昨日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が開催した第3回PMDA国際バイオロジクスシンポジウムを取材しました。といっても、昼から別の要件が入ってしまい、午前中の一部のセッションしか聞けなかったのですが。
 テーマはバイオ後続品。いわゆるバイオ医薬品が特許切れして出てくる医薬品のことで、かつてはバイオジェネリックといわれていましたが、低分子医薬品の後発品(ジェネリック)とは違って、先発品との同一性を実証することが困難であるなどの理由で、「後続品」という言葉が使われています。ちなみに、米国では主にFollow-on biologics、欧州ではBiosimilarと呼ばれていますが、単語として統一しないとデータベースを検索しても引っかかってこないので考え物です。日経バイオテクでの表記の仕方も近々にも決めて、皆さんにご案内したいと思いますが、とりあえずこの原稿では「バイオ後続品」と表記しておきます。
 シンポジウムに参加してびっくりしたのは、とにかく会場ぎっちり人が埋まっていたことです。PMDAのホームページによると、募集人員は550人ということでした。通常、無料のセミナーでは実際の来場者は応募をかなり下回るものですが、満入りの会場を見てバイオ後続品に対する関心の高さを痛感しました。シンポジウムの内容については、改めて日経バイオテク・オンラインで報じる予定です。また、日経バイオテク本誌の特集の予定の中にも「バイオ後続品」をラインナップしているので、ぜひ、そちらもお読みください。
 私がシンポジウムを取材して印象に残ったのは、「バイオ後続品」に対するスタンスが、先発品のバイオ医薬品を扱ってきたメーカーと、バイオ後続品を手掛けている、もしくはこれから手掛けようとしているメーカーの間できっぱりと2つに分かれていることです。先発品のバイオ医薬品を扱ってきたメーカーの方は、「電荷や分子量、比活性などを測定するとかなりばらつきがあり、同等性、同質性を立証するのは簡単ではない」と強調していました。これに対して、バイオ後続品を手掛けているメーカーの方からは、「先発品でもばらつきがあるじゃないか」などの反論が噴き出し、双方の言い分は相容れそうにありませんでした。
 その間にいるのが、厚生労働省およびPMDAです。厚労省は昨年9月に「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」(案)を策定し、パブリックコメントを募集しました。現在はその際に寄せられたパブリックコメントを分析しているところだということです。
 しかし、指針(案)でも例えば、どういう製品に適応できるかについては「個々の製品ごとに規制当局に相談することが望まれる」とするなど、具体的なところは直接相談しなければ分からない内容となっています。これに限らず、「場合がある」「当局と相談することが望ましい」といった表現か幾つかあり、製品を発売するまでにどのぐらいの投資を要するかが実際のところ判断しにくい内容となっています。これでは企業は投資を決断しにくいのが実態でしょう。最初は手探りで進まなければならない状況であることは理解しますが、産業の振興を考えれば、ガイドラインはより明確なものである必要があるはずです。
 その一方で、前述した通り、企業はバイオ後続品に高い関心を寄せています。09年年初の「記者の目」にも書きましたが、米Merck社をはじめ、米Eli Lilly社や英AstraZeneca社もバイオ後続品の事業化に関心を示しているといいます。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/8616/
 また、国内でも、エリスロポエチンの後続品の開発を進める日本ケミカルリサーチとキッセイ薬品工業や、ニプロ、伊藤ライフサイエンスを買収した大塚化学、そのほか数社がバイオ後続品の事業化に関心を寄せています。ただ、日本の場合、大手製薬企業の関心はいまひとつのようです。なぜ、Merck社などが参入を表明したのかなどを分析すれば、国内の大手製薬企業もこの市場を無視できないと思います。国内大手製薬がこれまでのようにこの分野に無関心であり続けると、製薬産業における日本企業のシェアは低下しかねません。
 規制当局が、国粋主義を振り回して国内企業と海外企業で扱いを変えるのはおかしな話です。しかし、国内のバイオ産業育成も、政策サイドには重視すべきテーマであるはずです。バイオ後続品は、製造や分析などのノウハウが不可欠であるという点で、日本企業向きの事業であるということを、厚労省には認識してもらいたいものです。
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
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