本日も東京は暑さがぶり返しています。
 
 昨日、幹細胞の専門家、Rao博士ですら、品川で開催したBTJプロフェッショナルセミナー第1弾、無事終了後、レストランまで歩く道すがら、汗だくでした。
 水曜日に登場したのは、まずは御礼を申し上げたかったからです。
 昨日、BTJプロフェッショナルセミナー第1弾を無事終了。多数ご参加いただきありがとうございました。司会している私もびっくりしましたが、直接遺伝子導入による細胞生物学は急展開しています。ヒト幹細胞研究と組み合わさり、疾患モデルや新薬のスクリーング方の開発などに、技術突破をまず起こしそうでした。その先には、勿論、再生医療が見えています。
 
 実際、もう16個のDNA断片(遺伝子やプロモーターなど)を今や細胞の第13番染色体に狙いを定めて導入することができるようになっていました。チャンピョンレコードですが、4つまでの遺伝子導入はGATE WAYのキットで対応できます。
 
 Invtrogen社の研究者に「もうOct3/4、Sox2、Klf4の遺伝子を一つのGATE WAY プラスミドに組み込んで、iPS細胞を作成しているでしょ?」と、軽く聞いて見ました。本当に軽く聞くことがこつで、「やっているが、結果にはもうすこし時間がかかる」との答えをいただきました。ニンマリですね。
 
 3つの遺伝子をランダムに導入してiPS細胞を誘導するよりも、もし一つのプラスミッドに載せた3つの遺伝子で誘導できるなら、よほど工程を管理し易いためです。また、染色体の特定部位に挿入してiPS細胞を誘導できれば、より安全なiPS細胞を作成できると考えたためです。
 
 今回のセミナーは、インスレーター(遺伝子の区切り、ヘテロクロマチン化をブロックして遺伝子発現を維持する働きもありそう)と薬剤誘導型のリプレサーなども組み込むと、複数導入した遺伝子の個々の発現調節も可能であることも発表されました。今や6万種あるヒトのcDNAをハイスループットで細胞に導入して、変化を観察する野蛮なオミックスも可能かも知れません。但し、遺伝子の組み合わせ3つで2×10の14乗になるので、iPS細胞を誘導する組み合わせを、HTSのロボットが見つけるには、相当の幸運が必要でしょう。
 
 複数の遺伝子導入が新しい細胞生物学を実現します。直接遺伝子導入による分化誘導だけでなく、例えば今回のセミナーでは、酵母でマウスの嗅覚を、受容体とシグナル伝達関連たんぱくの遺伝子群を導入して再構成していました。
 
 生体のパスウェイをもはや移植することができるのです。とにかくびっくり。これは細胞生物学や医薬品のスクリーニング、再生医療を革命的に変えるでしょう。
 
 見逃した方には、講演ファイルのダウンロードも計画しておりますので、どうぞご期待願います。また、来年も細胞生物学の技術革新を見据えたセミナーを企画しますので、どうぞ宜しく願います。
 
 秋は学びの季節です。BTJプロフェッショナルも更に2つ予定しております。
 
 いずれも、皆さんきっとびっくりして、今までのバイオのイメージを一新なさる企画です。
 
 次世代シーケンスと抗体医薬(All about 協和発酵キリン)
 
 いずれも刻々と技術革新が進展し、バイオ産業自体に変容を迫る技術です。
 
 これらを見逃しては、到底、バイオ産業の勝ち組には残れない。
 
 さすがに皆さんはお目が高い。告知後、たちまち残席は半分以下です。
 
 下記にアクセスして、どうぞお早めにお申し込み願います。
○詳細、お申し込み○
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/080918/ 
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/081003/ 
 
 特にお勧めしたいのが、第2弾です。皆さんはまだ、次世代シーケンサーが、バイオのビジネスモデルを激変させることを知らない。是非とも下記のセミナーでご体感願います。
 
●第2弾 9月18日 「次世代シーケンサーが変えるバイオの未来」
 
 昨年に引き続き今後10年の生命科学研究やバイオ産業の牽引車となる次世代シーケンス技術を、実際に次世代シーケンサーを活用して、その驚くべき威力を実感し、今後のバイオ研究がこう変わるというビジョンを持った研究者を集結し、バイオ研究とバイオ産業の未来を見通します。
 
 この技術は、DNA配列解析だけでなく、定量的トランスクリプトーム(DNAチップを代替してしまう勢い)やエピジェネティックス、そして転座や欠失、遺伝子数増幅などゲノム構造の変化を解析できるなど、今までのDNAやRNA研究の強力なプラットフォームとなります。個の医療でも今や患者のDNAを網羅的に解析してしまうパーソナルゲノミックスを可能としています。
 
 最先端は実はiPS細胞にあります。京都大学山中研究室と京都大学小児科を中心に、疾患モデルiPS細胞の作製が進んでいます。このiPS化した細胞の全ゲノムを解析するのが、このプロジェクトの一つの眼目であります。残念ながら山中教授は京都大学の教授会出席のためセミナーにはお越しいただけませんが、共同研究者の京大小児科平家准教授が参加していたたくことになりました。
 
 疾患関連iPS細胞を例にいかに、疾患マーカーや病因解明に次世代シーケンサーが貢献するか、最先端の議論を行います。東大の辻教授の疾患関連遺伝子の探索研究もわくわくする成果が上がっています。
 
 加えて、次世代シーケンサーをリードする理研の林崎先生がこの技術がどう生命科学やバイオを変えるか、強烈なビジョンも開陳いただきます。本当にバイオにも半導体同様、ムーアの法則が当てはまるのか?
 
 決定的に重要となるバイオインフォを国立遺伝学研究所の五條堀先生に講演してもらいます。パネリストには驚くようなメンバーが揃いました。やっと国家プロジェクトをまとめた、文科省からもライフサイエンス課長が参加いたします。ここは皆さんと周知を合わせて、次世代シーケンサーを我が国がどう使うべきか?
 
 大いに議論したいと思います。どうぞご参加願います。
 
○申し込み  好評受付中、お早めに。
 
 秋の夜長、皆さんとバイオの次の手を議論いたしましょう。会場でお会いすることを楽しみにしております。
     Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
 
PS 
 バイオジャパン2008のマッチングサイトの登録者も600名を突破しました。ウェブ上で効率よくアポイントメントを確保し、提携先や共同研究者を探すことが可能です。皆さんのシーズを事業化するパートナーを発掘するためにも、どうぞ今から下記よりご登録願います。
https://exponet.nikkeibp.co.jp/match2008/?action_login_input=true 
 
ps 
●BioJapan2008、一押し情報第3弾、抗体医薬とポスト抗体医薬に注目
>>10月17日
10:00-11:30 A-8 抗体医薬
12:00-13:00 A-9 米Genetic Devices社、次世代抗体医薬
15:00-16:00 A-11 ポスト抗体医薬
●セミナー予約サイト
https://biojapan2008.com/public/application/add/37?lang=jp 
 
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それでも薬事規制は曖昧模糊としています
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 こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。今日はお詫びと訂正からです。
 先週のこのメールで、医療機器やデバイスに関して、日本の技術力の高さを認識させられることがよくあると書きました。大阪の樹脂メーカーであるタキロンが新たに開発した人工骨に関して、革新的な製品だと紹介しました。
 それに続けて、「ところがこの製品、欧米では来年にも販売開始する予定ながら、日本市場への投入は少し先になりそうということでした。人工骨に使用している材料が、既に臨床での使用実績があるものなので、米食品医薬品局(FDA)からは臨床試験なしで承認が得られましたが、日本では審査当局に臨床試験の実施を求められたからだとのことです」と書きましたが、厚労省から「医薬品医療機器総合機構(PMDA)も含めて確認したが、タキロンに臨床試験の実施を求めた事実もなければ、相談を受けた事実もない」という連絡がありました。
 そこでタキロンに確認したところ、「日本の指針を見る限り、臨床試験の実施を求められると思われると判断した」とのことで、厚労省のいうとおり、直接臨床試験の実施を求められたわけでもなければ、相談したわけでもないということでした。取材時に私が聞き違えたようです。従って、前回のメールに誤りがあったことをお詫びして、「日本では審査当局に臨床試験の実施を求められたからだとのことです」という一文を、「日本では臨床試験の実施を求められると思われるからだとのことです」に訂正します。
 ちなみに、臨床試験が必要と判断する基になった指針(正確には、「医療機器の製造販売承認申請に際し留意すべき事項について」という05年2月16日発の通知)についても、厚労省は8月4日付で新たな通知を出しており、変更されています。以前の通知では、「クラスIVとされた医療機器については既存の医療機器と同一性が証明できる医療機器および承認基準が定められている範囲の品目を除き、原則として品目ごとの臨床試験の試験成績に関する資料の提出が求められる」「クラスIIIとされた医療機器については既存の…(クラスIVと同)…範囲の品目を除き、臨床試験の試験成績に関する資料の提出が必要とされる場合があるが、現時点において原則として提出が求められるのは別紙1のとおりである」などとあって、別紙1には、「外科用接着剤」「人工関節、人工骨および関連製品のうち以下に掲げるもの」などと事例が挙げられていました。
 
 ところが、8月4日に厚労省医療機器審査管理室長名で「医療機器に関する臨床試験データの必要な範囲等について」という新しい通知を出し、その中で「医療機器の製造販売承認申請に際し留意すべき事項について」の上に挙げた部分や別紙1を削除。「医療機器の臨床的な有効性及び安全性が性能試験、動物試験等の非臨床試験成績又は既存の文献等のみによっては評価できない場合に臨床試験の実施が必要となり、臨床試験成績に関する資料の提出が求められるものであること」「臨床試験の試験成績に関する資料の要否については、個々の医療機器の特性、既存の医療機器との同等性、非臨床試験の試験成績等により総合的に判断されることから、その判断には必要に応じ、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の臨床評価相談又は申請前相談を活用されたいこと」とあります。
 
 要するに、「非臨床試験で性能などが確認できれば臨床試験は不要だが、通知に個別事例を挙げるのは難しいので、個別に当局に相談してほしい」ということです。従って、「タキロンの製品に関しても臨床試験が必要かどうかは個別に相談してもらわなければ分からない」(厚労省医療機器審査管理室)とのことでしたが、いずれにせよ先週の私のメールに迅速に反応いただいた点といい、厚労省は医療機器の迅速承認に向けて、前向きな姿勢でいることは確かなようです。
 
 ただ、「個別に相談してほしい」と通知に書くことが果たして行政の考えを示したことになるのか、疑問符が付きます。現在、GHTF(医療機器規制国際調和会議)という、日、米、EU、カナダ、オーストラリアの5カ国の行政と産業界を交えた組織で、医療機器の規制のガイダンスを作成しているところなので、今回の通知はそれまでの時限的なものという位置付けなのかもしれません。いずれにせよ、薬事の規制に関しては、ガイダンスやガイドラインに可能な限り明示していってもらいたいものです。「個別に相談」といったあいまいなやり方では、担当者の恣意(しい)的な判断が入りかねず、不公平な取り扱いをする結果を招きかねません。
 
 実際のところ、薬事の世界は実に曖昧模糊として、言葉の定義すら不明確なまま議論が進められていることが往々にしてあるようです。その辺りは、来週月曜発行の日経バイオテク9月8日号に掲載した、東大の小野准教授による「審査報告書を読む」の欄をお読みいただければよく分かります。この連載欄は、医薬品や医療機器の開発にかかわる人のほか、ベンチャー企業、大学で臨床研究などにかかわっておられる方にとっても、非常に役立つ内容だと思いますので、ぜひお読みいただければと思います。
 
 本日は別の話を囲うと思っていましたが、前回のメールの訂正の必要もあり、再び医療機器の話を書きました。
 
 最後に宣伝ですが、次世代シーケンサーに関するBTJプロフェッショナルセミナー、抗体医薬に関するBTJプロフェッショナルセミナーと、BioJapanのセミナーの受付を行っていますので、以下からお申し込みください。
 
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/080918/ 
 
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/081003/ 
 
https://biojapan2008.com/public/application/add/37?lang=jp 
 
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
 
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BTJアカデミック
直近1カ月のアクセストップ10を発表
環境・エネルギー関連の記事が人気集める
BTJジャーナル08年8月号のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp 
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 バイオ研究者のスキルアップやキャリアアップに役立てていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」の2008年8月号(32号)を8月末に公開・発行しました。
 BTJジャーナルは、無料で全文をご覧いただけるオープンアクセス対応のジャーナルです。ぜひ、お楽しみください。
 
 「BTJジャーナル」のPDFファイルは、次のサイトでダウンロードしてください。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/ 
 
 BTJジャーナルの黄色コーナーのコラム「BTJアカデミック」では、BTJアカデミッ
ク掲載記事のうち、直近1カ月のアクセストップ10を毎月、発表しています。
 
 BTJジャーナル08年8月号には、08/7/25-8/25のアクセストップ10を掲載しました。
 
 このうち6位から10位の記事は下記の通りです。環境・エネルギー関連の記事が5本のうち3本と、人気でした。1位から5位の記事は、BTJジャーナル誌面にてご覧ください。
 
6位
神戸大の大型プロ、まずは3年で3物質のベンチスケールプラント設置へ(08/7/31)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20054890 
7位
女子医大鎌谷教授、定年まで5年余し、ベンチャー企業へ転出、
統計学に残りの15年を投入(08/7/18)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20054623 
8位
「バイオエタノールよりバイオ水素を生産した方が効率良い」と谷生・横浜国大
大学院教授、北方四島の海が“バイオ水素のコンブ畑”に最適(08/7/25)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20054745 
9位
新エネルギー世界展示会の講演で、RITEの茅副理事長がCO2懐疑論の根拠を
揺るがす新説が登場したことを紹介(08/8/6)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20055091 
10位
「業界への関与で誤った宣伝に利用されぬよう十分留意を」、日本糖質学会理事会が糖質サプリメントへの注意喚起を会員向けニューズレターに掲載(08/8/08)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20055181 
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08年8月号(第32号)の目次は以下の通りです。
 
2 連載「大学は今」第8回
大学を早期退職して挑戦
鎌谷直之・前女子医大教授

5 特集リポート
第10回日本RNA学会年会
内藤哲・北海道大学教授
中村義一・東大医科研教授

8 ゲノムインフォマティスト
黒川顕・東工大教授
川島武士・OIST研究員

11 BTJアカデミック・ランキング
バイオマス環境の記事大躍進

12 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
パンがカビないわけ

13 技術シーズ・レター

21 広告索引

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                            BTJ編集長 河田孝雄