あっと言う間に八月になりました。最近、蝉の声が東京では高くなり、いよいよ真夏かという予感はあったのですが、カレンダーが一枚切り替わると気分も変わります。外苑、隅田川の花火大会と皮きりに、毎週末、花火大会が続きます。
 かなり前に、隅田川の花火大会を見に行ったことがありますが、美しい花火を愛でた後が大変、まるで天国と地獄でした。地下鉄は地上に長蛇の列、街頭には群衆が溢れ右往左往。地理不案内に加え、群衆に巻き込まれ、方向すら分からない。
 きっと、東京で大震災が起きたらこんな感じ以上になるなど、馬鹿話をしていると、なんと都バスが丁度目の前の停留所に止まった。行き先も見ずに飛び乗ったら、JR錦糸町駅になんとか到着できました。 真夏の夜の都バスの姿は燦然と闇に輝いていました。政府や自治体の機能が、市民生活や市民の生命に直結すると実感いたしました。参議院議員選挙の結果、何よりも政府が機能不全となることを恐れます。政策協議とか連立とか、真面目に対応していただきたい。この失われた20年で日本が急速に国際競争力を失い、情報と人材交流でまるで鎖国をしていた状況を続ける訳にはいかないためです。これが夏の夜の溜息だけには終わらぬように願います。臨時国会、どうなるんでしょうか?
 さて、来年度予算の10%シーリングが閣議決定(了解ではないことが凄い)されました。やっぱりなんのかんの言っても、政府には予算がないということです。この10%というのが曲者で、政府の予算のかなりの部分を人件費などの固定費が占めていることを考えると、実際に国家公務員の雇用に手を付けない限り、10%削減は変動費でやらざるを得ず、実質的には20%から30%の既存予算の削減となります。既に、事業仕分けで縮小している予算規模を更に削るには、相当な汗と知恵が必要です。こうした状況では、民主党の国家の成長戦略にもうたってあるにも係らず、政府の科学技術・研究開発予算を確保することは、かなり難しい状況です。今度の予算編成では、危機感を持って皆さんが当たらなくては、日本が成長する基盤を失う可能性があると、真夏なのに冷や汗を欠いています。実際、経産省なども、バイオの新規予算はたった一件にこのままなら止まる見込みです。
 我が国の成長と皆さんの繁栄には技術革新しか、ありません。
 よーおく見渡してみると、やはり科学が急速に発展しているのは、生命科学と物質科学、環境科学(政治的に発展)しか、見当たりません。その意味では、我が国が再び力強い成長を遂げるためには、何としても生命科学産業、つまりバイオインダストリーを発展させなくてはなりません。
 現在、ブロックバスターが続々誕生している抗体医薬群の標的遺伝子やたんぱく質のほとんどは、実は日本人の研究者が発見しています。科学研究の成果を実用化に結び付ける努力と投資を、苦しいでしょうが今しなくてはなりません。
 9月29日から10月1日まで、パシフィコ横浜で開催するBioJapan2010は、我が国のバイオ産業再生を目指す展示会・国際シンポジウムです。参加料はウェブでご登録いただければ、展示会もセミナーも全て無料です。また、マッチングソフトも稼働させており、皆さんのアイデアや商品を共に商品化するパートナーと巡りあうことも可能です。実際、昨年までにこの出会いから商品化や国際的な臨床開発が実現しております。
 今回はバイオベンチャー企業や製薬企業など大手のバイオ企業だけでなく、大学や公的研究機関の研究者の参加も期待しております。我が国最大のバイオのオープンイノベーションの場に、皆さんもどうぞご参加願います。
 8月1日から参加申し込みを開始いたしました。どうぞ下記のサイトからお申し込み願います。今ならセミナーも好きなものにご参加いただけます。
http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/
 もう一つご案内です。
 とうとうGE社が、ヒトES細胞の実用化に参入いたしました。幹細胞の創薬や安全性研究への応用が、実用段階に到達しつつあるのです。この機会をとらえ、BTJプロフェッショナル・セミナーを開催いたします。今回はES細胞/iPS細胞のin vitroでの産業利用に関して、大学、企業、政府、そして規制当局からキーマンを集めて、白熱の討論をいたします。どうぞ下記より奮ってお申し込み願います。皆さんの参加と発言を、心から期待しています。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100914/
 何事も善は急げです。
 さて、コンセンサスエンジンにアクセスなさいましたか?
 当面は医師限定ですが、7月21日からこのバーチャルな議論を公開します。公開後1週間は質問も受け付けておりますので、医師の方はどうぞ下記よりご登録願います。「コンセンサスエンジン消化器がん」というのが、現在開発中のメディアの正式名称です。
https://bioce.nikkeibp.co.jp/consensusengine/
 そろそろ夏休みモードですが、どうぞご自愛願います。
 どうぞ、今週もお元気で。
                
                Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
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<<BTJブログWmの憂鬱>> 
最新一週間の記事  http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
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2010-07-28    
BTJブログWmの憂鬱2010年07月28日、T-DM1の販売承認を申請、新段階の医薬品の先駆けとなる可能性
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2687/
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2010-07-26    
BTJブログWmの憂鬱2010年07月26日、少子高齢化による過剰状態の大学改革は、予算カットと規制の緩和の組み合わせで
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2626/
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国際ヒトエピゲノムコンソーシアム(IHEC)は9月に正式発足へ
日本エピジェネティクス研究会をリポート
「BTJジャーナル」2010年7月号を発行・公開
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年7月号を先月末(7月23日)に発行・公開しました。“青”コーナー「リポート」では、日本エピジェネティクス研究会の年会の話題をお届けします。第4回年会は「トランスレーショナルリサーチ」をテーマに2010年5月28~29日に米子で開催され、300人ほどが集まりました。
BTJジャーナル2010年7月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1007
 5月28日には米国立がん研究所(NCI)/米国立衛生研究所(NIH)のEpidemiology and Genetics Research ProgramのMukesh Vermaプログラムディレクターが「Resrach opportunities at NIH in cancer epidemiology and epigenetics」と題した特別講演を行いました。座長を務めた国立がんセンター研究所の牛島俊和・発がん研究部長は、日本からでもNIHのグランドに応募できることを、強調なさいました。
 Vermaプログラムディレクターは、NIHにおけるエピゲノム研究のロードマップを解説し、2010年に入ってから組織作りが本格化している国際ヒトエピゲノムコンソーシアム(IHEC)の動向を紹介しました。
 このIHECは、ヒト各種細胞のエピゲノムの標準状態を、国際協調により効率的・効果的・経済的に、高信頼度で解明しようという取り組みです。発生・分化・リプログラミングの機構そのものであるエピゲノムは、再生医療の基盤となります。エピゲノムの異常はがんの原因になると明確になったのに続いて、神経・神経・代謝・免疫・腎臓疾患などの各種疾患の原因にも関与することが分かってきました。これらの研究を加速する上で、大きな障害となっているのが、正常な各組織の細胞はどのようなエピゲノムを持つのかが分かっていないということ。疾患状態の細胞は採取可能であっても、正常な細胞は入手が困難で、どのような正常ゲピゲノムが、どの程度のバラツキを持って存在しているのかがほとんど分かっていない。
 IHECは200種類のヒト細胞について、1000個のリファレンスエピゲノムの解析を目指している。IHECへの参加には、年2億円ほどの予算が必要とされる。基盤として重要なデータではあるが、論文発表に向いていない地道なデータの積み重ねとなるので、この縁の下の力持ち的な役割をどの研究者・研究グループが担うのか、という点も検討課題といえそう。得られたデータをいかに一般の研究者に分かりやすい形で公開していくのか、も課題とされています。
BTJジャーナル2010年7月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1007
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの「エピジェネティクス研究会」関連記事
東大分生研が初の大規模改組、7月に高難度蛋白質立体構造解析センターが発足、エピゲノム疾患研究センターには骨・関節疾患制御分野も
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2581/
東大と九大、東北大に「エピゲノム」の新組織が今春相次いで発足
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1678/
「他のオミクスよりエピジェネがバランス良さそう」と岩田淳・東大特任准教授、エピジェネティクス研究会でパーキンソン病について口頭発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1536/
写真更新、日本エピジェネティクス研究会第4回年会、年会長受賞者は阪大、筑波大、京大の研究者
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1510/
熊本大中尾光善教授ら、ヒストン脱メチル化酵素LSD1の阻害でミトコンドリア機能向上、2010年初に国際特許出願
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1475/
環境エピゲノミクス研究会、第3回定例会を2010年7月9日に東京で開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1405/
米子市で開催の日本エピジェネティクス研究会第4回年会に300人、来年は熊本で「アカデミック交差点」、再来年は東京で開催、新たな代表幹事に佐々木裕之・九大教授 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1404/
「ヒストンコード仮説は第2の遺伝暗号、一番重要なのはヒストンのメチル化」、加藤茂明・東大分生研教授が栄養・食糧学会で教育講演
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1270/
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年7月号(第55号)のコンテンツを目次で紹介します。
●CONTENTS
事業仕分けと文科省施策
日本エピジェネティクス研究会
日本分子生物学会春季シンポジウム
「グローバル・リサーチ・レポート:日本」
P.2 アカデミア・トピックス
政権交代と事業仕分け
文科省の新施策発表
P.5 リポート
米子でエピジェネティクス研究会
来年は熊本、再来年は東京で開催
P.9 キャリア
松島で分子生物学会春季シンポ
P.10 キャリア
「グローバル・リサーチ・レポート:日本」
P.11 BTJアカデミック・ランキング
トップ10に文科省4本、iPS細胞4本
P.12 奥付け