日陰に入ると、少し涼しい風がさすがに東京でも吹いて参りました。先週、試しに、横断歩道を渡っている時間だけ、放電させた太陽電池のキーホルダーを太陽に向けたところ、なんと充電できてしまい、LEDが白々と光ったのを見て、やっぱり今年の夏の日差しは体に悪いと実感しました。皮膚のDNAはかなりずたずたになっているのではないでしょうか?
 日本では真夏ですが、欧州では既にサッカーシーズンが始まりました。セリエAに移籍した長友選手の開幕戦は高い評価を獲得しました。極めて口うるさいイタリアの新聞各紙が、7点満点で6点を付けるほどでした。セリエBから昇格したばかりの弱小チーム、チェゼーナの左サイドバックとして、アウェイで強豪、ローマを冷りとさせた働きは見事。0対0でも勝利同然です。この他、テニスの全米オープンも始まりますし、また忙しいスポーツの秋が目前に迫りました。
 さて、皆さんはもうお申し込みいただけましたか?残席本当に僅かになりつつあります。ヒトES細胞/ヒトiPS細胞の創薬や安全性研究に的を絞り、実用化の現状と課題を、先端研究者、製薬企業、行政、そして許認可機関を一堂に会して、議論するBTJプロフェッショナルセミナーを、9月14日の午後、東京品川で開催いたします。
 この分野の実用化は急速に展開しています。創薬しかり、そして安全性研究で動物実験の重複を排除すべく欧州化学庁も走りだしており、その中でヒトES細胞/ヒトiPS細胞研究は代替法の一つとして脚光を浴びております。昨年にはGE社もヒトES細胞を米Geron社からライセンスし、創薬支援研究に参入しました。そのGE社の担当者も招き、国際的な動向も含めて、ヒトES細胞/ヒトiPS細胞研究で最初に商品化されることが確実な創薬支援・安全性研究に絞って、皆さんと議論したいと思っております。どうぞ下記より奮ってお申し込み願います。今なら、間に合います。
 皆さんの参加と発言を、心から期待しています。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100914/
 さてバイオです。
 昨夜も菅首相が密談に良く使うホテルニューオータニの駐車場入り口には、マスコミが雲集していました。9月14日の民主党の代表選の結果次第では、どうなるか分からない状況です。2011年度の予算作業も事実上は中断されているようなもの。霞が関では予算編成期の緊張感がやや緩んでいるような感じです。
 先週末、鶴岡の慶応義塾大学先端生命科学研究所で、バイオファイナンスギルド第
9期の実習をやって参りました。今回の参加者は皆、大学や企業で遺伝子操作ぐらい
こなしたつわものばかりで、私のみ足を引っ張っている状況でした。おかげで、好熱
性細菌のDNA合成酵素を精製、PCRすることにも簡単に成功しました。
 今年の実習のハイライトは、この秋から本格的に山形県が新米として出荷する「つや姫」の官能試験と、メタボローム分析による品種間の成分分析が一致するかどうか、でありました。この実習を始めたころは、メタボロームの技術開発が始まったばかりで、代謝産物がヒトの10倍以上も存在する植物を分析できるようになるとは、誰も思っていなかったと確信していますが、今ではイオン性物質だけですが、CE-MSでざっと500以上の代謝産物を網羅的に定量可能です。もっとも、現在のデータベースでは、そのうち100数10のピークを同定できるだけです。残り400は標準物質が、不足しているために定量できない。メタボロームの技術的なボトルネックです。鶴岡の慶応義塾大学では自ら化学ラボを開設、標準物質を購入できない化合物の合成を着手しています。
 つや姫のゲノムは70%から80%、コシヒカリと共通ですが、炊きあがりを見れば歴然、米粒が真っ白で艶々しています。これが品種名の根拠となりました。今回も10人以上が官能試験を行いましたが、全員が対象としたひとめぼれとトヨニシキよりも美味しいと評価しました。圧倒的な品種力であります。少し粒が大きくて長いのを除けば、否定的な評価は皆無でありました。山形県が総力を挙げて、つや姫を売り出すプロジェクトを展開しています。当然のことながら、今年J1に昇格した山形の誇りモンテディオ山形のゲームシャツの胸には、つや姫の文字が躍っております。和服姿の山形県知事を全面に押し出して、この秋から大キャンペーンが始まります。
http://www.tuyahime.jp/
 ところでメタボローム分析の結果はどうだったのか?なんと、遊離呈味アミノ酸の含量が他の品種の数倍と圧倒的な結果でした。私たちの実験手技のミスではないかと思うほど。幸いにして、コントロールになった第三者の成績でも、甘みや旨味を示すアミノ酸成分が群を抜いて多品種を圧倒しておりました。まだ、核酸成分など、味覚に関する成分を解析する必要がありますが、いずれにせよ、メタボロームで、農産物の品質管理や解析が可能であることを実感させました。今後、食品企業が持っているノウハウと、メタボロームによる代謝産物のプロファイルを組み合わせれば、味の謎の解明が急速に進むのではないかと思います。
 コシヒカリとでんぷんの成分はほぼ一緒、但し、多肥などでたんぱく質含量が増加する場合、炊き上げた米粒がやや堅くなるので、山形県は米のたんぱく質含量に上限を設け、出荷基準としています。私が知る限り、我が国のお米で出荷基準を、含有成分で決定したのはこれが初めてではないでしょうか?
 農産物にも技術革新を導入すれば、消費者の喜んでもらう品質を恒常的に提供できるようになる。敢えて農業の工業化とは言いたくありませんが、いずれにせよ、我が国の農業が家業から産業に転換しなくては、生き残っていかれない現状では、一縷の望みが見えたと、鶴岡で確信いたしました。
 皆さん、今から焦ってつや姫を買いに走っても無駄です。今年の新米は10月10日、全国一斉発売です。
 まだまだ暑い日本です。どうぞご自愛願います。
                
                Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
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<<BTJブログWmの憂鬱>> 
最新一週間の記事  http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
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2010-08-25   
BTJブログWmの憂鬱2010年08月25日、ヒトES細胞研究が再び禁止となる仮処分差し止め命令で、米国は大混乱状態に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3316/
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2010-08-23  
BTJブログWmの憂鬱2010年08月23日、なぜヒトiPS細胞はバンクがより実用的なのか?
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3276/
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慢性疲労症候群(CFS)のガイドライン策定が急ピッチ
オミックスなど第6回日本疲労学会の最新の成果をリポート
「BTJジャーナル」2010年8月号を発行・公開
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年8月号を先週水曜日(8月25日)夜に発行・公開しました。
 “青”コーナーのリポートは、2010年6月に大阪で開催された第6回日本疲労学会の話題を5ページにわたってお届けしています。慢性疲労症候群(CFS)の評価方法や診断指針の作成が厚生労働省らの研究班によって急ピッチで進んでいます。疲労学会で発表された最新のオミックスの成果なども客観的に総合評価した上で、指針を策定する予定です。
BTJジャーナル2010年8月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1008
 以下にBTJ/日経バイオテク・オンラインの“疲労”に関連する報道記事一覧を示します。このうち、日本疲労学会の部分を中心に、今回のリポート記事をとりまとめました。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの疲労関連の記事
総医研HD梶本修身取締役、9月にイミダペプチド飲料をトクホ申請へ、ヘルスクレームの範囲狭めて再度挑戦
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3318/
総医研HDの2010年6月期決算、生体評価システム事業が初の赤字転落、化粧品事業も赤字、「サイエンスワン」などフロメド事業は譲渡へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3317/
詳報、慢性疲労症候群ガイドラインに向けた客観的評価法が出そろう、第6回日本疲労学会にて知見発表が相次ぐ(その2)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2553/
詳報、慢性疲労症候群ガイドラインに向けた客観的評価法が出そろう、第6回日本疲労学会にて知見発表が相次ぐ(その1)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2552/
続報、慢性疲労症候群のガイドライン、今秋をめどに策定して2011年初めに発表へ、第6回日本疲労学会で会長の関西福祉科大の倉恒弘彦教授が言及
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2438/
続報、大阪市大の梶本修身教授がイミダペプチド戦略に言及、「市場に支持されるには第3者機関を設け自主基準を望む」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1789/
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。
申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年8月号(第56号)のコンテンツを目次にて紹介します。
●CONTENTS
東大分生研の改組
日本疲労学会 CFS指針
産学連携の文科省調査
P.2 アカデミア・トピックス
東大の分子細胞生物学研究所が
初の大規模改組を実施
P.4 リポート
大阪で日本疲労学会
CFS指針の作成にオミックス活用
P.9 キャリア
大学等の産学連携等実施状況
文科省が平成21年版を発表
P.13 BTJアカデミック・ランキング
トップは東大分生研の改組
P.16 技術シーズ・レター
ライフサイエンス分野 Vol.6
P.20 奥付け