毎月第1金曜日と第3金曜日、第5金曜日のバイオテクノロジージャパン(BTJ)メールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田孝雄です。
 日本の基礎研究力を高めるために、大学の教育や研究の機能をどのように持っていくのがよいのか。このところ大学を重点的に取材しています。
 世界トップ30を目指す東北大学が、新たな仕組みを意欲的に導入していて、注目しています。学術論文のデータベースを基盤としたソリューションシステムもいち早く導入しました。物質材料系で突出した実績のある東北大は、バイオ生命科学系の研究者は外部から多くの研究者を引き入れています。
 先々週の金曜日(2010年7月2日)には、文部科学省の地域イノベーションクラスター重点支援枠の案件の1つで、年1億円×3年が決まった「プロテオグリカンをコアとした津軽ヘルス&ビューティー産業クラスターの創生」の中核機関である青森県産業技術センターと弘前大学を取材しまして、まずは2本記事をまとめました。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの記事
ドクターシーラボやN.A.gene、角弘、一丸ファルコスなど続々、弘前エリアのプロテオグリカン成果が今年相次ぎ商品化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2344/
津軽(弘前)エリアのクラスターが文科省補助金でプロテオグリカンの事業化加速、中核は弘前大学から青森県機関に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2343/
 弘前大では、学長の遠藤正彦氏が研究を率いた医学部生化学を中心に、プロテオグリカンの研究で長い歴史があり、学術的な成果を多数発表なさっています。
 今回のクラスター取材で拝見した資料では、弘前の研究の実績として、10件余りの特許のリストが記載されていました。研究成果を活用した事業化を進めるには、特許戦略が重要なので、当然のことではありますが、大学の研究で、特許と論文のバランスをどうとるのがよいのかが、とても気になりました。
 というのも、大学など研究機関の研究実績としては、発表した学術論文のデータベースをもとにした客観的数値で、評価されることが多いからです。
 研究者としてより多くの研究費を、競争的資金などで獲得するには、著名な学術ジャーナルに、論文を発表するのが、一番の目標になります。多くの研究費を獲得できれば、国立大学法人などのテニュアのポストも獲得しやすくなります。
 内閣府が毎年末に発表している国立大学法人などの学術論文数の集計では、ここ5年ほどで1割ほど、論文数が減少したと報告されています。日本全体ではほぼ横ばいなので、国立大学のほかの論文数が増えているようですが、国民や地域住民などに貢献できる産業をおこそうとする取り組みは、学術論文数の面ではマイナスに働くように思えます。
 国立大学では、予算の根幹である運営費交付金の配分にも、評価が反映されるようになってきました。この評価を高めるために、トップダウンでどのような取り組みをするのが得策かを分析するためのサービスも増えてきました。
 それぞれの大学の特長をさらに強化するのが好ましいのは間違いないでしょうが、限られた国民の税金を配分するための基本となる評価をどうすべきかは、さらに多くの議論が必要と思います。
 先日たまたま、JR東日本の高崎線に乗車したところ、大学のオープンキャンパス開催の広告が、車内にたくさんあることに気がつきました。1車両全部を調べてみたら、オープンキャンパス開催の広告を出している大学・専門学校の数は22ほどもありました。JR東日本グループの広告を除くと、8~9割を占めていました。
 法科大学院を設置した政策が失敗といわれていますが、乱立された薬学系大学も淘汰の時代を迎えようとしているようです。
 大学をとりまく問題の報道に注力してまいります。上記のように学術ジャーナルの購読というのは、大学の研究活動にとって必須なのですが、増え続ける学術ジャーナルと、その購読料の高騰は、大学の活動に甚大な影響を及ぼしています。
 基本が米ドルベースの学術ジャーナル購読料の高騰は、ここ数年、円高の恩恵によって、円ベースではほぼ横ばいできましたが、円安になると、深刻な問題が一気に表面化します。
 メール原稿の締め切り時間になりましたので、以下にここ2週間に直接記事を担当した報道記事12本のリストを、【記事にした動機】のメモとともに掲載します。
※ここ2週間に報道したBTJ/日経バイオテク・オンラインの担当記事
水中レジオネラの除菌にストリーマ放電、ダイキンが慈恵医大と実証、フォーラムを発足
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2427/
【ストリーマ放電技術の魅力が増しています。エビデンス取得の企業間競争が一層激化しています】
ドクターシーラボやN.A.gene、角弘、一丸ファルコスなど続々、弘前エリアのプロテオグリカン成果が今年相次ぎ商品化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2344/
【実用化の状況を調べて、一覧にしてみました】
津軽(弘前)エリアのクラスターが文科省補助金でプロテオグリカンの事業化加速、中核は弘前大学から青森県機関に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2343/
【経済産業省、農林水産省の支援を受けた釧路地域のプロテオグリカン事業化との競合にも注目しています】
認定公益財団法人を目指す日本健康・栄養食品協会、新理事長に下田智久・ヒューマンサイエンス振興財団理事長が就任
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2339/
【下田理事長は兼任です。協会の主力事業の1つ、特定保健用食品制度は存亡の危機にあります】
ヤクルト、乳製品の世界1日平均販売本数が3000万本を突破、創業75周年の目標を達成
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2305/
【実写版の「ドラマもやしもん」で、菌の注目度はいっそう高まりそうです】
日本の海外共著機関のトップは中国科学院、トムソン・ロイターが日本の科学研究動向レポートを解説
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2269/
【日本の論文発表数の動向が、論文データベースのおおもとのトムソン・ロイターから詳しく発表になりました。】
福田恵一・慶大教授らが末梢血0.1mLから25日でiPS細胞を樹立、ディナベックとの成果をCell Stem Cell誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2173/
【侵襲度が低く、短期間で確立できるTiPSに注目です。】
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 最後に先月末に発行・公開したBTJジャーナル2010年6月号の内容を、目次にて紹介します。
※BTJジャーナル2010年6月号(第54号)
●CONTENTS
科学技術白書 論文解析
日本栄養・食糧学会
サイエンスマップ2008
P.2 アカデミア・トピックス
「科学技術白書」で初めて論文解析を解説
P.4 リポート
徳島で日本栄養・食糧学会
アジアとの連携進める
P.12 キャリア
「サイエンスマップ2008」
P.14 BTJアカデミック・ランキング
「エピゲノムの新組織」がトップ
P.15 メルマガ「GreenInnovation」
水産バイオに賭ける函館市
P.16 奥付け