こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本です。
 先週のメールで、幾つかのバイオベンチャーに前向きな動きが出てきたと紹介させていただきましたが、今週は、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)が富士フイルムと資本提携して、40億円の出資を受けるという大きな話題がありました。2010年3月期の決算説明会のときからJ-TECの小澤社長は、2010年3月期末の現金および預金は14億円しかなく、「回転資金が月1億円なので、このまま1年何もしないと継続性に疑義が発生する。今期大きなイベントがあると思う」とにおわせていましたが、つまりこういうわけだったのです。
富士フイルム、J-TECに40億円を出資、ニデックを超える筆頭株主に、技術面の連携にも期待
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3395/
J-TEC決算説明会、「患者死亡などでジェイスの製造中止となるのは注文を受けたうち約3割」と小澤社長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1237/
 それにしても、富士フイルムの医薬・医療分野への力の入れようは、目を見張るものがあります。新薬の研究開発を行う富山化学工業のほか、放射性医薬品の富士フイルムRIファーマ、抗体ベンチャーのペルセウスプロテオミクスなどを相次いで子会社化したほか、2010年2月には、医薬品販売会社の富士フイルムファーマを、三菱商事などと合弁で設立しています。
続報、富士フイルム、医薬品開発・販売会社を新設、1兆円ビジネスの実現へ基盤整備、バイオ医薬にも注力か
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8615/
日経バイオテク4月26日号「キーパーソンインタビュー」、富士フイルム取締役常務執行役員・戸田雄三ヘルスケア事業統括本部ライフサイエンス事業部長に聞く
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0601/
 また、フイルム用のゼラチンを扱ってきた延長で、遺伝子組み換えコラーゲンペプチドの生産技術も有し、それを再生医療のスキャホールド用の材料として利用する研究を行っていると聞いていました。今回、J-TECの筆頭株主となることで、連携体制を強化し、再生医療分野で大きな足がかりを得た格好です。
 再生医療では東京女子医科大学のグループも、さまざまな企業と共同で研究開発を進める体制を築き上げています。両グループが切磋琢磨しあい、規制側や医療提供者、患者団体なども巻き込んでいけば、日本が再生医療分野で世界をリードする可能性は大いにあると思います。iPS(人工多能性幹)細胞の研究だけでなく、再生医療分野全体を盛り上げていく必要がありますが、将来の大きな産業展開に向けてまた一歩前進した思いを強くしています。
 話題は変わりますが、昨日、東京大学医科学研究所の清野宏教授のコメ型ワクチンの取材をしてきました。遺伝子組み換え技術によって、コメの中に抗原たんぱく質を発現させ、それを粉末にして経口投与し、腸管粘膜免疫を誘導するというのがそのコンセプトです。遺伝子組み換え技術で植物中に抗原を発現させる「食べるワクチン」というコンセプトはこれまでもありましたが、そうではなく、あくまでも医薬品として粉末にしたコメを錠剤やカプセル剤の形で経口投与するというものです。「コメを炊いたら抗原はどうなるのかという質問を受けるけれど、コメのまま粉末にして投与しようと考えている。あくまでも医薬品としての開発を目指す」と清野教授は強調していました。詳細はこれから日経バイオテク・オンラインで紹介しますが、こういう日本発のユニークな技術が実用化されるためには、規制側が柔軟な発想でサポートすることが不可欠です。再生医療にしてもそうですが、アイデアが斬新であれば斬新であるだけ、規制の壁を越えるのは難しくなりますが、他に追随を許さない展開の可能性も出てくるのです。イノベーションの芽を引き伸ばす社会を目指していきたいものです。
 9月14日の「ES/iPS細胞創薬応用セミナー ~in vitroでの産業応用の技術突破~」と題したBTJプロフェッショナルセミナーは残席わずかです。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20072688
 また、9月29日から10月1日にかけては、BioJapan2010を開催いたします。今年も皆様のビジネスに寄与するようなセッションを多数用意いたしました。また、オープンイノベーションの場として利用できる仕掛けも幾つか設けていますので、ぜひご参加いただければと思います。
http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/
 本日はこの辺りで失礼します。
 日経バイオテク・オンラインの記事全文をお読みいただくには、日経バイオテク本誌の読者になっていただく必要があります。日経バイオテク本誌のお申し込みは、以下からお願いします。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/index.html
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
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オミックスなど第6回日本疲労学会の最新の成果をリポート
慢性疲労症候群(CFS)のガイドライン策定が急ピッチ
「BTJジャーナル」2010年8月号を発行・公開
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年8月号を先週水曜日(8月25日)夜に発行・公開しました。
 “青”コーナーのリポートは、2010年6月に大阪で開催された第6回日本疲労学会の話題を5ページにわたってお届けしています。慢性疲労症候群(CFS)の評価方法や診断指針の作成が厚生労働省らの研究班によって急ピッチで進んでいます。疲労学会で発表された最新のオミックスの成果なども客観的に総合評価した上で、指針を策定する予定です。
BTJジャーナル2010年8月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1008
 以下にBTJ/日経バイオテク・オンラインの“疲労”に関連する報道記事一覧を示します。このうち、日本疲労学会の部分を中心に、今回のリポート記事をとりまとめました。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの疲労関連の最近の記事リスト
日水製薬と星薬科大、OTC薬「コンクレバン」の抗疲労メカニズムを検証
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3392/
総医研HD梶本修身取締役、9月にイミダペプチド飲料をトクホ申請へ、
ヘルスクレームの範囲狭めて再度挑戦
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3318/
総医研HDの2010年6月期決算、生体評価システム事業が初の赤字転落、化粧品事業も赤字、「サイエンスワン」などフロメド事業は譲渡へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3317/
詳報、慢性疲労症候群ガイドラインに向けた客観的評価法が出そろう、第6回日本疲労学会にて知見発表が相次ぐ(その2)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2553/
詳報、慢性疲労症候群ガイドラインに向けた客観的評価法が出そろう、第6回日本疲労学会にて知見発表が相次ぐ(その1)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2552/
続報、慢性疲労症候群のガイドライン、今秋をめどに策定して2011年初めに発表へ、第6回日本疲労学会で会長の関西福祉科大の倉恒弘彦教授が言及
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2438/
続報、大阪市大の梶本修身教授がイミダペプチド戦略に言及、「市場に支持されるには第3者機関を設け自主基準を望む」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1789/
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年8月号(第56号)のコンテンツを目次にて紹介します。
●CONTENTS
東大分生研の改組
日本疲労学会 CFS指針
産学連携の文科省調査
P.2 アカデミア・トピックス
東大の分子細胞生物学研究所が
初の大規模改組を実施
P.4 リポート
大阪で日本疲労学会
CFS指針の作成にオミックス活用
P.9 キャリア
大学等の産学連携等実施状況
文科省が平成21年版を発表
P.13 BTJアカデミック・ランキング
トップは東大分生研の改組
P.16 技術シーズ・レター
ライフサイエンス分野 Vol.6
P.20 奥付け