こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。先週後半は札幌市で過ごしました。
 たまたま札幌市に本社を置くベンチャーに取材に行く話があり、調べてみたところ日本蛋白質科学会年会がちょうど同じぐらいの時期に札幌市で開催される予定であることが分かりました。それで、プログラムを見ると夕方からのワークショップで面白そうな議論が聞けそうだったこと、札幌でほかにも幾つか取材したい会社があったことから、水木金と3日間札幌に滞在し、昼間は企業、夕方からは学会のワークショップの取材をしてきました。
 ワークショップの中で、2つの企業が行っていた発表が非常に面白かったので日経バイオテク・オンラインで記事にしました。
アステラス製薬、「フラグメントエボリューション」によるリード化合物創出の威力をアピール
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1856/
中外製薬、TPOを模した作用示すアゴニスト抗体の開発経緯を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1941/
 1つ目のアステラス製薬のフラグメントレボリューションは、低分子化合物の創薬における標的をバリデーションした後、リード化合物創出に至る過程の話で、コンピューターを用いたin silicoスクリーニングと、たんぱく質のX線構造解析技術を駆使して、標的たんぱく質のポケットにぴたりとはまる化合物を作り出していく技術の話題です。それを、小さな化合物断片(フラグメント)を手掛かりにして、ぴたりとはまる大きな化合物に育てていくという手法で行うので、フラグメント創薬(Fragment Based Drug Design、FBDD)と呼ばれています。アステラス製薬は、これをハイスループットで行うため、09年4月につくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所放射光科学研究施設に創薬ビームラインを設置しました。学会ではその成果が報告されました。
 フラグメント創薬の話は以前、アステラスの研究所で行われた説明会に参加して一通り聞いていたはずですが、学会場ではより迫力を持って聞くことが出来ました。多分、説明会ではフラグメント創薬以外にもさまざまな話を聞いたのに対して、ワークショップのテーマ自体がFBDDで、前もっていろいろな知識を得た上でアステラスの発表を聞けたので、浸透力が違ったのだと思います。
 もう1つの中外製薬の話は、抗体医薬の最適化に関するものです。抗体医薬といっても抗体のたんぱく質をいろいろ改変して作る低分子化抗体の話です。化合物の最適化が必要な低分子化号物と違い、抗体医薬は標的のたんぱく質が決まれば簡単に出来るとか、せいぜいヒト化するぐらいだろうと思っていたら大間違いです。抗体開発の最前線ではこんなことをやっているんだと、眼からうろこが落ちました。もっとも、表面に出てこない真の最前線では、もっとすごい技術が駆使されているのかもしれませんが。
 どちらの発表も非常に面白かったので、ちょっと丹念に記事を仕上げました。ぜひ、日経バイオテク・オンラインでお読みください。
 この手の話が面白いのはものづくりだからなのでしょうね。コスト競争力のある中国、インドなどに創薬の舞台がシフトしつつあることをちょっとペシミスティックに見ていましたが、こういう発表を聞くと日本はものづくりの技術力にこだわって行けば競争力を取り戻せるような気がしてきます。
 札幌では、この学会のほかに企業や大学などを幾つか取材してきました。これらの記事も、近いうちに日経バイオテク・オンラインに掲載しますのでお楽しみに。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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やはり日本の論文数は微増
「平成22年版科学技術白書」や
米Thomson Reuters社の「Global Research Report Japan」にもグラフ掲載
「日本の論文数は激減している」
41万人会員の26学会の会長声明をリポートは
「BTJジャーナル」2010年5月号に掲載
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
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→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年5月号を先月末(5月25日)に発行・公開しました。
 日本の論文数を解析した報告書が相次いで発表になりました。1つは、2010年6月22日から印刷物の頒布が始まった「平成22年版科学技術白書」、もう1つは今週、米Thomson Reuters社が発表した「Global Research Report Japan」です。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの関連記事
「論文成果に見る我が国の状況」掲載の「平成22年版科学技術白書」が今日から店頭に、「日本の論文の相対被引用度は上昇を続け、09年に世界平均の1を初めて上回った」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1939/
続報、日本の論文数は微増ほぼ横ばい、米Thomson Reuters社が「Global Research Report Japan」を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1909/
日本の論文数はここ3年で4%増えたが論文シェアは1ポイント低下、本日閣議決定された文科省の科学技術白書に折れ線グラフ掲載
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/1776/
 BTJジャーナル2010年5月号の“青”コーナー「リポート」には、日本の論文数の推移を解析した折れ線グラフを2種類、掲載しています。
 日本の26学協会が2010年4月28日に都内で開催した共同シンポジウムでは、学会長を対象に事前に調査した日本の科学・技術政策の評価結果を発表し、「日本の論文数は激減している、知の連山が必要」という内容を含む声明が出されました。5月11日に分子研所長招聘研究会で講演した野依良治・理研理事長も、この論文数減少に言及なさいました。
BTJジャーナル2010年5月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1005
 青コーナーに掲載したリポート記事は、日経バイオテク・オンラインに掲載した以下の3本の記事をもとに編集しました。このリポートでは冒頭に、これらの解析の大元となる論文データベースを提供している米Thomson Reuters社が発表している国別の論文数推移のグラフを掲載しました。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの関連記事
「存在を示せない国立大学は“吹けば飛んで当然”と心得よ」、野依良治氏
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0883/
「日本の論文数は激減している、知の連山が必要」、41万人の会員を擁する26学会が声明を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0653/
41万人会員の26学会が会長声明、学会長アンケート調査で科学・技術政策を「おおいに評価する」は1学会
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0603/
■上記の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年5月号(第53号)のコンテンツを目次で紹介します。
●CONTENTS
沖縄大学院大学・OISTの深層
26学会41万人の知の連山
春の紫綬褒章
超ミクロの動画撮影
P.2 アカデミア・トピックス
沖縄科学技術大学院大学・OISTの深層
P.7 リポート
会員数41万人の26学会が会長声明、「知の連山」が必要
P.13 キャリア
春の紫綬褒章はバイオ関連5人
P.14 BTJアカデミック・ランキング
「日本の論文数は激減」がトップ
P.15 メルマガ「GreenInnovation」
超ミクロの動画撮影
P.16 奥付け