毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日のバイオテクノロジージャパン(BTJ)メールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田孝雄です。先週は後半にBTJメールのお休みをいただきましたので、金曜日のBTJメールも2週間ぶりになります。
 ただいま来週水曜日(8月25日)に発行・公開する「BTJジャーナル」2010年8月号の編集・制作作業を進めております。
 ここ数年、取材の重点テーマとしている「学術ジャーナル」について、一昨日は、日本動物学会の事務局長の永井裕子さんにお話しをうかがい、昨日は、東京大学附属図書館情報管理課長の尾城孝一さんにごあいさつしました。
 永井さんも、尾城さんも、このほど日本学術会議がまとめた、学術ジャーナル問題に関する提言の審議をなさった委員をおつとめになられた方です。
円高で問題先送りの学術誌ミニマムアクセス危機、日本学術会議が「包括的コンソーシアム」創設を提言
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3190/
 海外の学術ジャーナルの価格が毎年8%くらいずつ値上げされるなど、価格の高騰が続いていて、主な購入者である大学図書館などが、購読を継続するためにいろいろと苦労なさっているようです。購読料はドルベースなので、円高傾向が続いている間は、値上げの一部が為替差益で吸収されているのですが、円安に振れると、この問題の顕在化は一気に拡大しそうです。
 総理府が6月に開催した仙台ミーティングで東北大学の数学科の教授の方に、「数学の研究で予算確保で一番影響があるのは、コンピュータですか」とうかがったところ、「学術ジャーナルの購読料の確保に苦労しているところが多い」と教えていただきました。
内閣府が「科学・技術ミーティング」の第2回を仙台で開催、研究の多様性とアウトリーチに議論集中
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1940/
 東大の場合で、海外ジャーナルの購読料は現在、年10億円ほどとのことで、教職員2万人で割り算すると、教職員1人当たり年5万円です。東工大は年4億円くらいとのことです(東大と直接比較できる数字ではないようです)。
 研究成果をアカデミアで共有して、研究のさらなる発展に資するのに、学術ジャーナルのような仕組みは欠かせないかと思いますが、日本としても価格高騰への対応策が迫られています。米国では、学術ジャーナルを発行する商業出版社と、大学図書館などとの間の熾烈な価格交渉などが話題となっています。
 論文数が急増して、相対的に質の低い論文が増えているという指摘もあります。また、高額な研究予算さえ確保できれば、続々と新登場している高性能な観測機器を活用した実験計画を組むことにより、インパクトファクターが大きな学術ジャーナルにも論文発表できるようなインパクトのある研究成果を出すのはそれほど困難ではない、という話も研究者の方々からうかがうことがあります。
 学術ジャーナルの問題は引き続き、日経バイオテク・オンライン/BTJアカデミックやBTJジャーナルで取り上げてまいります。
 メール原稿の締切時間になりましたので、最後のここ2週間で報道した直接担当の記事のリストを、短いコメントつきで紹介させていただきます。
※BTJ/日経バイオテクオンラインの記事【コメント】
大学の研究開発費の政府負担比率が日本は低い、文科省NISTEPが「科学技術指標2010」で分析
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3224/
【詳しく解析なさっているのでぜひ、原文をご覧ください】
美容業界でR&D活発なナノ技術の特許と商標を米Thomson Reuters社が分析、09年の特許件数世界トップは富士フイルム
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3223/
【日経バイオテク2010年3月1日号の特集記事もご覧ください】
円高で問題先送りの学術誌ミニマムアクセス危機、日本学術会議が「包括的コンソーシアム」創設を提言
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3190/
【こちらも提言の詳細を、原文でご覧ください】
続報、文科省の産学連携調査、大学ランキングのトップに北里大、東北大、自治医大、慶大、国際大
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3164/
【11個の順位付け情報が掲載されていて、そのうち6個は東大がトップでした】
大学等の治験等収入が民間企業からの共同研究費受入額の半分超に、ライフは共同研究件数が初の5000件超で受託研究件数が初の8000件超
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3163/
【詳細な調査結果を、原文でご覧ください】
日本ポリフェノール研究会が学会に、第4回研究会を志村二三夫・十文字女子大教授が埼玉で開催、来年の会頭は佐藤隆一郎・東大教授
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3017/
【アドレナリンやカテコールも、ポリフェノール構造というのを知りました】
新型シーケンサーの普及で生物学が地質学・地球科学、天文学とつながる、第12回日本進化学会大会で合計24時間超の一貫シンポジウム
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2950/
【1つの学会大会で24時間超の一貫シンポというのは、初めて体験しました】
 上記の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテク」のご購読が必要です。申し込みはこちらから。
→ http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 最後に、先月末に発行・公開したBTJジャーナル2010年7月号の案内を。事業仕分けと文科省施策、日本エピジェネティクス研究会年会、日本分子生物学会春季シンポジウム、「グローバル・リサーチ・レポート:日本」などの内容を盛り込みましたので、ご覧いただければと思います。
「BTJジャーナル」2010年7月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1007
 目次は以下の通りです。
●CONTENTS
事業仕分けと文科省施策
日本エピジェネティクス研究会
日本分子生物学会春季シンポジウム
「グローバル・リサーチ・レポート:日本」
P.2 アカデミア・トピックス
政権交代と事業仕分け
文科省の新施策発表
P.5 リポート
米子でエピジェネティクス研究会
来年は熊本、再来年は東京で開催
P.9 キャリア
松島で分子生物学会春季シンポ
P.10 キャリア
「グローバル・リサーチ・レポート:日本」
P.11 BTJアカデミック・ランキング
トップ10に文科省4本、iPS細胞4本