現在、朝四時です。本日ヨーロッパではサッカーシーズンの最後を飾る大一番が行われました。結果はイタリアのセリエAではインテルが優勝、そして今終わったばかりのスペイン、リーガエスパニョーラではバルセロナが4:0で快勝し、優勝を決めました。しかも、メッシ選手が34ゴール目を蹴り込み、リーガ記録に並ぶ、不滅の記録を打ち立てました。試合は緊張感にあふれ、バルセロナのキーパーミスであわや開始3分でゴールを奪われそうになるなど、普段のバルセロナとはまったく違う展開。天才たちでも緊張するのか?と凡人を救うようなプレーを連発していましたが、ペドロのシュートをバリャドリードの選手が絶妙のオウンゴール。これで緊張から解放されたバルセロナを阻むものはありませんでした。ヨーロッパチャンピョンリーグではチョンボをいたしましたが、間違いなくこのチームが現在世界最強であることは間違いありません。
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 実はメッシ選手の活躍の背景にはバイオテクノロジーがありました。
 メッシ選手は下垂体性の成長ホルモン分泌不全症でした。彼が今あるのも遺伝子操作技術によるヒト成長ホルモンの開発がありました。月間900ドルの成長ホルモンの治療費をバルセロナが負担していました。彼の故国のアルゼンチンではこうした高額の医療費を負担できるクラブが存在せず、リーガエスパニョーラのスカウトの目に11歳で止まったのが幸いでした。実際には、この段階ではあまりに若かったために、バルセロナは採用を断念しますが、13歳の時にテストを行い、バルセロナの下部リーグにスカウトし、養成を開始しました。同時にヒト成長ホルモンによる治療も始まったのです。
http://www.oye-comova.com/LaMasia/06_MasiaStory/Masia_014.html
http://ameblo.jp/vet/entry-10051418968.html
 今朝の試合でも一段と大人に、そしてたくましくなったメッシ選手ですが、13歳のテストの時は身長143cm。体重35kgに過ぎなかったのです。5年後には身長170cm体重67kgまで成長、現在はもう少し体重が増えているのではないでしょうか?リーガエスパニョーラでは大男が多いのでメッシ選手は小さいという印象が残りますが、Jリーグではそんなに見劣りがしないまで、成長することに成功したのです。この背景には、バルセロナというクラブを挙げての「メッシを成長させろ戦略」がありました。成長ホルモンの投与と、適切な食事や運動プログラムによって、メッシ選手の大型化は完成したといってよいでしょう。
 メッシ選手の才能は柔らかい足首によるボールタッチとそれを活用した高速ドリブル、そしてゴールに対する嗅覚であります。本日の試合でも柔らかい足首にディフェンスが翻弄され、キーパーの逆をつき、簡単に今年通算34ゴール目を決めてしまいました。成長ホルモンの分泌不全を引き起こした遺伝子変異はまったく彼の運動能力と認知能力に悪影響は与えていないのです。
 ここで少し悩む問題は、成長ホルモン投与が治療なのか?ドーピングなのか?です。明らかに遺伝的、あるいは後天的に疾患を抱えているメッシに治療を施して何が悪いという意見に傾きがちですが、実は成長ホルモンの分泌不全には様々な分子が関与しており、1か?0か?というデジタル的な割り切りができないのが問題です。身長の高さには連続的な変化があり、どこまでを低身長症であると決めることが必ずしも簡単ではないことを理解しなくてはならないでしょう。実際、治療によってメッシが私より身長が少し高くなった事実に、なんとなく不思議な感覚、割り切れなさを持ってしまいます。保険医療など公的な資源を投入する場合には大いなる議論となる点です。
 正常と異常、そして個人の自由と商業主義。現在は思考停止です。ともかくメッシ選手とバルセロナの優勝を祝うべきであると考えます。まあいいじゃないですか。
 さて、おかげさまで6月11日午後に品川で開催いたしますBTJプロフェッショナルセミナー「普及する第二世代シーケンサーと姿を現した第三世代シーケンサー」も残席わずかとなって参りました。メッシュ選手ではありませんが、現在のSNPs解析では、検索できない疾患関連遺伝子群が次世代シーケンスによって発見された実績が報告されます。いよいよ全ゲノム解析によって、疾患関連遺伝子探索の時代が始まったのです。SNPsと全ゲノム解析をどう使い分けるのか、皆さんと議論したいと考えております。
 どうぞ下記より詳細をアクセスの上、お早目にお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100611/
 6月16日の標的医薬のセミナーの応募も開始いたしました。こちらもどうぞよろしく願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100616/
 皆さん、今週もお元気で。
                
                Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
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<<BTJブログWmの憂鬱>> 
最新一週間の記事  http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
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2010-05-12    
BTJブログWmの憂鬱2010年05月12日、第2世代DNAシーケンサーが個の医療にも本格的に貢献する時代が到来
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0909/
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2010-05-10    
BTJブログWmの憂鬱2010年05月10日、京都大学のiPS細胞研究所が5月8日に開所、披露
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0764/
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科学技術分野の文部科学大臣表彰
若手科学賞はSSPの九州大学勢が目立つ
「BTJジャーナル」2010年4月号に掲載
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年4月号を先月末に発行・公開しました。“赤”キャリアのコーナーでは、科学技術分野の文部科学大臣表彰を取り上げました。
 科学技術賞は著名研究者がずらり。若手科学者賞は昨年に続き、九州大学勢の活躍が目立ちます。九大のテニュアトラックのプログラムである、スーパースター養成プログラムが、優れた若手研究者の結集に威力を発揮しています。
BTJジャーナル2010年4月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1004
 BTJジャーナルは、バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジンです。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの「科学技術分野の文部科学大臣表彰」の関連記事
文科大臣表彰で大阪の抗疲労・癒しプロジェクトがダブル受賞、シャープ2人は2年連続
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0465/
文科大臣表彰・平成22年度科学技術賞に企業は森乳、味の素、総医研、J-TECほか、アカデミアは片岡一則氏、木下タロウ氏、齊藤和季氏、白髭克彦氏、渡邊恭良氏、若山照彦氏ら
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0439/
平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰、若手科学者賞85人のうちバイオ系28人、昨年に続き九大勢が目立つ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0438/
■上記の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年4月号(第52号)のコンテンツを目次で紹介します。
●CONTENTS
国立大学法人の評価
研究機関ランキング
学会とトピックス
文部科学大臣表彰
P.2 アカデミア・トピックス
国立大学法人の評価が発の数値化
1位は奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)
P.5 リポート
日本の研究機関の世界ランキング
進化するhインデックス
P.9 キャリア
春3学会のトピックス比較
P.10 キャリア
文部科学大臣の科学技術表彰
P.12 BTJアカデミック・ランキング
国立がん研究センターが閲読トップ
P.13 メルマガ「GreenInnovation」
バイオリファイナリー
P.14 奥付け