灼熱の都内で取材や会議に奔走しております。沖縄は梅雨明け、関東地方も今週の雨で、梅雨に終止符を打つことを期待しておりますが、熱い夏にマゾヒスティックな悦びを持っている訳ではありません。熱くても、アリゾナ州みたいに乾燥していれば、生命の危機や痛いという感じで、不快ではないのが不思議です。きっと、生命の危機のためにだるくなることを許されないためかも知れません。

 さて、塩野義製薬が皆さんと共同研究を提案するFINDSの応募締め切りが、明日(6月30日)と迫ってまいりました。
研究費もありがたいですが、創薬のプロの塩野義製薬と共同で、皆さんの技術シーズを実用化できることが魅力です。本当の意味のトランスレーショナル研究となります。 しかも、新薬のシーズばかりでなく、オミックススや革新的なバイオ技術に関しても、共同研究の機会を募集しています。皆さんの研究やアイデアを発展させましょう。
 締め切りは6月30日です。 どうぞ下記のサイトにアクセスし、奮ってご応募願います。
http://www.shionogi.co.jp/finds/ 
 先週は、BioCamp2009の国内大会が東京で開催されました。3人が選抜され、10月にBostonで開催する国際大会で、しごかれます。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3506/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3418/
 国内大会でも世界6カ国の国籍を持ち、我が国で勉学や仕事をしている若者が集結しました。殆どの日程が英語で行われました。今年で5回連続で参画しておりますが、毎年驚くのは、参加者の英語力の向上です。背景には、日本の初等中等教育の英語教育の成功が決してある訳ではないのが残念です。主に帰国子女のように、海外での居住体験のある若者が急速に、我が国でも増加していることが、若者の英語力と発音の美しさの理由でした。
 語学は小脳の機能、つまり運動能力と同じですから、意図して学ぶよりもより多くの英語を聴き、会話することの方が重要です。口や咽頭の筋肉も、これによって鍛えられ、より原音に近い再生ができます。我が国の初等中等教育に外国人教師を迎えることに加え、外国人の生徒も混ぜて教育しなくては、日本の英語学問題の根本は解決しないかも知れません。
 もうそろそろ、多言語、多文化の環境を、もっと若い間に提供しなくてはなりません。移民政策もこの観点から見直してはいかがでしょうか?オーストラリアのように、専門技術者や学者にビザを与えることから始めれば、日本の今の閉塞状況を打破し、2世代先の子供達に国際化の手がかりを与えることができます。勿論、我が国の専門家の中で、国内しか通用しないヒトには厳しい淘汰が待っておりますが、これは今の蛸壺を抜け出す知性に練磨の機会を与える効果も期待できます。まさに一石二鳥ですね。
 単純労働者の移民促進は、国内での所得格差と犯罪増加に拍車を掛けるため、私は避けるべきだと思っています。額に汗をかいて、我が国の国民が労働する機会と、こうした労働に対しても正当な報酬を用意すべきだと思います。勿論、力仕事よりも工芸や高度な農業など、頭を使う肉体労働が主軸となります。
 私の駆け出しの頃の苦い経験ですが、米国大使館のレセプションで英語が出来なかったために、知性を疑われたことがあります。この傾向は一般的で、New Yorkのニューススタンドで雑誌を買おうと思って、知性を疑われたこともあります。今を思えば、相手がろくな英語をしゃべっていなかったと思いますが、その当時は結構へこみました。
 このコンプレックスが氷解したのは、英国Edinburgh大学で何と英語で講義してしまったからです。今でもこの勇気というか、厚かましさには、われながら偉いと自惚れています。2時間、日本のバイオ産業を講義したのですが、終わって気がついたのは、誰も私の言ったことを理解しえなかったということでした。別に高度な内容のせいではないのは明白です。正直、がっかりというか、パニックというか?
 しかし、ここからが彼らの凄さです。太陽の沈まない帝国を創り上げた英国人にとって、異国人が訳の分からないことをしゃべることには慣れていたのです。但し、私は一生懸命講義をしましたから、「こいつは何かを伝えようとしている」と認識したようです。
 そこで始まったのが、1時間のYes or Noで答えられる疑問文による質問の嵐でした。YesとNoに関しては自信はありましたので、1時間、Yes、Yes、No..といった答えで、彼らは完璧に日本のバイオ産業を理解してしまったのです。
 外国語が通じるか?通じないか?は、話す側だけの責任ではなく、聞く側の責任もある。この確信が今の私を作っています。
 BioCamp2009の国内大会でも、まだまだ日本人の語学は不足しています。発音はともかく、ボキャブラリと自信が不足していました。短い時間で議論するためには、語学を我々はもっと磨く必要がありますが、Novartis社の広報担当者は、語学は単に道具であり、10月までに訓練すれば問題ないとあっさり評価しておりました。皆さんも道具を鍛えて、世界に乗り出しましょう。
 但し、中身と自分のアイデンティティーが、道具以上に重要であることもお忘れなく。
 今週もお元気で。
      Biotechnology Japan Webmaster  宮田 満
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<<BTJブログWmの憂鬱>> 
最新一週間の記事  http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
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2009-06-24   
BTJブログWmの憂鬱2009年06月24日、なぜSNPの特許権は確保されないのか
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3409/
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2009-06-22    
BTJブログWmの憂鬱2009年06月22日、見えてきた第三世代のシーケンサーの実用化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3361/
 
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理研BSIのセンター長に就任した利根川進MIT教授
記者懇談会で日本の脳科学研究推進体制の弱点を指摘
BTJジャーナル09年6月号に掲載
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
アカデミア向けのスペシャルサービス「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」09年6月号を先週木曜日(6月25日)に発行・公開しました。
 巻頭の“緑”コーナーは「アカデミア・トピックス」。09年4月に理化学研究所の脳科学総合研究センター(BSI)のセンター長に就任した利根川進氏が6月12日の記者懇談会で「脳科学研究の今後の展望」と題して講演し、日本の脳科学研究の推進体制の弱点や、科学技術政策の問題点を指摘した話題を取り上げています。
 「BTJジャーナル」09年6月号P.2~4の記事をぜひお楽しみください。次のサイトでPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 BTJで報道してきた下記の4本の記事を基にとりまとめました。
※BTJ記事
「あくまでも一般論だが、研究所は10年、15年たつと全体的な生産性が落ちてくる」、利根川・理研BSIセンター長が就任の経緯を解説
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3319/
「いい機会なので日本の科学技術行政の問題点を少し話したい」、利根川進・理研BSI センター長が最後の5分にコメント
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3287/
  
6月23日に科学技術・学術審議会の脳科学研究答申へ、米17%、英19%に比べ日本はわずか7%
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3278/
 
利根川進氏がセンター長に就任した理研BSI、研究室主宰者58人のうち11人に終身在職権
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3239/
 以上のBTJ記事は、全文をご覧いただくには、日経バイオテク・オンラインの購読が必要ですが、BTJジャーナルはPDFファイルをダウンロードすると、全文をご覧いただけます。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
                        BTJ編集長 河田孝雄
BTJジャーナル09年6月号の内容を目次にて紹介します。
P.2 アカデミア・トピックス
利根川進・理研BSIセンター長が
日本の科学技術政策の問題を指摘
P.5 スペシャル
権威ある大学ランキングにアジア版
トップ100に日本の大学は33校
P.6 リポート
日本エピジェネティクス研究会
次回(第4回)は鳥取・米子で

P.9 キャリア
第3期科学技術基本計画
フォローアップをNISTEP発表
P.13 BTJアカデミック・ランキング
利根川進氏の記事が上位占める
P.14 専門情報サイト「FoodScience」
新型インフルエンザの「安心宣言」