こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本です。
 6月期と12月期の決算企業が決算説明会を行う時期で、幾つかの企業に取材してきました。バイオベンチャーの決算説明会に行くと、企業の勢いの違いをひしひしと感じさせられます。会議室にほんの数人、まばらにしか人がいない会社もあれば、座るところを探さなければ着座できないという会社もあります。私たちが取材で参加する決算説明会は、証券アナリストや機関投資家の方たちが参加しておられるのと同じものだけに、あまりにも人が少ないとちょっと痛々しくなってきます。もっとも、上場したものの計画通りに事業が進まず、あれこれと模索する中で注目されなくなっていったという会社もあるでしょう。そういう会社はともかくとしても、バイオベンチャーの場合は将来の夢に対して投資を得ているという側面が大きいだけに、投資家とは蜜に連絡を取り、事業内容を説明して理解を求めていくという姿勢が不可欠です。現状の経営環境では、説明する内容を作り出していくのも大変かもしれませんが。
 既に上場しているベンチャー以上に厳しい経営環境にさらされているのが未上場のバイオベンチャーです。薬事の規制などと格闘しながら何とか事業を進めてきたところも、これだけ資金調達が難しい環境が続くと、息も絶え絶えになってきているところが何社も出てきていると聞きます。
 そんな中でも何とか前向きに頑張っている会社を取材するのは楽しいものです。先日も、何年かぶりにメドレックス(香川県東かがわ市)という会社に取材する機会がありました。この会社はゼリー剤や経皮吸収剤などの薬物送達システム(DDS)技術を有し、製薬企業と提携して既存薬の剤型を変更した医薬品を開発する戦略の企業です。この企業が09年から米国で消炎鎮痛貼付剤の臨床開発を開始しており、2010年7月にはフェーズIIIを開始しました。米国での開発に乗り出したのは、既存薬の有効成分を新投与経路で開発する際の臨床開発コストが大きく低減できるからです。米国では非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)を有効成分とする経費吸収剤の市場はまだ立ち上がり始めたところで、開発に成功すれば大きな市場を獲得できる可能性があります。フェーズIIIで有効性を示せるかという課題はありますが、前向きな話題として注目できます。詳細は、日経バイオテク・オンラインで記事にしたので、そちらでお読みください。
メドレックス、米国で消炎鎮痛貼付剤のフェーズIIIを開始、順調なら2013年に発売へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3312/
 バイオベンチャーだけに限る話題ではありませんが、再生医療に関連して、企業が集まって提言などを行う組織、「再生医療イノベーションフォーラム」の設立準備委員会が動き出したという記事もまとめました。再生医療に関しては、日本再生医療学会がこれまでさまざまな提言を行ってきましたし、企業の業界団体としても日本医療器材工業会の中に再生医療部会というのがあります。ただし、再生医療の産業化には、医療器材や細胞培養装置、器具などに限らず、製薬企業や保険会社、そのほかの業種も含めて大きな枠組みで事業のあり方を検討し、政策提言を行っていかなければならないということで、今回のフォーラムの構想に結びついたようです。
 日経新聞には川崎重工業やオリンパス、テルモ、大日本印刷などの名前が出ていましたが、「設立準備委員会への参加に、会社の許可を得ていない人も多いので、まだ企業名は伏せて欲しい」とのことで、日経バイオテク・オンラインの記事では企業名は伏せてあります。いずれ、患者団体などともオープンに意見交換していきたいということですから、もっとオープンに運営されるようにも思いますが、再生医療分野に興味を持っていることすらまだ伏せておきたいと考えている企業もあったりするのでしょう。産みの苦しみといったところでしょうか。
再生医療イノベーションフォーラムが設立準備委員会を開催、再生医療の産業化促進を目指す
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3295/
 いずれにせよ、ここのベンチャーの事業化が進展することも重要ですが、1社の努力では克服できない問題を、関係者がすべて集まるような大きな組織で議論して、道を拓いて行くことも重要です。その意味で、再生医療の産業化の進展に、大いに注目したいところです。
 再生医療の関連では、9月14日にBTJプロフェッショナルセミナーを開催します。「ES/iPS細胞創薬応用セミナー ~in vitroでの産業応用の技術突破~」。まだお申し込みいただいていない方は、お急ぎご参加ください。
 http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20072688
 本日はこの辺りで失礼します。
 日経バイオテク・オンラインの記事全文をお読みいただくには、日経バイオテク本誌の読者になっていただく必要があります。日経バイオテク本誌のお申し込みは、以下からお願いします。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/index.html
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
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日本分子生物学会の第10回春季シンポジウムに140人が泊まりこみ
日本の論文数推移をトムソン・ロイターが解析
「BTJジャーナル」2010年7月号を発行・公開
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年7月号を先月末(7月23日)に発行・公開しました。
 “赤”コーナー「キャリア」では2つの話題をとりあげました。
 まずは、日本分子生物学会の第10回春季シンポジウム。「分子を語る、分子で語る」をテーマとして2010年6月7~8日に宮城県松島で開催され、第1回以来となる合宿形式に140人が参加しました。
 もう1つは、トムソン・ロイターが発表した「グローバル・リサーチ・レポート:日本」の話題です。科学技術論文の被引用データベースの大御所でもあるトムソン・ロイターが解析した、日本の論文数の推移を示す折れ線グラフも掲載しました。
BTJジャーナル2010年7月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1007
 以下のBTJ/日経バイオテク・オンラインの報道記事を中心に、記事をとりまとめました。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの関連記事
日本分子生物学会第10回春季シンポに150人、世話人の東北大学企画のエピジェネWSは質疑20件近くで時間を大幅超過
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1585/
日本の海外共著機関のトップは中国科学院、トムソン・ロイターが日本の科学研究動向レポートを解説
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2269/
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年7月号(第55号)のコンテンツを目次で紹介します。
●CONTENTS
事業仕分けと文科省施策
日本エピジェネティクス研究会
日本分子生物学会春季シンポジウム
「グローバル・リサーチ・レポート:日本」
P.2 アカデミア・トピックス
政権交代と事業仕分け
文科省の新施策発表
P.5 リポート
米子でエピジェネティクス研究会
来年は熊本、再来年は東京で開催
P.9 キャリア
松島で分子生物学会春季シンポ
P.10 キャリア
「グローバル・リサーチ・レポート:日本」
P.11 BTJアカデミック・ランキング
トップ10に文科省4本、iPS細胞4本
P.12 奥付け