毎週金曜日のメールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田です。
 今日金曜日(9月5日)は、沖縄県名護市のザ・ブセナテラスの奥に位置する万国津梁館のサミットホールで開催されている、第3回国際疲労学会を取材しております。
※BTJの関連記事
オランダRadboud大、慢性疲労症候群による前頭前野の萎縮が、認知行動療法で改善
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5737/
 
総医研が日本ハムと共同開発したドリンク「サイエンスワン」は8月発売、
抗疲労ヒト検証の指標は8-OHdG、イソプラスタンとTGFβ 
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5735/
 
湧永製薬、熟成ニンニク抽出液の抗疲労効果の検証データを追加、大阪市立大が
確立したラット評価系を活用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5731/
  
抗疲労トクホはいつ実現するか、その科学的基盤も議論する第3回国際疲労学会が
沖縄サミット会場で開幕
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5695/
 
 日本が中心となって3年毎に開催されているこの国際学会、今回は7カ国から150人ほどが、かつての沖縄サミットの会場に集まりました。
 
 「お疲れ様です」が、電子メールでも慣用句となっている日本は、疲労大国のようで、疲労の科学的基盤の研究も、日本が世界をリードしていることを実感できる国際学会のように思ってます。中でも、150人の参加者のうちおそらく3分の1ほどを大阪市立大学の研究者が占めているとみられ、21世紀COEプログラム「疲労克服研究教育拠点の形成」(04-08年度、拠点リーダーは大阪市立大学の渡辺恭良教授)が、疲労の研究に大きく寄与していることを実感してます。
 海外からの発表は、慢性疲労症候群(CFS)関連の話題が多く、来年(09年)3月には、IACFS/ME(International Association for Chronic Fatigue Syndrome/ME)の第9回会議が、米国Nevadaで開催されるという案内もありました。
 このCFSに限定しない疲労全般の研究は日本の強みのようで、特に疲労のメカニズムの解明は日本の独壇場。今回の国際会議2日目に当たる明日9月4日午後に開催されたシンポジウム4「Mechanisms of Fatigue and Fibromyalgia」は、講演者7人すべてが日本のアカデミアの日本人研究者の発表で、海外から参加している研究者から多くの質問が寄せられていました。
 疲労は、日本に特に多いとされる自殺の原因とされるストレス、睡眠障害などとの関連も深く、神経─内分泌─免疫の相互作用などが関連しているようです。
 Toll様受容体(TLR)や各種サイトカインなど免疫の話が出てくると、論文の被引用数が桁違いに多く、インパクトファクター(IF)が大きなジャーナルにたくさん論文が載る世界の話になり、また新たな発見に基づく解析が必要になるのだろう、という印象を持ちます。
 海外からの発表も多いCFSに限っても、スコットランドの研究者がDNAマイクロアレイでCFSと関連する遺伝子に関する多数の論文を比較して、発現量に有意差が認められた遺伝子は、各論文で異なっていることが紹介されていました。この遺伝子の中には、免疫関連の遺伝子も多く含まれます。
 CFSとマクロアレイというと、徳島大学の六反教授の成果を記事にまとめたことがありますが、この成果は、スコットランドの発表では引用されていなかったようです。おそらく、特許との関連で詳しい遺伝子名を必ずしも公表していないためでは、と推察してます。
※BTJの関連記事
続報、日立が徳島大学六反教授と開発した「元気チップ」利用成果の第1号、サンスターがサプリ「α-リポ酸・Q10」の効果を検証
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2003/7310/
 
名大、徳島大、日立、
DNAチップで“ピュアな慢性疲労症候群(CFS)”を判別
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2003/0423/ 
 
 また、睡眠障害関連の記事は、BTJのオンライン記事や、BTJジャーナルの特集記事などでたびたび報道してますので、ご覧いただければと思います。
 
※睡眠障害対策関連のBTJ記事
遺伝子発現変動の解析では要チェック、
理研が体内時計遺伝子の出力遺伝子をウェブ公開、
「北大とヒト検証も」と上田泰己チームリーダー
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0679/ 
 
味の素、大阪バイオサイエンス研、
グリシンは覚せい量を減らしてノンレム睡眠量を増やす、
ヒトで見いだした睡眠改善作用をラットで確認
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7829/
 
BTJジャーナル12月号を公開、睡眠の質を改善する医薬品や食品、快眠グッズの開発が花盛り、KOマウスがメカニズム解明に寄与
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/1087/
 
BTJジャーナル12月号、「国境を越え友達を増やせる。サイエンティストは楽しい商売」、裏出良博OBI研究部長のビデオメッセージを掲載
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/1351/
  
世界初DVDが遺伝子レベルの睡眠科学を実現、
国際共同10カ所以上世界最先端の睡眠研究システムに
日本の先進技術が意外な貢献
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/1266/
 
 新しい科学的基盤に基づき、抗疲労効果を検証した医薬品や食品の登場に期待が集まっており、総医研の抗疲労プロジェクトの成果をもとに、厚生労働省が表示を許可するトクホ(特定保健用食品)に申請されている案件の発表もありました。
 酸化ストレスのバイオマーカーとして、日本が世界をリードしてきた8-OHdGも、疲労関連のバイオマーカーとして採用されており、ちょっとなつかしい感じもしてます。今調べたら、BTJでは10年ほど前から、30本近くの記事を報道してます。
※BTJの8-OHdG関連の記事
輸入量が倍々のアマゾン・カムカム、
東京海洋大が抗炎症物質を特定、
佐賀大医は喫煙の害抑制を確認
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/4676/
 
ヤマハ発動機、ライフサイエンス研究所の学会発表を告知する
「Life Science Information」発行
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/4243/
 
チキンスープにまつわる伝承を科学で検証
精神ストレス・酸化ストレスの軽減、皮膚血流量増加を示唆
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/4236/
 
国立環境研、京都府医大、明治製菓、カカオポリフェノールが2型糖尿病を改善、腎臓肥大を抑制
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2003/9318/
 
SRL、DNA損傷指標(8OHdG/dG)で食品の機能性・安全性を評価する受託事業を開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2002/6857/
◆コエンザイムQ10◆
DHC、2月発売で好評の「Q10クリーム」を急きょ販売休止
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2002/5192/
 
◆ニュートリゲノミクス◆
京都府立医大、アスタキサンチンの糖尿病性腎症抑制効果をDNAチップで解明
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2002/3828/
 
◆ダイオキシン◆日生バイオ、遺伝子栄養学研究所、
二重らせんDNAで有害物質を除去する空気清浄器「バイオの風」を発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2002/2880/
 
琉球バイオ、発酵グァバ粒が境界型糖尿病の血糖値上昇を抑制、沖縄初のトクホを
目指す
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2002/0070/
 
エスアールエル、金大医の補完代替医療学講座と共同研究開始へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2001/7415/
 
伊藤園、野菜系飲料のトクホ一番乗りへ、難消化性デキストリンで便通改善
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0501/7226/
 
遺伝子栄養学研究所、肥満、飲酒、喫煙リスクの遺伝子検査受託を開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/6826/
 
酸化ストレス・クリニック、相次ぎ6施設で開設、尿中8-OHdGなど測定
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/5731/
 
浜松医大、阪大ほか、サンスター「青汁」でアトピー改善、尿中8OHdG減少
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/5201/
 
九大、日生バイオほか、遺伝子の酸化損傷指標8OHdGの高感度測定法を開発
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/3735/
 
産業医大、新日鉄、ヒトでも適度な運動で酸化ストレス・バイオマーカー減少
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/3475/
 
ニチモウ、発酵大豆は動脈硬化や高血圧、酸化ストレス、放射線免疫低下を改善
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/2837/
 
日本老化制御研究所、血中の8-OHdGを測定できるキットを今月発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/1987/
 
都立豊島病院、順天堂大学、母乳で育てるほど乳児は酸化ストレスを受けにくい
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/1108/
 
ポッカ、レモンの抗酸化成分が運動酸化ストレスを抑制
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0000/9847/
 
聖マリ、中国のヒ素中毒患者で尿中8-OHdGが増大、8-OHdGは中毒のバイオマー
カーとしても有用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0000/9194/
日本老化制御研究所、
抗酸化食品の効果実証に役立つバイオマーカー尿中8-OHdGの受託分析を開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0000/8351/
 
酸化ストレスのバイオマーカー尿中8-OHdGが、5泊6日のマクロビオティック食で
減少
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0000/7512/
米国ESA社、
酸化ストレスのバイオマーカー、尿中8-OHdGの受託分析を開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0000/6714/

日本老化制御研、
抗酸化効果判定の決定版、遺伝子の酸化傷害を非侵襲で検出できるELISAキット
商品化
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0000/5969/
ポッカ、名大、
レモン果実に含まれる抗酸化物質の生体内発現と体内代謝を解析
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0000/5546/
 過去記事の引用が長くなってしまいましたが、BTJメールの締め切り時間が迫ってきました。
 
 ここで、10月15~17日にパシフィコ横浜で開催する「BioJapan2008」の無料セミナーの案内もさせていただきます。
 
 新型シーケンサーの登場で飛躍を遂げる、ゲノム情報を基にした、食品・農業ビジネスを、このセミナーの1つとして取り上げます。
 
 かずさDNA研究所の田畑哲之・副所長にモデレーターをおつとめいただく「新世代に入った農業ビジネス」というセッションです。果樹研究所の山本俊哉・チーム長に「DNAマーカーによる果樹・果実のDNA品種判別」、サントリーの田中良和・所長に「遺伝子組み換えによる新しい花の開発と商業化」と題してご講演いただきます。
 無料セミナーですので、ぜひご参加ください。早期に定員に達するセミナーも多いので、下記サイトから早めの登録をお勧めします。
「BioJapan2008」の概要は下記をご覧ください。
http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/index.html 
 
 セミナーの申し込みは、下記サイトからお願いします。
https://biojapan2008.com/public/application/add/37?lang=jp 
 
それでは最後に「BTJジャーナル」08年8月号(第31号)の目次を紹介します。
 
2 連載「大学は今」第8回
大学を早期退職して挑戦
鎌谷直之・前女子医大教授

5 特集リポート
第10回日本RNA学会年会
内藤哲・北海道大学教授
中村義一・東大医科研教授

8 ゲノムインフォマティスト
黒川顕・東工大教授
川島武士・OIST研究員

11 BTJアカデミック・ランキング
バイオマス環境の記事大躍進

12 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
パンがカビないわけ

13 技術シーズ・レター

21 広告索引

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                           BTJ編集長 河田孝雄