こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 5月3日から6日まで、米国シカゴのコンベンションセンターで開催されたBIO Inter national Convention 2010(BIO2010)を取材してきました。本当は先週のメールで紹介できればビビッドだったのですが、ゴールデンウイークでメール配信をお休みしたので、1週間たって報告することになってしまいました。既にこれまでに日経バイオテク・オンラインで幾つか記事を紹介していますのでそちらでお読みください。また、全体的をまとめた記事は日経バイオテク本誌に掲載予定ですので、そちらでもご覧ください。
BIO2010、HIV治療ワクチンの治験を開始したGeoVax社、「1年半で結果が出る」とMcNallyCEO
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0767/
BIO2010、ポリクローナル抗体のデンマークSymphogen社、フェーズIを開始した抗EGFR抗体に大きく期待
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0704/
BIO2010、「危機を乗り越えたバイオ産業」「新しいモデルを模索」とErnst & Youngが報告
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0664/
BIO2010が米シカゴで開幕、4日間のイベントや議論の模様を現地からお届けします
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0656/
 09年は景気後退と新型インフルエンザのせいで、08年の2万人より3割少ない1万4000人の参加者にとどまったということでしたが、今年は1万5300人と参加者も回復しつつあります。参加国も65カ国に上り、バイオ産業のグローバルイベントとしての位置付けがより強まっているように思います。
 BIOにメディア登録して参加すると、毎日40本から50本ぐらいのプレスリリースのメールが届きます。また、会場で記者会見も行われますし、展示会場内で調印式のようなイベントが行われることもあります。
 それらを見ていて感じたのは、よりグローバル化の流れが急進しているということです。記者発表でも展示会場でも、アジア、南米、東欧、中近東の国々が目立ちました。セミナーや記者発表でも、食料不足の問題や、途上国に対する医薬品の供給問題など、グローバルな課題にバイオ産業がどう取り組んでいくかといった問題を目にすることが多く、事業機会の創出や資金調達といったところでもたもたしている日本のバイオ産業とは、見ているところがずいぶん異なる印象を持ちました。
 セミナーでは、米食品医薬品局(FDA)が非常に多くのセッションに講師を出していたのが印象的です。バイオマーカーを利用した医薬品開発やコンパニオン診断薬、再生医療製品の開発など、製品開発が複雑になり、規制サイドとの対話が重要になっているわけですが、これに対してFDAが開発者と協力し合って迅速に開発を進めよう姿勢を取っていることを強く感じました。日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)も、このところ国内で開催されるいろいろな学会や研究会で発言されているので、方向としてはFDAと同じ方向だと思いますが、こうしたイベントなどへのより積極的な参加があってもいいのかもしれません。例えば、厚生労働省やPMDAがBIOに参加して、ドラッグラグやデバイスラグを解消するための日本の政策をプレゼンテーションしたら、海外のベンチャー企業などから大いに注目されたかもしれません。
 とにかくBIOに参加して強く感じたのは、日本のプレゼンスがどんどん低下していることです。医薬品や診断薬、医療機器などの製品市場のデータが幾つかのプレゼンテーションで示されていましたが、そこでは常に日本は欧米についで3番目に書かれていて、それなりの存在感を感じます。しかし、展示会場で日本貿易振興機構(JETRO)がベンチャー企業や大学などに呼び掛けて開設した日本パビリオンは残念ながら、他のアジアの出展国に比べても小ぶりで目立ちませんでした。
 アステラス製薬や武田薬品工業は大スポンサーに名を連ねていましたし、パートナリングには日本の製薬企業やベンチャーも多数参加していたと聞きます。そうやって個々の企業がBIO2010の場をうまく利用できているのであれば、それでいいのかもしれません。ただ、他の国や米国の各州がバイオ産業の誘致と地元企業の売り込みのために展示会場に大きく出展したり、記者会見を開いたり、パーティを開催したりと躍起になっているのを見ると、日本もJETROだけでなく、他の府省庁も巻き込んで、積極的にアピールすべきではないかと感じました。Ernst & Youngの年次報告書で、日本の記載はインドと中国の後ろでしたが、あと数年もすればもっと後ろになってしまうのではないかと危機感を持っています。
 最後に宣伝ですが、6月に2つのセミナーを開催します。
「次世代シーケンサー」セミナー、6月11日開催決定!
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010042772948
「分子標的薬」セミナー、6月16日開催決定!
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010042772949
 恒例となっているシーケンサーのセミナーは、普及する次世代シーケンサーと来年にも実用化する1分子DNAシーケンサーを展望するものです。
 分子標的薬のセミナーは、創薬研究の話題をテーマとするもので非常にビビッドな話が聞けるのではないかと期待しています。EML4-ALK融合遺伝子の存在が一部の非小細胞肺がんに強くかかわっていることを突き止めた自治医科大学/東京大学の間野博行教授や、抗がん剤の標的として注目されるヘッジホッグシグナルの研究の第一人者である九州大学の片野光男教授ら、第一線の研究者にお話いただきます。また、オミクス技術の創薬への応用で著名なエーザイの小田吉哉プレジデントにも登壇いただけるので、大学や研究機関の研究者、製薬企業、診断薬企業の関係者にとって、極めて魅力的なセミナーとなりそうです。
 両セミナーへ、皆様のご参加をお待ちしています。本日はこの辺で失礼します。
 日経バイオテク・オンラインの記事全文をお読みいただくには、日経バイオテク本誌の読者になっていただく必要があります。日経バイオテク本誌のお申し込みは、以下からお願いします。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/index.html
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
 
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科学技術分野の文部科学大臣表彰
若手科学賞はSSPの九州大学勢が目立つ
「BTJジャーナル」2010年4月号に掲載
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 BTJジャーナル2010年4月号を先月末に発行・公開しました。“赤”キャリアのコーナーでは、科学技術分野の文部科学大臣表彰を取り上げました。
 科学技術省は著明研究者がずらり。若手科学者賞は昨年に続き、九州大学勢の活躍が目立ちます。九大のテニュアトラックのプログラムである、スーパースター養成プログラムが、優れた若手研究者の結集に威力を発揮しています。
BTJジャーナル2010年4月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1004
 BTJジャーナルは、バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジンです。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの「科学技術分野の文部科学大臣表彰」の関連記事
文科大臣表彰で大阪の抗疲労・癒しプロジェクトがダブル受賞、シャープ2人は2年連続
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0465/
文科大臣表彰・平成22年度科学技術賞に企業は森乳、味の素、総医研、J-TECほか、アカデミアは片岡一則氏、木下タロウ氏、齊藤和季氏、白髭克彦氏、渡邊恭良氏、若山照彦氏ら
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0439/
平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰、若手科学者賞85人のうちバイオ系28人、昨年に続き九大勢が目立つ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/0438/
■上記の記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年4月号(第52号)のコンテンツを目次で紹介します。
●CONTENTS
国立大学法人の評価
研究機関ランキング
学会とトピックス
文部科学大臣表彰
P.2 アカデミア・トピックス
国立大学法人の評価が発の数値化
1位は奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)
P.5 リポート
日本の研究機関の世界ランキング
進化するhインデックス
P.9 キャリア
春3学会のトピックス比較
P.10 キャリア
文部科学大臣の科学技術表彰
P.12 BTJアカデミック・ランキング
国立がん研究センターが閲読トップ
P.13 メルマガ「GreenInnovation」
バイオリファイナリー
P.14 奥付け