本日、我が国最大のバイオ展示会・シンポジウム、BioJapan2008をパシフィコ横浜で開催いたします。天気予報を裏切り、横浜周辺は既に晴れわたり、皆さんをお迎えする準備が整いました。
http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/ 
 今年は事前申し込みが昨年より1.6倍、出展社数も3割以上増加いたしました。サブプライムの影響で、バイオベンチャーなど吹き飛んじゃうという悲観的な観測もありますが、こうした製造業資本主義的な皆で沈むという意識はバイオとは無縁なものです。まだまだ技術革新が連続するバイオ分野では、景気に無関係に創造的な企業は勝ち残ります。今年のBioJapan2008の熱気は、技術革新にこそ未来があるという確信に裏打ちされています。
 
 実際、製造業が多いダウ平均とスタンダード&プア指数は、この1年間にそれぞれ36%と39%暴落しましたが、BioCentury Bio IndexとAmex Biotechnology Indexは、それぞれ23%と21%の落ち込みに止まりました。我が国のバイオベンチャーの株式の暴落は、そもそも企業としての未熟さに原因があると思います。現在、上場を控え、来年のイノベーション創造機構の出資対象となる第二世代のベンチャー企業にこそ期待すべきでしょう。
 
 勿論、厳しい淘汰の過程にあるベンチャー企業ですが、株化低迷はビッグファーマやビッグバイオによる整理再編成の好機でもあります。また、こうした整理再編成によって、資本と自由を手に入れた起業家が新しいベンチャー企業を創設する時期でもあります。今年、買収されたMillenium社の経営陣が運営する投資ファンドがエピジェネティックスのバイオベンチャーを創設したことは、まさにこうした動きの先駆けです。
 
 バイオに技術革新が続く限り、まだまだベンチャー企業にチャンスはあります。
 
 今回は国内外の製薬企業70社、バイオベンチャー300社以上、その他、グリーンバイオなどの関連企業もBioJapanに集結しております。世界の主要クラスターも参加しており、まさに新しい事業がこの渦の中から生まれようとしています。
 
 どうぞ、皆さん、横浜でお会いいたしましょう。
 
 今からでも遅くはありません。
 
                 Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
ps
 一押情報は下記の記事をご覧願います。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2008101459097 
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2008101459111 
 
============================================================================
BioJapan2008が開幕しました
============================================================================
 
 こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 
 好天に恵まれた横浜市で、BioJapan2008が開幕しました。正確な数はまだ把握していませんが、初日から参加している人の数は例年より多い模様で、600人入るはずの基調講演会場は満席となり、展示会場もにぎやかな印象があります。
 
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2008101559142 
 
 開会式には、経済産業大臣政務官の谷合正明参議院議員、ライフサイエンス推進議員連盟を代表して自由民主党の細田博之幹事長、そして地元横浜市の中田宏市長が来賓として出席しました。来賓挨拶の中で中田市長が、科学に関心のある子供たちを育てるために、来年、横浜市鶴見区の理研横浜研究所がある地区にサイエンスフロンティア高等学校を設立すると紹介していたのが興味深かったです。サイエンスの振興のために教育から手を入れていくというのは、地方自治体ならではの取り組みといえるかもしれません。
 
 基調講演を行った理研の野依良治理事長のスピーチは非常に刺激的で、強烈なメッセージがこめられていました。野依理事長は講演で、「中国、インドが台頭する中、日本は天然資源を持たないのだから、科学技術だけは世界を先導していかなければならない」「イノベーションの創出のためには社会総がかりの総合戦略が必要だ」と指摘した上で、人材の問題を挙げ、「日本が生き残る北京オリンピックの100mで優勝したウサイン・ボルトのような世界をリードする人材が相当数必要だ」「その育成を担うのは大学のはずだが、育成というだけで具体的なアクションプランにかけている」「リーダー人材の欠如について、政府、関係機関は危機感を持ち、ボルト計画の実行に指導力を発揮してもらいたい」と強調していました。
 
 また、「基礎科学の成果の産業界への移転を促進するにはバトンゾーンの整備が必要」と、こちらも陸上競技にたとえた上で、企業との連携を図るために理研内に連携センターを設置していることを紹介。既にオリンパス、東海ゴム、トヨタ自動車との連携センターを設置していることを明らかにしました。
 
 さらに「日本の基礎科学は蛸壺化している」と指摘したうえで、「基礎科学がイノベーションをもたらすためにはさまざまな技術と科学との融合が不可欠」「日本のライフサイエンスは基礎分野では健闘しているが、これをどうやって実社会で生かしていくのかを検討しなければならない」など、基礎科学にかかわる研究者に対してより広く社会とのかかわりを持ち、社会に役立っていくことを求めていました。
 
 野依理事長が講演の最後に触れていた話も印象的だったので少し紹介します。曰く、「社会が求めているのは豊かさであり、豊かさとはクオリティ・オブ・ライフ(QOL)のことだが、QOLを『生活の質』と訳するのは正しくない。『人生の質』というべきだろう。『生活の質』というと即物的、せつな的で、利便性や効率性が求められる。対して『人生の質』というのはもっと精神的なものであり、効率性などを要求するものではない」とした上で、「科学技術は人生の質を高めるのに役立っているだろうか」と問題を提起していました。ITなどの技術革新により、確かに生活の質は高まっている気はしますが、「人生の質が高まったか」と問われると、簡単に答えは出せなさそうです。それだけに、科学技術が挑戦しなければならない課題はまだまだたくさんあるといっていいのでしょう。
 
 基調講演ではこのほか、帝人と米Cargill社とのジョイントベンチャーである米NatureWorks社のMarc Verbruggen社長兼CEOがバイオプラスチック事業の現状と将来について講演。原油価格の高騰により、既にバイオプラスチックは価格競争力を持つようになっており、10年後には大きな市場に成長するであろう見通しを示しました。また、Genzyme社のPeter Wirth, Executive Vice Presidentは、製薬企業のビジネスモデルに関して講演を行い、より患者中心に、患者や医師、支払い側とより密接な連携が求められるように、企業のあり方が変化していくなどと指摘していました。
 
 日経BP社バイオ部では、17日までの3日間にわたり、編集部員総動員でBioJapan2008の模様をリポートしていきます。皆様もぜひ、パシフィコ横浜まで足をお運びください。
 
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
 
============================================================================
博士修了者の就職率が今年度5ポイント増と改善、博士とポスドクのキャリア開発の
取り組みをリポート
米NIHの研究者役人の制度の魅力も紹介
BTJジャーナル08年9月号をお楽しみください。
BTJジャーナルのダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
============================================================================
 
 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」08年9月号を、先月末に発行・公開しました。
 好評連載「大学は今」の第9回は、博士とポスドクのキャリア開発の取り組みをリポートしました。博士修了者の就職率が今年度5ポイント増と改善しました。文部科学省のキャリアパス多様化促進事業の寄与もある一方で、博士修了者の数が初めて減少した要因も見逃せません。人材倒産寸前の薄氷を日本の大学・研究機関は渡り切れるのか。奮闘ぶりを紹介しています。
 
※BTJアカデミックの関連記事
博士課程修了者の就職率5%アップ、91年の水準に迫る、背景には博士課程進学数の低下も
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20056199 
 
 一方、「キャリア」は、米国立衛生研究所(NIH)の対外部門の「研究者役人」を紹介しています。NIH国立がん研究所(NCI)の対外部門に08年春まで1年間留学した、国立健康・栄養研究所の笠岡(坪山)宜代さんに「研究者役人」の魅力をうかがいました。NIHに日本人は400人ほどいますが、大半は実験を行う研究者です。グラント配分や政策決定を職務とする「研究者役人」の実態はあまり知られていないようです。魅力ある研究者のキャリアパスとして日本でも整備すべきではないでしょうか。

○BTJ記事
2008-09-24
データを出す人だけが研究者ではない、NIHの「研究者役人」制度に学ぶ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/6170/ 
 
 BTJジャーナルの記事は、解説図入りで全文をご覧いただけます。ぜひお楽しみください。
 
 「BTJジャーナル」のPDFファイルは、次のサイトでダウンロードしてください。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 
 「BTJジャーナル」08年9月号(第33号)のコンテンツを目次にて紹介します。
 
2 連載「大学は今」第9回
ポスドクの就職率が向上
キャリアパス多様化促進
 
5 特集リポート
植物代謝パスウェイ
山崎真巳・千葉大准教授
村中俊哉・横浜市大教授
ハウス食品ソマテックセンター

10 NIH「研究者役人」に学ぶ
笠岡(坪山)宜代
国立健康・栄養研上級研究員

12 BTJアカデミック・ランキング
スーパー特区の記事が人気

13 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
事故米とメラミン

14 BioJapan2008プレビュー

18 広告索引

 ぜひ「BTJジャーナル」をダウンロードしてお楽しみください。パソコンでご覧いただくと、リンク先の情報もすぐに入手できます。プリントアウトをお読みいただくなら、カラーをお勧めします。
 
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn 
 
 BTJジャーナルは、次のサイトでPDFファイルをダウンロードしていただくと(無料)、ご覧いただけます。オープンアクセスに対応した新タイプのジャーナルですので、ぜひお楽しみください。
 
                            BTJ編集長 河田孝雄