皆様こんにちは。水曜のメールマガジンを担当する橋本宗明です。
 先週の土日、東京慈恵会医科大学で開催された日本サイトメトリー学会学術集会を取材してきました。初めての取材でしたが、非常に面白い話題が目白押しで、大変勉強になりました。
 学会長を務められた佐々木研究所付属杏雲堂病院の坂本優部長によると、この学会は腫瘍医学、免疫学、再生医学の3つが柱で、フローサイトメトリー、分子イメージング、CGH(ゲノムの欠損やコピー数の異常を解析する手法)、マイクロアレイといった技術を、基礎医学、臨床医学に応用している研究者、および技術開発にかかわる企業の研究者が会員で、現在、700人の会員がいるそうです。企業と大学、基礎と臨床の研究者が交流しているせいか、実用化を視野に入れた研究発表が多くありました。東大医科研の中内教授の特別講演を記事で紹介しましたが、これ以外にも非常に興味深かったです。
日本サイトメトリー学会、東大医科研の中内教授がiPS細胞から造血幹細胞を分化誘導したことを報告
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2035/
 米国立衛生研究所(NIH)国立がん研究所(NCI)の小林久隆さんは、腫瘍細胞内で特異的に光る分子イメージングプローブの研究を報告されていました。内視鏡で腫瘍を切除する際、こうしたプローブを利用すると取り残しなく切除できるかもしれません。
 浜松医科大学の杉原一廣准教授の新規DDS型悪性腫瘍治療薬の話も面白かったです。腫瘍血管内皮細胞に特異的に結合するペプチドをDDSとして利用し、抗がん剤と結合して腫瘍を治療しようという戦略です。
 山口大学の佐々木功典教授のCGHアレイの話も興味深かったです。DNAの多型であるコピーナンバーバリエーション(CNV)は自閉症や統合失調症、エイズ、自己免疫疾患など、さまざまな疾患へのかかりやすさと関係があることが報告されています。佐々木氏はDNAの特定の部分のCNVとがんのかかりやすさの間に関係があるとする研究を行い、乳がん、子宮内膜がん、大腸がんへのかかりやすさを予測し得る技術開発を進めています。また、佐々木さんと同じ研究室の古屋智子さんが発表した、治療の難しいトリプルネガティブ乳がんに特異的に見られるCNVの話も、新規の治療法開発につながる可能性があり、要注目です。
 このほか、がんの転移などにかかわると考えられる循環腫瘍細胞(CTC)の検出技術の話題や、がん幹細胞の話題なども興味深かったです。細胞解析、ゲノム解析などの技術革新により、がん、免疫、再生医療の分野が大きく発展していく可能性を強く認識しました。
 来週月曜日には、日経バイオテク7月5日号を発行します。特集は「転機を迎える動物薬市場」。ここ10年ほど日本の動物薬市場は800億円ぐらいで横ばいの状態が続き、製薬企業が多角化で手掛けてきた動物薬事業を譲渡するケースが目立ちましたが、事業再編でプレーヤーが減少して競争が緩和される一方で、新興国の経済成長によりグローバル市場は拡大しつつあります。日本発の製品が世界のヒット商品になっている実績がある分野でもあり、見方を変えれば大きなビジネスチャンスが眠っているかもしれません。ご購読されている方はぜひお楽しみに。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
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日本の論文数推移の分析結果が相次ぎ発表に
「平成22年版科学技術白書」や
米Thomson Reuters社の「Global Research Report Japan」
「BTJジャーナル」2010年6月号に掲載
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年6月号を先週金曜日(6月25日)に発行・公開しました。
 日本の論文数を解析した報告書が相次いで発表になりました。1つは、2010年6月22日から印刷物の頒布が始まった「平成22年版科学技術白書」、もう1つは今週、米Thomson Reuters社が発表した「Global Research Report Japan」です。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの関連記事
「論文成果に見る我が国の状況」掲載の「平成22年版科学技術白書」が今日から店頭に、「日本の論文の相対被引用度は上昇を続け、09年に世界平均の1を初めて上回った」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1939/
続報、日本の論文数は微増ほぼ横ばい、米Thomson Reuters社が「Global Research Report Japan」を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1909/
日本の論文数はここ3年で4%増えたが論文シェアは1ポイント低下、本日閣議決定された文科省の科学技術白書に折れ線グラフ掲載
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1776/
 BTJジャーナル2010年6月号巻頭の“緑”コーナーの「アカデミア・トピックス」は、上記3本の記事をもとに構成しました。PDFファイルをダウンロードすると全文を無料でご覧いただけます。ぜひお楽しみください。
BTJジャーナル2010年6月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1006
■なお、上記の「BTJ/日経バイオテク・オンライン」の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年6月号(第54号)のコンテンツを目次で紹介します。
●CONTENTS
科学技術白書 論文解析
日本栄養・食糧学会
サイエンスマップ2008
P.2 アカデミア・トピックス
「科学技術白書」で初めて論文解析を解説
P.4 リポート
徳島で日本栄養・食糧学会
アジアとの連携進める
P.12 キャリア
「サイエンスマップ2008」
P.14 BTJアカデミック・ランキング
「エピゲノムの新組織」がトップ
P.15 メルマガ「GreenInnovation」
水産バイオに賭ける函館市
P.16 奥付け