毎週金曜日のバイオテクノロジー(BTJ)メールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田です。
 さて今週は、今日(金曜日)から遡って、この1週間を報告します。
 今日は午後、千葉県四街道市にあるハウス食品の研究所(ソマテックセンターという名称です)にうかがいました(このメール原稿は午前中に書いてますが、便宜上、過去形にしてます)。
 四街道市といっても、JR四街道駅からは少し離れているようで、千葉都市モノレールの終点の千城台から車で移動の場所にあります。うかがうのは半年ぶりです。
※BTJ記事
ハウス食品がRNAiでタマネギの催涙成分を抑制、NZ研究機関との成果を相次ぎ論文発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5675/
 今回は、食品中に含まれるアレルギー物質を検査する方法を開発した件についての取材です。
 昨年(2008年)11月28日に東京・渋谷の日本薬学会長井記念ホールで開催された「第6回食品安全フォーラム」(主催:日本薬学会レギュラトリーサイエンス部会)で、東京海洋大学食品生産科学科の塩見一雄教授が「(トピックス)エビ、カニの検査法について」と題した講演をなさいました。
 エビ、カニの検査法として、エビとカニの両方を定量検出できるELISA法がスクリーニング検査として有用だが、エビとカニを区別できない、という弱点もある。エビとカニをそれぞれ特異的に定性検出できる方法をハウス食品が開発し、確認検査として有用とうかがってました。
 上海ガニやシャコの話もありました。
 09年1月下旬に、厚生労働省医薬局食品保健部長が「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」と題した通知を出しましたので、ハウス食品に詳しい内容を取材するというわけです。
 昨日(木曜日)は、東京大学農学部のキャンパスの弥生講堂・一条ホールで日本健康・栄養食品協会の特定保健用食品部が開催した「平成20年度 第3回『特定保健用食品講習会』」を取材しました。
 記事2本まとめたのでご覧ください。
※BTJ記事
トクホの新ヘルスクレーム実現には、国内外の複数の研究グループによる結果の支持が必要、清水誠・東大教授が講演
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0004/
健康、習慣、CARE、エステ、サプリはトクホの商品名にNG、厚労省係長が解説
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0003/
 お昼前は、一ツ橋で開かれた「ifia JAPAN 2009」(第14回国際食品素材/添加物展・会議)の記者発表会に参加しました。
 この展示会・会議は09年5月20~22日に東京ビッグサイトで、食品化学新聞社が開催するのですが、不況下にあっても年間支出が前年比20%も増加しているという、ペットフード・サプリメントのセミナーが特におもしろそうです。
 ただし5月20~22日というと、ちょうど長崎で日本栄養・食糧学会が開催されるので、両方の掛け持ちは難しそうです。
 一昨日水曜日は、ロシュ・ダイアグノスティックスの記者懇談会に参加しました。(1週間前のメールで話題にさせていただいた)2月5日の理化学研究所のオミックス研究領域で見た装置が、見間違いではなく「チタニウム」だったことなどを確認できました。
※BTJ記事(増田記者の記事です)
ロシュ・ダイアグノスティックス、09年は次世代シーケンサーとリアルタイム細胞観察で研究機器事業15%の成長目指す
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/9970/
 午後は東京・八重洲で開かれたエルゼビア・ジャパンが開催した「合成化学者のためのワークフローツール(反応データベース)Reaxys」のセミナーを取材しまして、特に富士通バイオIT事業開発本部バイオケミカルプロジェクト室の成戸俊二・薬学博士の「Reaxysを使って」と題したプレゼンがとてもおもしろかったです。
 成戸さんは長らく、三共で研究に携わり、研究開発情報管理部長などをおつとめの後、2年前に富士通に移られたとのことです。
 Reaxysは、CrossFire Beilstein(世界最大の有機化合物のファクトデータベース)、CrossFire Gmelin(世界最大の無機化合物と有機金属・錯体のファクトデータベース)、Patent Chemistry Database、という3つの実績のあるデータベース(DB)を統合した、世界最大の有機化学、無機化学、有機金属・錯体のファクトデータベース。ウェブベースで、社内のどのPCからも利用可能で、創薬・合成化学研究の効率化に寄与する、とエルゼビアからは説明がありました。
 上の3つのDBのうち、最初の2つのCrossFireは、ドイツで構築された冊子体のDB (Beilstein Handbook of Organic Chemistryと、Gmelin Handbook of Inorganic and Organometallic Chemistry)を電子化したもので、現在、CrossFire Beilstein には1700万件の化合物が登録されているそうです。
 クライアントサーバーアプリケーションである「CrossFire」は1994年に完成し、日本では三共が最初に購入したとのことです。
 ドイツで作られた、もともとの冊子体の方は、全部の書籍が揃っているのは、なんと世界中でたった190カ所とのこと。1冊当たりの価格はおよそ30万円とのことなので、成戸さんがパワポ写真で示した書籍棚を拝見した限り、およそ数百冊くらいあったので、掛け算すると1億円近くに相当するようです。
 東京工業大学の図書館の方が、オンライン化された今でも、紙ベースのものは残しておいた方がいいのか、という質問をなさってました。紙ベースは不要だが、大学などの資産になるので、廃棄はできない、というのが実態のようです。
 当方は大学では応用化学系に所属していたのですが、有機合成のドイツのDBの書籍は知りませんでした。
 書籍ベースで調べると、熟練した方でも、1つの反応経路を調べるのに半日ほどかかっていた。これに対し、電子化されたCrossFireでは3分で検索できるようになったと、成戸さんはお話でした。
 今度のReaxysを使って多段階反応を検索したら、一番長いものは54段階のものが見つかったとのことです。実際いは数段階の反応について、合成経路を考えるのに便利とのことです。
 Reaxysの開発に当たっては、米英日アジアの20社ほどが、国際的な開発パートナーとして参画し、日本からは富士通のほか、3社ほどがかかわったとのことです。
 水曜日夕方は、政策研究院・政策研究大学院大学の保健管理センターの鈴木(堀田)真理教授の「摂食障害の現状と対策~痩せ願望とダイエットの危険性~」と題した
講演を聴きました。
 鈴木教授は、東京女子医科大学の内分泌疾患総合医療センター内科と、女性生涯健康センター内科で診療なさっている内科専門医です。グレリンの投与や、グレリンを増やす作用のある漢方など、興味深い成果の案内がありました。
 欧米では摂食障害センターはたくさんあるが、日本は国立も含め1カ所もないとのことです。
 鈴木教授の講演の中で、この分野の医者は減ってしまっている、診療報酬が40分で800円と低額なのも問題、という話があったので、講演後に少し詳しくうかがいました。800点のようなので、金額に換算すると8000円、3割自己負担の支払いは2400円ということのようです。それでも医師の人件費を考えるとコスト割れですよね。
 先々週のメールで、慶應義塾病院では1時間2万1000円という話を書きましたが、大阪大学病院の補完医療外来では、初診は30分で1万5000円ということを、今週知りました。
 火曜日(2月17日)は午後、第4回ILSI Japanライフサイエンス・シンポジウム「日本の食生活と肥満研究部会報告会」(昭和女子大学、主催:ILSI Japan栄養健康研究会)がおもしろかったです。
http://www.ilsijapan.org/ILSIJapan/LEC/LifeScience/LifeScience2009.html
 夕方は東京大学の小池和彦教授(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻生体防御感染症学教授、同医学部附属病院感染症内科教授)の「多面性疾患としてのウイルス肝炎─その解明と治療戦略─」の講演を聴きました。C型肝炎ウイルスは全身性の感染症で、とにかく太らないことが大切。もっと痩せなさいというべきだが、一般の医者は知らないし、専門医にも浸透していない、もっと大きな声で主張していきたい、とのことでした。
 痩せすぎや肥満は、日本でも大きな社会問題になっているということですね。
 月曜日(2月16日)は京都で、アークレイと、エマオス京都を取材しました。
 アークレイは今年、bjリーグ(日本プロバスケットボールリーグ)の京都チームを立ち上げるそうです。企業スポーツ厳冬の時代に、珍しいことと感じました。
※アークレイ関連の最近のBTJ記事
アークレイが「ポスドク採用枠」を新設、対象は生活習慣病診断機器試薬やバイオセンサーなど
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/0006/
訂正、アークレイが全自動SNP装置発売、世界初の卓上型で個の医療、大学等と共同研究
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/9088/
メタボ対策やがん予防、抗疲労など期待の温州みかんβクリプトキサンチン、まずは骨の健康対策でトクホ申請
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/7164/  
 先週の金曜日(2月13日)は、東京・永田町の38階建てプルデンシャルタワーの7階にある食品安全委員会の大会議室で、3時間半にわたり、傍聴しました。記事ご覧ください。
※BTJ記事
写真更新、食品安全委員会WG、バリデーションされていない遺伝子改変動物のデータはあくまで参考、国際標準を重視
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/9968/
花王「エコナ」はやはり安全、3年ぶり開催の食品安全委員会合同WGが結論
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/9807/
 メール原稿の締め切りが迫ってきました。
 ここで「日経BP技術賞・読者大賞」の投票のご案内を紹介させていただきます。これまで日経BP技術賞の大賞に選ばれた28の技術の中から、1つを選んで投票していただくものです。ぜひご協力をよろしくお願いします。
 「日経BP技術賞」は各産業分野で大きなインパクトをもたらす優秀な技術を表彰することを通じて、産業や社会の発展に寄与することを目的に、日経BP社が1991年に創設した賞です。(1)電子(2)情報通信(3)機械システム(4)建設(5)医療・バイオ(6)エコロジーの各分野の技術系雑誌やWebなどが報道した技術や製品の中から、専門家の審査を経て、大賞と部門賞を毎年選出してきました。
 これまでに「日経BP技術賞・大賞」として、累計28件の技術を顕彰しました。今回は日経BP社の創立40周年を記念して、弊社の雑誌やWeb、メールマガジンの読者の皆さんに、この28件の「日経BP技術賞・大賞」の中から、最も私たちの社会と産業に貢献した、あるいは貢献すると考えられる技術や製品を、「日経BP技術賞・読者大賞」として選んでもらいます。詳細については( https://aida.nikkeibp.co.jp/Q/R006401gQ.html )をご覧ください。
 最後に先月末に発行・公開した「BTJジャーナル」09年1月号(第37号)のコンテンツを目次にて紹介します。お楽しみください。
                         BTJ編集長 河田孝雄
■「BTJジャーナル」09年1月号(第37号)のコンテンツ
P.2 アカデミア・トピックス
寄稿エッセイ「ノーベル賞のとなり」
千島隆司・医学博士
P.9 リポート
ターゲットタンパク
ゲノムネットワーク
P.12 キャリア
民間の研究者表彰
上原賞、安藤百福賞
P.14 コミュニティ
バイオ関連団体賀詞交歓会
P.15 BTJアカデミック・ランキング
2008年間トップ50を発表
P.17 専門情報サイト「FoodScience」
P.18 広告索引
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