水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。本日はちょっとプライベートな話から。
 20日の日曜に、高知県四万十市、四万十町などが主催する四万十川ウルトラマラソンなるものに参加してきました。何が“ウルトラ”かというと、その走行距離で、通常のフルマラソンを2回走ってもまだ15km以上足りない100kmの距離を、半日ほどかけて走り抜こうという競技です。一昨年、昨年と、北海道のサロマ湖で開催された大会に出場したのですが、毎年同じところを走るのも何かと思い、今年は四万十川の大会に参加しました。早朝、まだ真っ暗闇の中を、道端に置かれた蝋燭の明かりを頼りに走り始め、日中は川沿いに、たゆたうようにゆっくりと進み、日没後、松明に照らされながらゴールに出迎えられるという、まさに幻想的な一日を過ごしました。と、書くときりがないのですが、マラソンの話はこのぐらいにしておきます。
 その翌日、マラソンに一緒に参加した友人に誘われて、愛媛県愛南町の山の中でフグの陸上養殖を行うオプティマ・フーズという会社を訪問しました。この会社は、04年に設立されたベンチャー企業で、ノルウェーのAqua Optima社が開発した陸上養殖システムの技術を導入して、トラフグの養殖をしています。「外国人が社長を務める陸上養殖の会社」として、新聞などで目にしたことがあり、アグリバイオ系の企業として興味を持ったのですが、行ってみると少し事情が違っていました。04年4月の設立なので、創業から4年半がたったところですが、計画通りに事業が進まなかったので、社長が交代していたのです。

 今年4月から社長を務めている吉村壽泰さんは、地元で建設会社を経営する方で、オプティマ・フーズの創業メンバーの1人ではありますが、「水産業は全くの素人」。それでも事業のコンセプトや、これまでの苦労話などをいろいろと教えてくれました。
 オプティマ・フーズの事業のコンセプトは、工場のような管理された環境の中で、無投薬で高品質のトラフグを飼育することにあります。養殖には汲み上げた地下水を殺菌・塩分調節した水を利用し、餌の食べ残しや排泄物はすぐに回収するなど、水質管理に万全を期しています。この結果、海面養殖などに比べてコストは高くなるものの、一定の品質に管理できることや、季節をずらして出荷できる、自然災害の影響を受けない、などの利点を生かして市場を開拓していこうという狙いです。
 
 ところが、事業の立ち上げはそう簡単ではありませんでした。2005年から実際に養殖を開始し、翌年まで育てた魚はそれなりに評価は高かったものの、人的ミスや設備のミスが重なって、それほど歩留まりよく育てることができませんでした。海水で孵化させた稚魚を仕入れたところ、病気を持ち込むといった問題もあったといいます。その結果、これまでは赤字続きでしたが、今年になって地下水を利用して孵化させた稚魚の養殖を開始したところ、ようやく順調に育ち始めているということです。
 
 実際に水槽を見せてもらいましたが、3、4cmから育て始めて半年で400gにまで育ったというトラフグは、どれも姿かたちがきれいで、吉村社長は「来年夏には1.2kgにぐらいになって、出荷を始められるだろう。そうすれば経営も軌道に乗る」と、期待を込めて語っていました。一緒に見学した、飲食チェーンのマネージャーである友人も、「見た目は立派だ」と感心していました。工場は愛媛県と高知県の県境の山中に2棟あって、10個ある水槽の容量は計1100t。その中で、合計約5万匹のトラフグが養殖されていました。
 
 もっとも、今回は残念ながら見学だけで食べることはできませんでしたが、食べておいしいかどうかが一番の問題です。また、海面養殖などに比べて少々高い価格が市場で受け入れられるかどうかも、今後の課題として残っています。オプティマ・フーズが事業として成功するかどうかは、もう少し見守る必要がありそうです。
 天候や水温、赤潮の発生といった環境の影響を受けることなく、また逆に環境に対して負荷をかけることなく養殖できるこのようなシステムが、今後の食糧生産の1つの方向性にあることは確かでしょう。無投薬で養殖できるのは、「安全・安心」を求める世の中のニーズにも合致しています。日ごろ取材している創薬や医療機器などとは全く異なりますが、バイオビジネスの1つの方向を見た気がしました。
 
 話は変わりますが、Biotechnology Japanのサイトをリニューアルしました。今回のリニューアルの目的は、ユーザーの使い勝手の向上にあります。
 
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/index.jsp?icate=0&pg_nm=1 
 
 さまざまな分野の人がBTJを利用している実態に合わせ、ニュースを表示する画面の左下の方に、「医薬・医療」「基礎・研究支援」「食品・農業・環境」「投資・行政・社会」の分野別に、最新ニュースの見出しを掲載するようにしました。
 
 また、Q&A方式でBTJの使い方を詳しく説明するコーナーを作り、ナビゲーションバーの「BTJご利用ガイド」をクリックすると表示されるようにしました。
 
http://biotech.nikkeibp.co.jp/site_qa.jsp 
 
 そのほか、ニュース表示画面の右側にある「昨日のランキング」も、10位までに増やして、バイオ関係者の関心の高い話題をより詳しくフォローできるようにしました。
 
 新しいBTJのサイトと日経バイオテク・オンラインを、今まで以上にご活用ください。ただいま、リニューアルを記念した日経バイオテク・オンラインの試読キャンペーンをやっていますので、この機会にぜひご利用ください。
 
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/6663/ 
 
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
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「植物代謝パスウェイ・メタボロミクス」を特集した「BTJジャーナル」08年9月号を発行・公開中です。
植物メタボロミクス国際会議や日本生薬学会などから、千葉大学や横浜市立大学、理研、ハウス食品などの取り組みを紹介しています。
研究者の方々が作成したパワポ図も多数掲載。せひご覧ください。
 
BTJジャーナルのダウンロードはこちらから
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「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp 
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 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」08年9月号を、先月末に発行・公開しました。
 特集リポートは「植物代謝パスウェイ・メタボロミクス」。08年7月の第5回植物メタボロミクス国際会議や9月の日本生薬学会などから、植物の代謝パスウェイ研究の最前線をリポートしています。メタボロミクスが加わって日本発の成果が続々と発表されています。千葉大学や横浜市立大学、理研、ハウス食品などの取り組みを紹介しました。
 
※この特集リポート関連のBTJアカデミックの記事は以下の4本です。BTJジャーナルの記事は全文をご覧いただけます。
 
2008-07-29
千葉大・徳島文理大・理研PSC・NAIST、漢方処方の性格付けにメタボロミクスが有効
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20054862 
 
2008-09-10
横浜市大・理研・常磐植物化学研ほか、組み換え酵母でグリチルリチン・アグリコン
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20055821 
 
2008-09-09
理研・横浜市大・千葉大・常磐植物化学研、
甘草の甘味成分グリチルリチン生合成の鍵酵素を解明
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20055810 
 
2008-09-03
ハウス食品がRNAiでタマネギの催涙成分を抑制、NZ研究機関との成果を相次ぎ論文発表
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20055675 
 
※このほかの最近の生薬関連のBTJ記事
富山大・和漢医薬研、SNPマイクロアレイで人参類生薬を同定、天然薬物の標準化の第1弾 
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/6599/
 
慶大漢方医学セ阿相客員教授ら、陳皮のヘスペリジンがミエリン形成のトリガー分子を活性化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/6027/
 
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 「BTJジャーナル」08年9月号(第33号)のコンテンツを目次にて紹介します。
 
2 連載「大学は今」第9回
ポスドクの就職率が向上
キャリアパス多様化促進
 
5 特集リポート
植物代謝パスウェイ
山崎真巳・千葉大准教授
村中俊哉・横浜市大教授
ハウス食品ソマテックセンター

10 NIH「研究者役人」に学ぶ
笠岡(坪山)宜代
国立健康・栄養研上級研究員

12 BTJアカデミック・ランキング
スーパー特区の記事が人気

13 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
事故米とメラミン

14 BioJapan2008プレビュー

18 広告索引

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                            BTJ編集長 河田孝雄
 
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