こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 プライベートな話ですが、司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」を読み始めました。前々から友人に薦められていて、いつか読みたいと思いながら、文庫本にして全8巻という長さにちょっと手を出せないでいたのですが、近々ドラマ化されると聞き、その前に読んでおこうと手に取った次第です。
 といっても、まだ第2巻に入ったところなので感想を述べられるような段階ではありません。ただ、これまで読んでいて1つ感じたのは、秋山好古、真之兄弟と、正岡子規という、この小説における3人の登場人物を生み出した四国の松山藩の教育熱の高さです。明治維新のときに幕府側についた松山藩が、少しでも政治的に有利になるには教育に力を入れ、中央に人材を送り込むしかなかったという当時の状況が描かれています。当時はまだ江戸時代の地方分権の名残があったのかもしれませんが、新しく始まった中央集権体制の中で何とかプレゼンスを高めていこうという地方都市の意気込みを強く感じました。今、地方経済の惨状が伝えられていますが、当時の経験を生かして、教育からテコ入れすることで地方都市の再興を図れないものでしょうか。
 地方といえば、学会などに取材に行ったときに、地方の大学の研究者が非常にユニークな発表をしているのを聞くことがあります。我々メディアはどうしても首都圏や京阪神などの事例に光を当てがちですが、地方でも頑張っている事例はたくさんあると痛感します。
 思うにこれまで我々は、国際競争に太刀打ちできるような研究開発にばかり着目してきた感があります。確かに、バイオ産業を振興するためには、国際競争に勝つようなとんがったシーズを育てることは重要ですし、今後もそういう取り組みを応援していきたいと考えています。ただ、その一方で、地方における地域ぐるみの取り組みによって、地域密着型の新産業を作り出すという観点もあってもいいように思います。特に、農業や食品、環境などの分野では、必ずしも国際競争を意識せずとも、地域密着型の産業づくりというものがあるはずです。
 日経バイオテク本誌では、そういう観点に立って、地方に光を当てた記事を意識的に増やしています。6月22日号では、バイオ産業集積クラスターに関するリポートを、7月6日号では農業試験場にスポットを当てた記事を掲載しました。
日経バイオテク6月22日号「リポート」、バイオ産業集積クラスターの最前線
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3416/
日経バイオテク7月6日号「リポート」、大改革に向かう農業試験場
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3790/
 衆院選を控えていることもあって、地方分権が盛んに言われていますが、バイオ産業振興の観点でも、それぞれの地域が、その実情に応じた独自の取り組みを行うことが重要でしょう。そして、国はそうした地域の取り組みを積極的に支援すべきです。もちろん、ただ予算をばら撒くだけになってはいけません。地域に応じた特色ある取り組みを、研究者などのリソースをいたずらに分散させることなく支援していく方策を考えていくことが重要です。
 そして、日経バイオテクでは他の地域が参考とすべきような地方の大学や地域の取り組みに光を当てて、オンラインや本誌の記事の中で紹介していきたいと考えています。ぜひ、日経バイオテクをお読みください。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/index.html
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
============================================================================
理研BSIのセンター長に就任した利根川進MIT教授
日本の科学技術政策の問題点を記者懇談会で指摘
BTJジャーナル09年6月号に掲載
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けのスペシャルサービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
============================================================================
 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」09年6月号を先月末(6月25日)に発行・公開しました。
 巻頭の“緑”コーナーは「アカデミア・トピックス」。09年4月に理化学研究所の脳科学総合研究センター(BSI)のセンター長に就任した利根川進氏が6月12日の記者懇談会で「脳科学研究の今後の展望」と題して講演し、日本の脳科学研究の推進体制の弱点や、科学技術政策の問題点を指摘した話題を取り上げています。
 「BTJジャーナル」09年6月号P.2~4の記事をぜひお楽しみください。次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 BTJで報道してきた下記の4本の記事を基にとりまとめました。
※BTJ記事
「あくまでも一般論だが、研究所は10年、15年たつと全体的な生産性が落ちてくる」、利根川・理研BSIセンター長が就任の経緯を解説
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3319/
「いい機会なので日本の科学技術行政の問題点を少し話したい」、利根川進・理研BSI センター長が最後の5分にコメント
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3287/
  
6月23日に科学技術・学術審議会の脳科学研究答申へ、米17%、英19%に比べ日本はわずか7%
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3278/
 
利根川進氏がセンター長に就任した理研BSI、研究室主宰者58人のうち11人に終身在職権
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3239/
 以上のBTJ記事は、全文をご覧いただくには、日経バイオテク・オンラインの購読が必要ですが、BTJジャーナルはPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
                        BTJ編集長 河田孝雄
BTJジャーナル09年6月号の内容を目次にて紹介します。
P.2 アカデミア・トピックス
利根川進・理研BSIセンター長が
日本の科学技術政策の問題を指摘
P.5 スペシャル
権威ある大学ランキングにアジア版
トップ100に日本の大学は33校
P.6 リポート
日本エピジェネティクス研究会
次回(第4回)は鳥取・米子で

P.9 キャリア
第3期科学技術基本計画
フォローアップをNISTEP発表
P.13 BTJアカデミック・ランキング
利根川進氏の記事が上位占める
P.14 専門情報サイト「FoodScience」
新型インフルエンザの「安心宣言」