こんにちは。第2、第4金曜日を担当する日経バイオテク副編集長の河野修己です。
 まずはお知らせです。6月16日(水)午後、BTJプロフェッショナルセミナー「分子標的薬の創製と開発の最前線」を東京・品川で開催します。
 疾患と遺伝子の関係究明が進んだ結果、特定の疾患で特異的に発生している遺伝子の異常を標的とした分子標的薬が大きな進化を遂げました。がんや自己免疫領域では新薬開発の主役は分子標的薬となり、今や大手製薬企業はそのR&D費の3割以上を分子標的薬に投じているとも言われます。
 当セミナーの講師は、肺がんの特効薬開発のきっかけとなったがん遺伝子を発見した東大/自治医科大の間野教授、次世代の標的として米Genentech社などが阻害薬開発を試みているヘッジホッグシグナル研究の第一人者である九州大・片野教授、産総研の大型創薬プロジェクトのトップである夏目リーダー、エーザイでバイオマーカーチームを率いる小田プレジデントと、講師陣はなかなか豪華です。カルナバイオサイエンスのスポンサードのおかげで、このメールマガジンの読者の方であれば受講料1万円と格安に設定できました。
 セミナーの詳細は以下のサイトをご覧ください。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100616/index.html
 さて、5月12日に第一三共が社長交代を発表し、同日夕刻に記者会見を開催したので参加してきました。新社長は、4月に副社長・日本カンパニープレジデントに就任したばかりの中山譲治氏でした。中山氏はまだ取締役になっておらず(現在は執行役員)、会長、社長以外に4人いる社内取締役を飛び越しての抜擢。しかも、中山氏はサントリーの医薬品事業のトップを務め、旧第一製薬に転籍したという経歴の持ち主で、かなりのサプライズ人事と言っていいでしょう。
 中山氏の経歴の中に興味深い点があります。中山氏は阪大基礎工学部の大学院を1976年に修了し、いきなり米大学のビジネススクールに留学してMBAを取得しています。私も工学部出身なので分かるのですが、1970年代の国立大理系学部に、ビジネススクールで学ぶことが自分の将来にとって大きなチャンスだと考えた学生がいたとは驚きです。当時は、ビジネススクールというものが海外の大学に存在していることを知っている学生でさえ、理系学部にはほとんどいなかったはずです。会見で中山氏は留学の理由について、「何か新しいことにチャレンジしたかった」と説明しましたが、よく決断できたなあというのが私の感想です。この“チャレンジ”という言葉が、今後の第一三共の経営において、キーワードになると予想します。
 会見での中山氏の発言を聞いていると、多角化路線を強調するなど今後、新しい事業に取り組むことを示唆していました。一方で、業界のトレンドは医療用医薬品への経営資源集中であり、ほとんどの大手製薬企業は医療用医薬品以外の事業を切り捨ててきました。どうも中山氏は、ほかでやっていないこと、あるいは新しいことが好きなタイプに見えます。
日経バイオテク副編集長 河野修己