こんにちは。水曜日のメールマガジンを担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 明日から広島市で再生医療学会総会が開催されます。それを前にして、再生医療関連の発表などが相次いでいます。
NEDO、心筋再生技術で成果報告会を開催、40層の心筋シートの前臨床ほぼ終了
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9544/
セルシード、角膜再生上皮シートの欧州での申請は2010年第4四半期を予定、2011年には米国でも治験開始へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9506/
女子医大、歯根膜細胞シートによる歯周病再生医療で臨床研究開始へ、10年後に目指すのは心臓などの臓器再生
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9341/
京都大学、成長因子を徐放する人工真皮の医師主導治験の治験届をPMDAに提出
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9465/
記者発表、産業総合研究所、再生医療向けに高品質・高効率な細胞自動培養ロボットシステムを開発
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9551/
 先週のメールでも触れましたが、骨髄間葉系幹細胞を用いた再生医療では、移植した細胞が生着して新しい組織を構築するというよりも、細胞が放出するサイトカインなどが自己組織の再生を促していると考えられるものが多くあります。また、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)が承認を取得した自家培養表皮にしても、実際には自己による真皮の再生がなされるまでの保護層として機能しているといっていいでしょう。もし、移植した細胞が生着しているわけではないのであれば、由来する場所とは異なる場所に移植する「異所性の移植」を問題視する理由もあまりないと思われます。再生医療の際に要求する細胞のスペックなどに関する考え方も少し変える必要があるかもしれません。
 再生医療関連では、昨日、セルシードがジャスダックNEOに上場しました。公開前のブックビルディングでは海外機関投資家からの応募が多かったと聞いたので、上場日の株価に注目していましたが、残念ながら初日は公開価格を下回る水準で推移しました。まあ、実際に承認を受けて製品が普及し始めるのはこれからなわけで、今後、事業の展開に応じて投資家の見方も変わっていくことでしょう。
続報、セルシードがジャスダックNEOに上場、終値は公開価格下回る1376円
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9569/
 また、日本で唯一承認されている再生医療製品であるJ-TECの自家培養表皮「ジェイス」については、4月の診療報酬改定で保険請求できる施設の施設基準が緩和されました。これで黒字化となるかどうかは分かりませんが、J-TECの売上高は大きく伸び、収益は大幅に改善すると見込まれます。まだ「一連につき20枚まで」という要件が残ってはいますが、ようやく日本で薬事承認を取得しても、再生医療が事業として成り立つ道筋が見えてきたということでしょうか。
J-TEC、ジェイスを保険請求できる施設が大幅拡大の見通し、厚労省が「保険算定に関する留意事項」を改定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9339/
 ただし、薬事承認を取得した後になって、保険診療の中で使える医療機関が制限されたり、保険請求できる枚数が制限されたりといった一連の事態を見ていると、企業はリスクを負って再生医療製品を開発しても、将来の売り上げをなかなかシミュレーションすることができません。それでは企業は開発への投資を決断できません。厚生労働省は、再生医療製品を薬事法に則って開発する方向に誘導したいのであれば、そちらにインセンティブを設けるべきでしょう。このところ、研究開発振興政策と薬事政策はかなり同期してきたように感じますが、保険行政は別の方向を向いたままという印象です。
 先週のメールで、雪の高崎市を訪問した話を書きましたが、訪問先は協和発酵キリンのバイオ生産技術研究所でした。抗体医薬の治験薬製造設備として3月19日に竣工するA原薬棟を、竣工前に見学させてもらいました。2つのラインで並行して治験薬を製造できるように設計された製造ラインはさまざまなことが想定されていて、非常に参考になりました。ぜひ、日経バイオテク・オンラインの記事でお読みください。
協和発酵キリン、抗体医薬の治験薬製造施設をお披露目、2ラインで並行して製造でき、承認後の実生産も可能に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9507/
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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日本国際賞と学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞
創刊50号「BTJジャーナル」2010年2月号に掲載
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
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アカデミア向けの有料サービス「BTJアカデミック」はこちらから
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 第26回日本国際賞と第6回日本学術振興会賞、第6回日本学士院学術奨励賞の話題を、BTJジャーナル2010年2月号に掲載しました。日本国際賞は窒素の物質循環を解析した米国のVitousek教授が受賞しました。日本学術振興会賞25人、日本学士院学術奨励賞6人の授賞式は3月1日に実施されました。
 BTJジャーナルは、バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジンです。
BTJジャーナル2010年2月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1002
※BTJ関連記事
日本国際賞、環境の物質循環研究で生態系生態学のPeter Vitousek教授が受賞
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8020/
分野ごとの賞金が5000万円の日本国際賞、2011年授賞対象分野の1つは「生命科学・医学」に決定、2010年の「生物生産・生命環境」受賞者は2010年1月発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/7139/
日本学士院学術奨励賞の受賞者6人が決定、バイオ関連は東大弥生キャンパスの2人、後藤由季子教授と東原和成教授
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8978/
若手対象の第6回日本学術振興会賞25人が決定、所属機関別では東大6人、京大5人、阪大3人、2人は名大と九大、AIST、バイオ関連は10人
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8307/
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 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年2月号(第50号)のコンテンツを目次で紹介します。
P.2 アカデミア・トピックス
特許と論文の連関解析で
組織の業績を数値化
JST-RISTEX
P.5 リポート
デジタル革命後の科学制度
NIHのオープンアクセス活動
大久保公策・遺伝研教授
P.10 キャリア
第26回日本国際賞
第6回日本学術振興会賞
第6回日本学士院学術奨励賞
P.13 BTJアカデミック・ランキング
かずさ経営破綻が閲読トップ
P.14 専門情報サイト「FoodScience」
環境ホルモン、その後