こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 月曜と火曜日の午前中、三菱商事とBurrill & Companyが主催するジャパン・バイオテク・ミーティングを取材してきました。
 ミーティングの全体のテーマは「2020年のビジョン」ということで、世界のバイオ・ライフサイエンス産業が2020年に向けてどのように変化していくかを俯瞰しようというものでしたが、私も含めて参加者の関心事はむしろ足下の事態にあったように思いました。つまり、Lehman Brothersを破産させ、Merrill lynchにBank of Americaとの合併を決断させた米国発の金融危機を、米国の投資銀行であるBurrill & Companyの関係者らがどのように捕らえているのか、ということです。
 ちょうど29日の午後に、「低迷する金融市場―バイオ・ライフサイエンス産業を支え続けることができるのか―」というセッションがあったので、その模様については後ほど、日経バイオテク・オンラインに記事にしておきますが、Steven Burrill・CEOは、「1966年から米国で仕事してきたが、この2、3カ月の変化はあまりにも劇的だ。過去40年間はバイオベンチャーにとって比較的資本へのアクセスは簡単だった。中にはもちろん困難な時代もあったけれど、この1カ月間に起こったことに比べれば簡単だったといわざるを得ない」と発言。これまで資金は潤沢と思っていた欧米でも、資金調達環境が急速に悪化しつつあるようです。「今後1年は米国でバイオのIPOはないだろう」とのことでした。
 
 日本でもバイオベンチャーの資金難は深まりつつあり、人員整理などに踏み切らざるを得ないベンチャー企業も少なくないようです。上場しているバイオベンチャーに中にも、上場維持のコスト負担のために、青息吐息の状態にあるところも出てきているようです。バイオベンチャーに対する投資家の信頼を回復し、再び資金を呼び込むためには“成功例”が必要という点で、関係者の意見は一致しているのですが、どうすれば成功例を作れるか、というところでみんな頭を抱えてしまいます。
 国内市場に上場しているバイオベンチャー21社を対象に算出している日経BP・バイオINDEXも、7月半ばから200前後で低迷を続け、9月29日にはついに160台に突入してしまいました。これは、算出を開始した2004年4月1日に上場バイオベンチャーの時価総額の合計を1000として算出し始めたものですが、現在の上場バイオ企業の価値は何と当時の6分の1にまで低下してしまったというわけです。
 
 ただ、今のような状況がいつまでも続くとは考えません。スーパー特区や、09年発足予定のイノベーション創造機構に過度な期待を寄せているわけではありませんが(お役所頼みでは何も解決しないという声も聞こえてきます)、どこかで必ず明るい方向に転じるはずです。実際、個々の企業に焦点を当てると、大手製薬企業との提携や、臨床開発の進展など明るい話題も幾つかあります。日経バイオテク・オンラインではこうした明るい話題も報じていきますので、ご期待ください。
 ジャパン・バイオテク・ミーティングでは、私も講演の機会をいただき、日本のバイオ・ライフサイエンス産業が2020年に向けてどのようになっていくかについて話させていただきました。機会があれば、またこの欄などで、私の考えていることを紹介させていただきたいと思います。
 
 いずれにせよ、今は確かに厳しい状況にありますが、日本のバイオ・ライフサイエンス産業にはグローバルに競争力のある産業として発展していく可能性が間違いなくあります。そのために、規制や制度のどこをどう見直していく必要があるか、読者の皆様と議論していければと思います。
 10月15日から17日までパシフィコ横浜で開催するバイオジャパンでも、ベンチャー企業に関連するセッションの中でこうした議論も行われると思います。私も取材で参加していますので、ぜひお声掛けください。バイオジャパンの事前登録画面は下のリンクをご覧ください。
https://biojapan2008.com/public/application/add/37?lang=jp 
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
 
============================================================================
「植物代謝パスウェイ・メタボロミクス」を特集した「BTJジャーナル」08年9月号
を発行・公開しました
研究者の方々が作成したパワポ図も多数掲載してます
BTJジャーナルのダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp 
============================================================================
 
 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」08年9月号を、先週末に発行・公開しました。
 好評連載「大学は今」の第9回は、博士とポスドクのキャリア開発の取り組みをリポートしました。博士修了者の就職率が今年度5ポイント増と改善しました。文部科学省のキャリアパス多様化促進事業の寄与もある一方で、博士修了者の数が初めて減少した要因も見逃せません。人材倒産寸前の薄氷を日本の大学・研究機関は渡り切れるのか。奮闘ぶりを紹介します。
 
※BTJアカデミックの関連記事
博士課程修了者の就職率5%アップ、91年の水準に迫る、背景には博士課程進学数の低下も
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20056199 
 
 BTJジャーナルの記事は、解説図入りで全文をご覧いただけます。ぜひお楽しみください。
 
 「BTJジャーナル」のPDFファイルは、次のサイトでダウンロードしてください。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 
 「BTJジャーナル」08年9月号(第33号)のコンテンツを目次にて紹介します。
 
2 連載「大学は今」第9回
ポスドクの就職率が向上
キャリアパス多様化促進

5 特集リポート
植物代謝パスウェイ
山崎真巳・千葉大准教授
村中俊哉・横浜市大教授
ハウス食品ソマテックセンター

10 NIH「研究者役人」に学ぶ
笠岡(坪山)宜代
国立健康・栄養研上級研究員

12 BTJアカデミック・ランキング
スーパー特区の記事が人気

13 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
事故米とメラミン

14 BioJapan2008プレビュー

18 広告索引

 ぜひ「BTJジャーナル」をダウンロードしてお楽しみください。パソコンでご覧いただくと、リンク先の情報もすぐに入手できます。プリントアウトをお読みいただくなら、カラーをお勧めします。

「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn

 BTJジャーナルは、次のサイトでPDFファイルをダウンロードしていただくと(無料)、ご覧いただけます。オープンアクセスに対応した新タイプのジャーナルですので、ぜひお楽しみください。
 
                           BTJ編集長 河田孝雄