今週発売された週刊エコノミストで「バイオ医薬」の特集が組まれ、魅力的な見出しが躍っていたのでつい手に取りました。少し前まではバイオというとベンチャー企業の倒産や清算といった話題ばかりが目に付いていましたが、このところバイオに対する世の中の関心が少し回復してきたように感じます。
 エコノミストの特集でも触れられていましたし、以前に日経バイオテクにも掲載しましたが、野村証券がバイオベンチャーへの投資をテーマとした「野村ピクテ・ジェネリック&ゲノム・ファンド」という投資信託の販売を開始したことが、バイオベンチャーに対する投資家の関心を回復する1つのきっかけになったように思います。
日経バイオテク6月22日号「In The Market」、バイオINDEXが1月で40%上昇
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3414/
 また先日、米MediciNova社の決算説明会に取材に行きましたが、同社の1日平均の株式売買出来高は、08年は4000株程度だったのに、09年上期には2万7000株になったということでした。これも、バイオ株が売買の対象として認識され始めた現われといえそうです。
米MediciNova社、「将来が見えてきた」と岩城社長兼CEO、非中核品目のライセンス活動を開始する意向
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/4677/
 当編集部では、国内の株式市場に上場するバイオベンチャーの株価指数を、「日経BP・バイオINDEX」として2004年4月から計算していますが、今年3月初めに110.35を記録したのを底に、現在は190台にまで回復しました。決して、ブームというほどの勢いはありませんし、実力以上のブームになるのはむしろ危険なことのように思いますが、バイオ株が認められつつあるのはいいことです。9月17日には本格的創薬ベンチャーのキャンバスが上場しますが、同社が株式市場でどのように評価されるかは、今のバイオの人気を占う上で試金石になるのではないかと考えています。
続報、抗がん剤開発ベンチャーのキャンバス、東証マザーズに上場へ、上場予定は9月17日
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/4615/
 ただ、週刊エコノミストの特集は、ちょっと抗体医薬をフィーチャーしすぎのように思いました(執筆陣は私もよく存じ上げている専門家の方ばかりなので、こういうことを言うのもおこがましいのですが)。確かに、今、国内の大手製薬企業はこぞって抗体医薬にシフトしている観がありますが、次代のバイオ製品は抗体医薬だけではありません。
 一方で、英国の公的保険の適応などを決定する英国立医療技術評価機構(NICE)は、アバスチンやネクサバールをはじめとする抗体医薬に厳しい見解を示しています。抗体医薬は価格が高いために、経済的に評価できないというのがその理由です。
 もちろん、イノベーションによって抗体医薬の価格低減も期待されるわけで、その意味で抗体医薬の可能性を否定するつもりはありません。ただ、現状の抗体医薬が抱える、特に価格面の課題をきちんと示しておかなければ、読者をミスリードする可能性もあるのではないかと考える次第です。
 いずれにせよ、バイオに期待が集まること自体は好ましいことです。これを契機に、バイオ産業を着実に盛り上げていければと考えています。
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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第8回国際ゲノム会議の熱気をBTJジャーナル09年7月号に掲載
高速シーケンサー使用の大型国際研究が相次ぎ始まる
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 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」09年7月号を先月末に発行・公開しました。
 “青”コーナーは「リポート」。09年6月16~19日に都内で開かれた第8回国際ゲノム会議の熱気をお届けします。会議には350人が参加、来年後半にも利用が可能になる第3世代の高速シーケンサーに注目が集まりました。先行する第2世代は一般的な技術となり、08年末から09年にかけて高速シーケンサーを使用する大型国際共同研究が始まりました。
 「BTJジャーナル」09年7月号P.6~8の記事をぜひお楽しみください。次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 BTJで報道してきた下記の5本の記事を基にとりまとめました。
※BTJ記事
Washington大、ゲノムの構造変異が子供の発達障害につながることを発見
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3379/
開発中の第3世代高速シーケンサーの売り込み競争が勃発か、東大、理研、文科省などが高速シーケンサーの拠点化を議論
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3360/
Life Technologies社、第3世代量子ドットシーケンサーは第2世代と併用できると予測
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3308/
米Pacific Biosciences社、開発中の第3世代シーケンサーで3000塩基のリード長を達成
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3306/
国際ゲノム会議開幕、1日目の話題は高速シーケンサーを上手に使う方法
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3238/
 以上のBTJ記事は、全文をご覧いただくには、日経バイオテク・オンラインの購読が必要ですが、BTJジャーナルはPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
                        BTJ編集長 河田孝雄
BTJジャーナル09年7月号の内容を目次にて紹介します。
P.2 アカデミア・トピックス
筑波で生物学オリンピック
日本代表が初の金メダル
P.5 スペシャル
大学の特許資産ランキング
トップは慶應義塾
P.6 リポート
第8回国際ゲノム会議
第3世代シーケンサー来年登場
P.9 キャリア
農水省最大の競争的資金
イノベーション創出事業
P.13 BTJアカデミック・ランキング
2700億円とiPS・ES、新課長が人気
P.14 専門情報サイト「FoodScience」
食品安全委員会人事
P.15 バックナンバー目次