こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 国内の株式市場に上場しているバイオベンチャーに、幾つか動きがありました。1つはそーせいグループとVectura Group社が共同開発し、Novartis社に導出していた慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬NVA237のフェーズIIIが始まったことです。
そーせい待望のCOPD薬フェーズIII、導出先のNovartis社が開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3564/
 もっとも、これに伴ってマイルストーン収入が得られることは、既に2010年3月期の業績予想にも織り込み済みだったため、株価がストップ高になったのは発表当日の29日だけでした。ただ、元は英Arakis社の買収によって入手した化合物ではありますが、フェーズIIIの開始によって承認取得に向けて一歩前進したのは間違いありません。導出先のメガファーマからロイヤルティー収入を得るというバイオベンチャーの典型的なビジネスモデルの実現が近づいた格好です。
 一方、米MediciNova社は6月25日に、米創薬ベンチャーのAvigen社を買収することで合意したと発表しました。
米MediciNova社が創薬ベンチャー買収で合意
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3500/
 Avigen社は、MediciNova社が多発性硬化症治療薬として開発しているMN-116と同じ化合物であるイブラジストを疼痛治療薬を開発していましたが、現在はほぼ事業を停止しています。買収によって、MediciNova社はAvigen社が実施した最大耐用量の試験結果などを入手できると見られ、MN-116のフェーズIIIを進展させるほか、導出交渉にもいい影響がありそうです。
 トランスジェニックは26日に、関連会社の果実堂を連結対象会社にすると発表し、同時に業績予想の上方修正も行いました。
トランスジェニック、果実堂を連結対象会社に、2010年3月期通期連結売上高を2倍以上に大幅上方修正
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3494/
 果実堂は、トランスジェニックの創業者である井出剛氏が創業した食品系のベンチャーで、有機栽培したベビーリーフや機能性のドレッシングなどの販売を行っています。トランスジェニックは4月に果実堂に20.8%出資していましたが、6月23日の株主総会で井出氏がトランスジェニックの取締役に復帰したことなどに伴い、連結対象にしたものです。今後は、果実堂の連結対象会社化が、トランスジェニックの財務にいい結果をもたらすかどうかが注目されます。
 アールテック・ウエノでは、26日の株主総会で橋寺由紀子代表取締役社長が退任しました。
アールテック・ウエノ、上場時の代表取締役2人が退任、株主提案の久能祐子氏が取締役会長に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3441/
 アールテックでは、大株主から米Sucampo Pharmaceuticals社の久能祐子取締役を取締役候補者とするように求められていました。もともとアールテックはSucampo社の創業者である上野隆司氏が創業した会社ですが、アールテックが上場する際、Sucampo 社との独立性を保つために上野氏が取締役を退任した経緯があります。このため、アールテックでは当初、久能氏の取締役就任に反対意見を表明しており、橋寺社長の退任の背景には久能氏の取締役選任の問題があったと見られます。ただ、Sucampo社とアールテックは、医薬品の開発・販売会社と製造会社という関係でもあり、連結経営がなされる方がむしろ適切という見方もあります。今回の取締役交代が、両社の経営にどのように影響するかが注目されます。
 このほか、免疫生物研究所がバイオベンチャーを買収したというニュースもありました。
免疫生物研究所、カイコでたんぱく質製造するネオシルクを子会社化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3501/
 こうしたトピックが相次ぐことが、上場バイオベンチャー全体の株価にも影響を及ぼすでしょうか。日経バイオテクが算出している日経BP・バイオINDEXは、3月以降、上昇トレンドを続けていますが、これに弾みがつけばいいと、密かに期待しています。
日経BP・バイオINDEXとは
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2002/2896/
 バイオベンチャーの経営に関する情報は、ぜひ、日経バイオテクでお読みください。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/index.html
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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BTJアカデミックの直近1カ月アクセスTop10は、
利根川進氏の記事が1位、2位と6位にランクイン
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 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」09年6月号を先週木曜日(6月25日)に発行・公開しました。
 P.13の黄色コーナーであるBTJテーマサイト「BTJアカデミック」では、09年5月25日~6月25日の1カ月間で、オンライン・アクセスが多かったBTJアカデミック記事のTop 10を掲載しています。
 09年4月に理化学研究所BSIセンター長に就任した利根川進氏の記事が1位、2位と6位にランクインしています。次のサイトで「BTJジャーナル」のPDFファイルをダウンロードしてご覧ください。
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BTJアカデミック 直近1カ月(09/5/25-09/6/25)のアクセストップ10
(日経バイオテク・オンラインの読者の皆さんは、■以降のアドレスをクリックして
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1位
利根川進氏がセンター長に就任した理研BSI、研究室主宰者58人のうち11人に終身在
職権(09/6/16)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20063239
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3239/
2位
「いい機会なので日本の科学技術行政の問題点を少し話したい」、利根川進・理研BSI
センター長が最後の5分にコメント(09/6/18)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20063287
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3287/
3位
安田賢二・医科歯科大教授がKASTプロで1サイクル4秒のPCR、「防衛省とも協力」
(09/6/2)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20062860
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/2860/
4位
激戦の“重点クラスター”選抜、文部科学省と経済産業省が結果発表(09/6/13)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20063185
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3185/
5位
東工大、北海道医療大学、理研ほか、耳あか型のSNPは腋臭多汗症、乳がんリスクと
関連(09/6/8)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20063058
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3058/
6位
「あくまでも一般論だが、研究所は10年、15年たつと全体的な生産性が落ちてくる」、
利根川・理研BSIセンター長が就任の経緯を解説(09/6/20)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20063319
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3319/
7位
急増する日本の大学からの特許出願、バイオ分野の大学特許は論文など非特許文献の
引用数が日本特許平均の70倍(09/6/4)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20062948
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/2948/
8位
京都大学、学問の府の見識を示す、京都府で新型インフル発生も授業は正常通り
(09/5/22)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20062558
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/2558/
9位
「2700億円、研究者30人に集中投入」、野田聖子科学技術政策担当特命大臣が講演
(09/6/22)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20063324
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3324/
10位
QSアジア大学ランキングで東大は香港勢2校に次いで3位、アジアTop100に日本勢は
33校(09/6/17)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20063260
■ https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3260/
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またはBTJアカデミックの購読が必要です。
                        BTJ編集長 河田孝雄
最後に、BTJジャーナル09年6月号の内容を目次にて紹介します。
P.2 アカデミア・トピックス
利根川進・理研BSIセンター長が
日本の科学技術政策の問題を指摘
P.5 スペシャル
権威ある大学ランキングにアジア版
トップ100に日本の大学は33校
P.6 リポート
日本エピジェネティクス研究会
次回(第4回)は鳥取・米子で

P.9 キャリア
第3期科学技術基本計画
フォローアップをNISTEP発表
P.13 BTJアカデミック・ランキング
利根川進氏の記事が上位占める
P.14 専門情報サイト「FoodScience」
新型インフルエンザの「安心宣言」