こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本です。
 先週はお盆でBTJ/HEADLINE/NEWS SOLUTIONSメールをお休みしたので、皆様にメールマガジンをお届けするのは2週間ぶりになります。2週間前のこのメールでは、第一三共と北里研究所による合弁企業設立のニュースを受けて、「転換期を迎えるワクチン産業」というタイトルで、日本のワクチン産業の行方について少し展望しました。それから2週間足らずして、アステラス製薬がバイオベンチャーのUMNファーマと提携したのは、1つの象徴的な動きだと思います。
アステラス、UMNファーマの細胞培養インフルエンザワクチンの共同開発、独占的販売権で契約
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3168/
 かつて日本の多くの企業がワクチン事業を重荷と考え、撤退を図ってきましたが、今では武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬がワクチン事業を強化する方針を打ち出しています。日経バイオテクでは以前からワクチン事業の重要性に着目し、欧米大手企業がワクチン事業の買収を進めていることに対して日本の大手製薬企業がなぜ危機感を持たないのかという疑問を呈してきました。我々が何年も前から主張してきたことが、ようやく皆に理解してもらえたのかという印象です。
 ただし、かつての厚生労働省のワクチン政策は護送船団的で、少なくとも定期接種に該当するワクチンについては国産であるべきという考えが為政者サイドにあると聞いていました。従って、UMNのプロジェクトがここまで順調に進むとは、当初は確信できなかったというのが正直なところです。その点、UMNはIHIと提携するなどして国内製造にめどをつけ、事業を確実に前進させてきました。今回のアステラスとの提携は、その総仕上げとでもいえるでしょうか。
 現在、予防接種法の改正が議論されており、ワクチン産業の事業環境は大きく変わろうとしています。UMNファーマというベンチャー企業が存在したことが、変革を促す一因になったのかもしれません。製品が発売されるまで油断はできませんが、バイオベンチャーとして1つのマイルストーンに到達したことは確かだと思います。
 話題は変わりますが、8月6日に日本学術会議の公開シンポジウム「遺伝子組み換え作物とその利用に向けて」を取材してきました。以下が、既に日経バイオテク・オンラインで紹介したニュースです。
遺伝子組み換え作物の利用について、日本学術会議が公開シンポジウム開催、コメ型ワクチンの紹介も
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2986/
東京大学の篠崎教授、環境ストレス耐性を持つ組み換え作物の開発で、海外で10件以上の共同研究を実施中と紹介
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2985/
 アカデミアの関係者を中心とするセミナーだったせいか、遺伝子組み換え作物に対する理解が得られないことを問題視する意見で一致していましたが、本当はこういう場に遺伝子組み換え作物の栽培に反対している人も参加して、相互に理解を深めていくことが必要なのでしょう。日本の食糧自給の現状や、将来の食糧不足を考えれば、作物の生産効率を高める技術が必要になることは間違いありません。
 ワクチンにしても、その利点を国民が正しく理解しなかった結果、欧米のみならず、アジアの各国よりも新しいワクチンの導入が遅くなり、「ワクチン後進国」と呼ばれる状況を招きました。農業分野で同じ轍を踏むべきではありません。寒冷地や干ばつなどにも耐えて生育できるストレス耐性の遺伝子組み換え作物の開発に、海外のさまざまな国が乗り出しているという状況を理解し、来るべき未来に日本がどう貢献していけるのかを考えつつ、議論していくことが必要です。
 本日はこの辺りで失礼します。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
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日本エピジェネティクス研究会をリポート
「BTJジャーナル」2010年7月号を発行・公開
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
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→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年7月号を先月末(7月23日)に発行・公開しました。
 “青”コーナー「リポート」は、日本エピジェネティクス研究会の年会の話題です。第4回年会は「トランスレーショナルリサーチ」をテーマに2010年5月28~29日に米子で開催され、300人ほどが集まりました。国際ヒトエピゲノムコンソーシアム(IHEC)に日本はどのように参画していくべきかも議論になりました。来年の年会開催地は熊本でテーマは「アカデミック交差点」。再来年は東京での開催が決まりました。新たな代表幹事には九州大学に異動した佐々木裕之教授が就任しました。
BTJジャーナル2010年7月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1007
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの「エピジェネティクス研究会」関連記事
東大分生研が初の大規模改組、7月に高難度蛋白質立体構造解析センターが発足、エピゲノム疾患研究センターには骨・関節疾患制御分野も
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2581/
東大と九大、東北大に「エピゲノム」の新組織が今春相次いで発足
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1678/
「他のオミクスよりエピジェネがバランス良さそう」と岩田淳・東大特任准教授、エピジェネティクス研究会でパーキンソン病について口頭発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1536/
写真更新、日本エピジェネティクス研究会第4回年会、年会長受賞者は阪大、筑波大、京大の研究者
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1510/
熊本大中尾光善教授ら、ヒストン脱メチル化酵素LSD1の阻害でミトコンドリア機能向上、2010年初に国際特許出願
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1475/
環境エピゲノミクス研究会、第3回定例会を2010年7月9日に東京で開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1405/
米子市で開催の日本エピジェネティクス研究会第4回年会に300人、来年は熊本で「アカデミック交差点」、再来年は東京で開催、新たな代表幹事に佐々木裕之・九大教授
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1404/
「ヒストンコード仮説は第2の遺伝暗号、一番重要なのはヒストンのメチル化」、加藤茂明・東大分生研教授が栄養・食糧学会で教育講演
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1270/
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年7月号(第55号)のコンテンツを目次で紹介します。
●CONTENTS
事業仕分けと文科省施策
日本エピジェネティクス研究会
日本分子生物学会春季シンポジウム
「グローバル・リサーチ・レポート:日本」
P.2 アカデミア・トピックス
政権交代と事業仕分け
文科省の新施策発表
P.5 リポート
米子でエピジェネティクス研究会
来年は熊本、再来年は東京で開催
P.9 キャリア
松島で分子生物学会春季シンポ
P.10 キャリア
「グローバル・リサーチ・レポート:日本」
P.11 BTJアカデミック・ランキング
トップ10に文科省4本、iPS細胞4本
P.12 奥付け