こんにちは。水曜を担当する橋本宗明です。
 学会シーズンもたけなわで、私も含めてバイオ部の記者は各地を飛び回って取材しています。各学会のリポートは、逐次、日経バイオテク・オンラインで報じていますので、ぜひ、お読みください。ちなみに、この1週間に掲載した学会関連の記事は以下の通りです。
「米セルロース系バイオエタノール、資金調達が課題」と最大手の米Verenium社幹部
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/1032/
LTPはブラジキニンの働きを増強して血管拡張物質の産生を誘導、カルピスが国循との成果を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/1030/
「イチゴ工場」の年間インターフェロン製造能力、イヌ歯周病薬160万頭分に相当
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/1026/
「カツオエキス」でバイオ医薬品の生産性を改善、中外製薬の平島親氏が発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/1025/
キッコーマンが組み換えペルオキシダーゼの成果発表、西洋ワサビペルオキシダーゼの問題点を解決へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/1011/
トマト葉はGABAを多く含み高血圧を下げる、和洋女子大の橋詰直孝教授らが農芸化学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/1007/
日本臨床腫瘍学会、ダナフォームがゲフィチニブ用の改良型遺伝子診断キットを発売へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0971/
日本農芸化学会の会長に清水昌・京大教授が就任、懇親会では「ゲノム科学はかなり熱心にやった」と有川節夫・九大総長があいさつ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0967/
低分子量ヒアルロン酸は合成酵素の発現促進して美肌効果、キッコーマン、紀文フードケミファが東大との研究成果を農芸化学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0966/
日本薬学会、アレンドロネートのパッチ製剤化で有望な試験結果
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0961/
超並列シーケンサー解析の効率高める「SureSelect」をアジレントが4月販売開始、1キット1300万円超まで品ぞろえ、農芸化学会シンポで技術発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0962/
日本臨床腫瘍学会、ゲフィチニブの国際フェーズIIIで優越性主張も統計的解釈に異論
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0959/
日本農芸化学会大会が福岡で開幕、午前中に研究企画賞受賞3件の研究テーマ概要を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0957/
 さて、最近、学会に取材に行くと、「取材時のルール」に関して約束させられることが多くなりました。その多くは、「演者の許可なく撮影、録音をしてはならない」というものです。聞き漏らしを避けたり、メモを取る手間を省くために、スライドの写真を撮ったり、録音したくなったりするのは、講演を聞いている途中で思い立って、ということが多いので、なかなか事前に演者の許可を得ておくのも難しいのですが、学会のマナーだといわれればその通りかもしれません。また、記事を書く場合は、演者の許可を受けろといわれることもあります。演者に「今日の発表を記事で紹介させていただきたい」と言うと、「まだ論文にしていないので書かないで欲しい」といわれてがっかりさせられることもあるのですが、「記事にする前に演者の許可を受けろ」というのは、まあ常識的な要求だと思います。
 ただ、ときに理不尽な要求を突きつけられることもあります。この前取材したある学会では、受付の際に「演者と司会者から許可を受けた後でなければ取材してはならない。許可を受けて取材した場合でも、公表前に演者・司会者による校閲を受け、再度許可を得なければならない。被取材者との間でトラブルが生じても、その責は取材者が負い、学会、学会事務局に迷惑をかけない」という文書にサインすることを求められました。
 記事の責任は当然取材者側にあるので、最後のポイントは当然だとしても、演者や座長の事前許可を受けるのは、物理的にちょっと難しい面があります。演者や座長と面識がなく、抄録を手掛かりにおもしろそうな演題を聞いて記事にするという取材者側の事情を理解いただければ、事前許可は現実的ではないと分かってもらえるかと思います。
 それよりも、「校閲を受けなければ公表してはならない」というのはいただけません。
どこの新聞社でもそうだと思いますが、取材相手から「記事を事前に見せて欲しい」と言われてもお断りしています。取材相手にとって不都合な部分の削除を要求されても、それが記事の肝だったりすることがあるからです。取材相手が「過去に誤った記事を書かれた経験がある」など、ナーバスな場合は、括弧書きの部分や数字については確認するということで折り合いを付けることもありますが、全文の校閲を受けるなどありえないことです。
 だから「この校閲の項目を削除してもらわないとサインできない」と言ったのですが、事務局と称する運営会社の人から「だったら取材させない」と言われ、帰ろうかとも思ったのですが、早起きして新幹線で来たのに帰るのもなあ、と逡巡した挙句、サインすることにしました。この学会には取材する旨を事前に伝えてあり、その時には何も言っていなかったのに、当日受付に行くとこんな条件を記した紙にサインするよう求められた次第です。そんなルールがあるのなら、事前に教えて欲しかった(そうすれば取材には行かなかったでしょう)。
 「誤った報道をされて迷惑を被るのを避けたい」という事情は理解できます。だったら、「事実に反した報道をしないよう、取材者は講演者・司会者に確認してから報道する」ぐらいの表現にとどめるべきです。だいいち、「校閲させろ」などと言っていること自体、「都合の悪いことは報道させない」と宣言しているようなもので、「閉鎖的な学会」というイメージを強くするだけです。
 取材者側が正しい報道に務めなければならないのは当然のことです。一方で、学会には社会に対して開かれた運営を心掛けていただくよう、切に願います。
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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荒天の中、1800人が集まった再生医療学会をリポート
【創刊3周年】BTJジャーナル09年3月号で報道記事をご覧ください。
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 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」09年3月号を先週、発行・公開しました。
 “緑”コーナーの「アカデミア・トピックス」は今号では、3月上旬に東京で開催された第8回日本再生医療学会総会のもようをリポートしています。ぜひご覧ください。
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※日本再生医療学会関連のBTJ記事リスト
再生医療学会、骨・軟骨再生医療に向けた標準化活動の進展を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0485/
再生医療学会、細胞シート工学でシンポジウム、食道がん患者に対する細胞シート移植の臨床研究が良好な成績
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0466/
再生医療学会、名大、ニコン、細胞集団の形態を観察するシステムを利用した再生医療用ツールを提案
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0465/
再生医療学会、阪大、クリングルファーマ、なぜ肝細胞増殖因子が敗血症に効くのか
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0430/
再生医療学会、再生医療実現に向けた規制緩和に関する声明を発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0453/
再生医療学会、京大、幹細胞創薬研、相同組み換えでヒトES細胞を遺伝子改変、サイレンシング抑制に成功
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0400/

網膜色素変性症のiPS細胞を樹立した慶大医学部の坪田教授、「iPS細胞は究極のアンチエイジング細胞だ」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0250/
それでは最後に09年3月号(第39号)のコンテンツを目次で紹介します。
P.2 アカデミア・トピックス
再生医療学会に1800人超
実用化目指し活発に議論
P.5 リポート
情報の循環を改善する
統合DBプロジェクト本格化
P.10 キャリア
08年ノーベル化学賞の
下村脩博士が記者会見
P.12 日経BP技術賞が決定
P.13 BTJアカデミック・ランキング
再生医療議連の提言案がトップ
P.14 専門情報サイト「FoodScience」
P.15 広告索引
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                         BTJ編集長 河田孝雄