毎週金曜日のバイオテクノロジー(BTJ)メールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田です。来週は福岡の「第46回生物物理学会年会」(12月3~5日)、再来週は神戸の「BMB2008(第31回日本分子生物学会年会・第81回日本生化学会大会 合同大会)」(12月9~12日)を取材する予定です。よろしくお願いします。
 ただいま気が付いたのですが、生物物理学会年会は今回、学部学生の参加費は
無料なんですね。「学生の方で『生物物理って?』と思われている方々はぜひ、
本年会に参加してみてください。」とのことです。
 両学会の模様は、まずはBTJのオンライン記事にて報道しますので、日経バイオ
テク・オンライン/BTJアカデミックにて、ぜひご覧ください。その後追って、
12月25日発行・公開予定の「BTJジャーナル」08年12月号にも記事とりまとめます。
 BTJジャーナルはPDFファイルをダウンロードしていただくと、どなたでも全文を
ご覧いただけます。
 BTJジャーナルのダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn
 さて、今週は、今日まで3日間、パシフィコ横浜で開催された「第10回図書館総合
展・学術情報オープンサミット」からの話題をお届けします。「日経バイオテク・
オンライン/BTJアカデミック」にも近くトピックを報道するとともに、BTJジャー
ナルでも解説図入りでお届けする予定です。
 「客観的評価」というのは、大学や研究機関に限らず、仕事をする方々・企業に
とってどなたでも重要な課題になっているのでは、と思います。
 一昨日の夕方、エルゼビアが開催した「研究活動を効率化するScopus(スコー
パス)の活用事例~論文発表の効率化とh指数を戦略的に利用する方法~」では、
東京女子医科大学心臓血管外科の冨澤康子さんが、2年前から利用しているという
Scopusのユーザーとして講演しました。
 「科学を計る物差し」として、インパクトファクター(IF)の意義とともにその
“解釈の”落とし穴も解説、05年に米国の物理学者Jorge Hirswch氏が論文発表した
h-index(Hirsch-index、h指数)も紹介しました。もちろんご自身が発行に携わって
いるジャーナルにIFの数値が付くことは、とても嬉しいこともお話しでした。
 hインデックスは、2年ほど前に話題になっていることを、確かAISTの研究者の方に
うかがいまして、その頃のBTJメールで触れたことがあるかと思います。
 hインデックスは、h回以上引用されている論文がh件以上あることを示す指数
です。研究者の論文数と、論文の質(被引用数)を同時に1つの数値で表すことが
でき、安定していて、生涯の一貫した科学の業績の推定量を示すことができます。
 hインデックスの求め方は簡単です。個々の研究者の論文を、被引用数の多い
順番に並べて、棒グラブにします。横軸が個々の論文、縦軸が被引用数です。
そこで、原点を通る傾き45度の直線を引いて(縦軸と横軸の縮尺が同じ場合、
45度です)、棒グラフと交差したところが、hインデックスの数値です。
 「あの研究者はインパクトファクターの合計が500を超えている」といったように、
研究業績の客観的評価として、とかく一人歩きしがちのインパクトファクター(IF)
に比べて、操作することが困難なようです。
 先にhインデックスのお話しをうかがったAISTの研究者の方は、hインデックスは
20が、1つの目安となる、ご自身もほぼ20に到達した、とおっしゃっていたような
記憶があります。
 東京女子医大の場合、hインデックスの数値が一番大きい研究者は、Okano
Tさんで、そのhインデックスは59とのことでした。講演のときのパワポ図で一瞬、
見た限りにおいては、頭抜けた数値でした。
 冨澤さんが女子医大の研究者のデータを解析して、「論文を書くことと研究費の
取得は、やっぱり関係していた」とお話しなさいました。
 もちろんhインデックスにも欠点があります。冨澤さんは、hインデックスの利点と
ともに欠点も説明なさいまして、とても参考になりました。
 共同研究者を選ぶときにも、hインデックスのような客観的指標は、重要になって
います。「共同研究者は、国際語でインパクトのある論文を書く人と組もう。多額の
研究費があっても論文を出せない研究者はいる。事前の業績評価は必要」と、冨澤
さんはお話しになられました。
 さて「第10回図書館総合展・学術情報オープンサミット」で昨日27日は、
トムソン・ロイター・グループ サイエンティフィックビジネス トムソンコーポ
レーションの主催で、「インパクトファクターのつく学術雑誌ってなんだ? 
─理想的なジャーナル選定のために」が開かれました。
 「インパクトファクター(IF)とジャーナル選定のプロセス」「JCR(Journal
Citation Reports)の新しい指標、地域ジャーナルの収録拡大とその意義」
「引用データを用いたコレクション評価資料」の3つのプレゼンがありました。
 IFは、トムソンが提供しているJCRのジャーナル(学術雑誌)の評価指標の1つなの
です。特定のジャーナルの客観的評価の指標の1つなのですが、そこに掲載された
論文の著者の業績のような、間違った使われ方がよくされている、というのはトム
ソンでも以前から強調なさっています。
 一般には、特定のジャーナルの論文のうち、よく引用される論文は3分の1程度なの
で、いくらIFが大きいジャーナルに論文発表しても、その論文はそれほど引用されな
かった、ということは半分以上の確率でおこりえます。それなのに、あたかも個々の
論文の客観的指標のようにIFが使われがち、というのが問題視されています。
 ともかくも、トムソンは09年上半期から、新しい指標を導入することを、今回、
発表しました。
 従来からあるIFに加え、5年IFの数値を提示する、自誌引用の影響度をより明確に
分かるようにする、分野内ランクを提供する、などといった内容のようです。
 5年IFというのは、現在のIFが2年であるのに比べ、解析対象論文の掲載期間を5年
に延ばすものです。
 IFは年に1度更新され、最新版は2007年版ですが、2007年版は、そのジャーナルの
05年と06年の2年間に掲載された個々の論文が、その後、07年の1年間に何回引用され
たかという数値を合計し、05年と06年の合計の論文数で割った数値です。
 メール原稿の締め切りになりましたので、今日はここまでにさせていただきます。
続きは、BTJオンライン有料記事「日経バイオテク・オンライン/BTJアカデミック」
や、BTJジャーナルなどでご覧ください。
※BTJのインパクトファクター関連記事
  
続報、ノーベル化学賞の下村博士の1962年論文、被引用数が90年代から急増して
08年に最多更新
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/6598/
横浜開催の人類遺伝学会大会は参加者が2年続けて1000人超、09年は品川、10年は
大宮で家族性腫瘍学会と共催へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/6321/
英文誌の初IFは2.835、第40回動脈硬化学会がつくばで開幕、「年取った人が
若返ってもらわないと」と特別講演の江崎玲於奈氏
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4461/
不妊治療に大豆イソフラボン、
武庫川女子大家森所長らとニチモウが英J.Endocrinology誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/1702/
農芸化学会でシロアリが顕著な成果、
被引用数ナンバーワン論文と日本農学賞
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/1562/
秋田県総合食品研、スカイライト・バイオテック、
植物トリテルペンがVLDL中性脂肪を低減、MetS対策に有用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/1085/
米Harvard Medical Schoolとニチモウ、
アグリコン型大豆イソフラボンがホットフラッシュを緩和、
Menopause誌08年1月号に論文発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9778/
2008年・記者の目、BTJ編集長・河田孝雄、
原油が1バレル100ドル時代で説明責任が重要に、
日本の魅力ある研究環境の一助に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9471/
英Times誌の別冊「世界の大学ランキング」が、
論文引用データとしてElsevier社「Scopus」を採用、
Thomson社から切り替え
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/8416/
 最後に今週初めに発行・公開した「BTJジャーナル」08年11月号(第35号)の
コンテンツを目次にて紹介します。最も権威がある世界の大学ランキングの記事は、
ぜひご覧いただきたいです。皆様あるいは仲間の皆さんが卒業なさった大学は、
ランキングのどの辺りの順位でしょうか。
※「BTJジャーナル」08年11月号の目次
P.2 連載「大学は今」第11回
東京大学医科学研究所の
論文偽造報道騒動を検証
P.5 リポート
第8回国際大豆シンポジウム
腸内細菌叢の個人差に脚光
P.11 ノーベル賞研究室とキャリア
菊地和也・大阪大学大学院教授
P.14 BTJアカデミック・ランキング
スーパー特区24件採択がトップ
P.15 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
バナナダイエット事件の真相
P.18 広告索引
 ぜひ「BTJジャーナル」をダウンロードしてお楽しみください。パソコンでご覧
いただくと、リンク先の情報もすぐに入手できます。プリントアウトをお読みいただ
くなら、カラーをお勧めします。
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn
 BTJジャーナルは、次のサイトでPDFファイルをダウンロードしていただくと
(無料)、ご覧いただけます。オープンアクセスに対応した新タイプのジャーナル
ですので、ぜひお楽しみください。
                         BTJ編集長 河田孝雄
 ご意見などは以下のフォームから受付します。いただいたご意見を次回以降
のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください
(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html