こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 先週のこのメールで、新型インフルエンザワクチンの接種で、10月16日に厚生労働省が開催した新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会で13歳以上は1回接種と言う結論を出しながら、19日に一転して20代から50代の医療従事者以外は当面2回接種という方針に変わったことを紹介しました。国内での臨床試験が20歳以上の健康成人を対象としたものなので、妊婦や基礎疾患のある人に対しては引き続き臨床試験を行って、1回接種で十分な免疫を誘導できるかどうかを確認することになったものです。医師である足立信也政務官が、16日の意見交換会での決定に待ったを掛けて方針が変わったということで、政治主導の動きとして取り上げられています。
 しかし、16日の意見交換会に参加した専門家の間からはこの手続きを疑問視する声が出ています。25日から都内で開催されていた日本ウイルス学会学術総会では特別パネルディスカッションを行い、この点について突っ込んだ議論がなされました。既に日経バイオテク・オンラインで記事にしてあるので、そちらでお読みください。
日本ウイルス学会、「基礎疾患のある人に2回接種すると小児まで回らない」と河岡教授、新型インフルエンザワクチン巡り特別パネルディスカッション
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6318/
 接種回数の議論のエッセンスだけ紹介すると、要するに現在の日本での流行を見ていると、重症化しているのはほとんどが小児であり、今の優先接種の順番を決める際に参考にしたニューヨークや南半球のデータとは少し違っている(ニューヨークや南半球では妊婦や基礎疾患を有する人が重症化していた)。ところが、現行のスケジュールだと妊婦や基礎疾患を有する人の接種が11月にスタートするが、幼児や小学校低学年はその後で、小学校高学年については1月後半になってからである。それでは子供たちの間の流行に間に合わない。また、基礎疾患のある人すべてに2回接種していては、肝心の子供たちに回らなくなってしまう──というものでした。それから、専門家の意見がないがしろにされたことに対しても強い不満が出ていました。
 ワクチンに関する専門家が長年求めてきたのは、アメリカの予防接種諮問委員会(ACIP)のように公の場で専門家らが議論し、投票によって方針を決定するような組織です。それに比べれば今回の政治主導も、ブラックボックスに見えるのはその通りです。
 それよりも何よりも、ウイルス学会のパネルディスカッションを聞いていて感じたのは、厚生労働省が今、専門家を集めて議論すべきは、最新の流行のデータを基にして、優先接種の順番が現状のままでいいのかどうかを再検討することだと思います。「厚労省はやるべきことをやっていない」という指摘も出ていましたが、その通りだと思います。
 ちなみに、新型インフルエンザワクチンのグローバルな動向を議論する研修会を、11月20日に日本公定書協会が主催して開催します。こちらは海外メーカーの人も参加するので、海外動向を学べそうです。私もジャーナリストの立場で参加させていただきます。ぜひこちらにもご参加ください。
http://www.sjp.jp/kenshu/html/files/yakuji/74/ex64-2.pdf
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
 なお、日経バイオテク・オンラインの全文を読めるのは、日経バイオテク本誌をご購読いただいている方に限らせていただいています。日経バイオテクのご購読は以下からお願いします。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/index.html
 
============================================================================
世界の大学ランキングで日本が躍進、BTJジャーナル09年10月号で特集
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けのスペシャルサービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
============================================================================
 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」09年10月号を先週末に発行・公開しました。
 冒頭の“緑”コーナー「アカデミアトピックス」は今回は、英THE-QSの世界大学ランキング。ランキング情報を中心に5ページ掲載しました。
 THE-QSでは、アジアの大学の躍進が目覚しいと分析しています。特に分野別の「ライフサイエンス・バイオ医薬」では、日本の東京大学と京都大学が大躍進しました。この分野別ランキングでは、研究者の研究業績の客観的評価指標である、論文の非引用データが重要視されています。
 以下のBTJ/日経バイオテク・オンラインの記事を基に編集し、さらに詳しい情報も掲載しています。ぜひご覧ください。
※BTJ/日経バイオテク・オンラインの世界大学ランキング関連記事
Times世界の大学ランキング2009年版、トップ200大学数の国別順位は日本が3位、前年の6位から躍進
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6177/
Times世界の大学ランキング2009年版、Top600に日本は35校、慶早に続く私学は昭和、立命館、東海
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6108/
Times世界の大学ランキング2009年版、バイオ分野トップ50に日本は3大学、東大と京大が大躍進
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/5932/
Times世界の大学ランキング2009年版、Top200に日本は11校、慶大や早大、筑波大など躍進
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/5931/
■上記のBTJ記事は全文を、リンク記事も含め全部ご覧いただくには「日経バイオテクオンライン」への申し込みが必要です。申し込みはこちらから。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/
 BTJジャーナルの誌面は、次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 ぜひお楽しみください。
                          BTJ編集長 河田孝雄
※09年10月号(第46号)のコンテンツを目次で紹介します。
P.2 アカデミア・トピックス
権威ある世界大学ランキング
35校入った日本の大学が躍進
P.7 リポート
「BioJapan 2009」を開催
2万4000人集まった横浜に熱気
P.10 キャリア
テロメアとリボソームに
09年ノーベル賞、予測的中も
P.13 BTJアカデミック・ランキング
大学ランキングで日本躍進がトップ
P.14 専門情報サイト「FoodScience」
最新のトピックス
P.15 バックナンバー目次