こんにちは。水曜日のメールマガジンを担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 先週末、文部科学省のイベントで、再生医療に関する講演会がありました。1つは文科省の橋渡し研究支援推進プログラムのトランスレーショナルリサーチ研修会に関するもので、午前中に開催され、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)やアルブラスト(神戸市、北川全社長)、米Cytori Therapeutics社、インドStempeutics Research社、Reliance Life Sciences社などが講演をしました。
 また、午後からは同プログラムの09年度の成果報告会として、「再生医療の臨床研究の現状」が報告されました。文科省の橋渡し研究支援推進プログラムは、全国7拠点における臨床研究・治験の支援体制を整備しようというものですが、それら7拠点で進められているプロジェクトのうち、再生医療関係の臨床研究の成果が報告されました。
 報告に先立って、先端医療振興財団臨床研究情報センターの福島雅典センター長は、「人類の歴史の中できわめて重要なポイントにいる」「ここにいる皆さんは、全く新しい医学の曙に居合わせた」と、再生医療の革新性について強調していたのが印象的でした。
 報告会の内容については、後ほど日経バイオテク・オンラインで記事として紹介させていただきますので、そちらでお読みください。このメール中では、その中から2つの話題について紹介させていただきたいと思います。
 1つは間葉系幹細胞や脂肪組織由来幹細胞を用いた細胞治療の作用メカニズムについてです。例えば発生から1カ月半を経過した脳梗塞に対して骨髄系の間葉系幹細胞を静脈注射で投与した治療が報告されていました。これは局所投与ではなく、静脈注射なわけですから、幹細胞は血液脳関門を乗り越えて目的のところに到達した可能性があります。しかも、この例に限らず、例えば骨髄系幹細胞を用いた下肢虚血による潰瘍治療や心疾患の治療などでもそうですが、投与した細胞は必ずしも生着しているわけではなく、一定期間、患部でサイトカインなどを放出して、組織の自己再生を促しているのではないかということで、研究者らの考えは一致しているようでした(骨再生や軟骨再生などは除きますが)。つまり、間葉系細胞を用いた細胞治療は、細胞を、サイトカインなどを目的の場所に運び、放出させるDDSとして利用した治療だということができます。
 もう1つの論点は、福島センター長が強調していましたが、「すべての臨床研究は、ICH-GCP(医薬品の臨床試験に関する実施の基準)にのっとって実施すべきである」ということです。確かに、先端医療振興財団や、東大、京大など、文科省のトランスレーショナルリサーチ支援拠点との共同研究という形で、可能な限り医薬品医療機器総合機構に治験届を提出して、企業による治験と同水準で実施していくというのは、日本の臨床研究の目指すべき姿といえるでしょう。また、それを目指すことが必ずしも不可能ではないのではないかということを、週末の取材で感じさせられました。
 ちょっと散漫になってしまいましたが、これから取材なので失礼します。群馬県の高崎に向かっていますが、窓の外は雪で真っ白です。
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                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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創刊50号「BTJジャーナル」2010年2月号に掲載
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 科学技術振興機構(JST)が、科学技術政策の投資効果を数値化して客観的に評価するのに役立つ“サイエンスリンケージ”のシステム「PATLISYS-J」を構築しました。まずはJSTの事業について分析した成果を、JSTが発行するレフリー付きの月刊誌「情報管理」で、JST社会技術研究開発センター(RISTEX)の治部眞里・アソシエイトフェローと國谷実・上席フェローらが論文発表しました。
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 デジタル革命で膨大なデータが生産される現代の科学政策はどうあるべきか。情報・システム研究機構(ROIS)の大久保公策教授は「共有と独占のバランス」や「インターネット時代の公的科学の知財戦略」「デジタル革命後の科学制度の考察」を発表しました。米国立衛生研究所でパブリックアクセス政策を担当するThakur博士の初来日講演も紹介します。
※BTJ関連記事
論文と特許の連関で定量評価するシステムをJSTが構築、まずはJSTの政策的役割評価に活用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8510/
特許に引用された論文の数を機関別にJSTが分析、科学技術基本計画の期間ごとに比較
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8672/
国別の論文数占有率で日本は96年の2位から07年に5位へ転落、一方でJSTファンディング研究者の論文数占有率は増加
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8776/
急増する日本の大学からの特許出願、バイオ分野の大学特許は論文など非特許文献の引用数が日本特許平均の70倍
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/2948/
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                          BTJ編集長 河田孝雄
※2010年2月号(第50号)のコンテンツを目次で紹介します。
P.2 アカデミア・トピックス
特許と論文の連関解析で
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JST-RISTEX
P.5 リポート
デジタル革命後の科学制度
NIHのオープンアクセス活動
大久保公策・遺伝研教授
P.10 キャリア
第26回日本国際賞
第6回日本学術振興会賞
第6回日本学士院学術奨励賞
P.13 BTJアカデミック・ランキング
かずさ経営破綻が閲読トップ
P.14 専門情報サイト「FoodScience」
環境ホルモン、その後