENTS
東大分生研の改組
日本疲労学会 CFS指針
産学連携の文科省調査
P.2 アカデミア・トピックス
東大の分子細胞生物学研究所が
初の大規模改組を実施
P.4 リポート
大阪で日本疲労学会
CFS指針の作成にオミックス活用
P.9 キャリア
大学等の産学連携等実施状況
文科省が平成21年版を発表
P.13 BTJアカデミック・ランキング
トップは東大分生研の改組
P.16 技術シーズ・レター
ライフサイエンス分野 Vol.6
P.20 奥付け