こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 
 今日は午後から、薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会・安全技術調査会合同委員会の取材に行ってきました。この委員会では、08年2月から輸血用血液製剤に対する病原体不活化技術の導入に関して議論を行ってきました(下の記事参照)。
 
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0839/ 
 委員会での議論については、後ほど日経バイオテク・オンラインにニュースを書く予定なので、そちらを読んでいただきたいですが、結論だけ紹介すると、日本赤十字社が「段階的導入」という形で「血小板製剤に対して導入に向けた準備を進めたい」との考えを示し、導入へという方向がやっと明確になりました。「導入する」ではなく「導入に向けた準備を進めたい」だったり、スケジュールも明確でなかったりしますが、ベクトルがはっきりと示されただけでも進展があったといえるでしょう。
 
 しかし、2時間半近くにわたる委員会を傍聴して感じたのですが、隔靴掻痒と言うか、もどかしいというか、何でそんな議論をしているのか、と思えるような局面が幾つかありました。特に、欧州4カ国の導入状況を調査に行った調査団の医師の報告では、フランスの血液センターでヒアリングした数字として「インターセプト(という不活化技術)処理の時期に37例の急性輸血反応が報告された」といった数字を示しながら、母数を聞かれても答えることができないなど、十分なヒアリングが行われてきたのか疑問を感じざるを得ないものでした。
 
 ベルギー、オランダ、ドイツ、フランスの4カ国をヒアリングした結果、「4カ国の間でも政策に大きな開きがある」としていましたが、委員から、「ドイツだけなぜ不活化技術の導入に慎重なのか」と聞かれると、「ドイツでは血液センターにはヒアリングに行かず、論文を多く出している大学にヒアリングしただけなのでよく分からない」といった説明でした。そのようなヒアリングのやり方で、各国の政策を論じるのもどうかな、と思いました。委員からの「欧州では製造承認は得られているけれど、導入に対する考えは国によって濃淡があるということでいいか」という質問に対して、「製造承認は受けていない」「(最も積極的な)ベルギーでも臨床研究の段階」と説明していましたが、血漿製剤用と血小板製剤用に関しては、欧州でCEマークを取得しているはずです。でも、誤った説明があっても誰も訂正できないところが審議会の難しいところです。
 
 最近、厚労省の周辺で審議会不要論をちらほら耳にしますが、今回の審議会を傍聴した感想を言うと、不要論が出てくるのも仕方ないかと思いました。
 
 もっとも、今日の委員会で1ついいことだと思ったのは、輸血血液製剤に不活化技術を導入する場合、従来の薬事の製造承認のルールには合致しないと思われることが何点かあることが明確にされ、これに対して事務局側も「審査管理課や医薬品医療機器総合機構と意思疎通していく」としたことです。ともあれ、不活化技術の導入に向けて少しは前進があったということを報告して、今日は失礼します。
 
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
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「エピジェネティクス」と「植物生命制御」が融合して、「生命現象の複階層的な調節機構」を形成、
科学技術政策研究所がとりまとめた「サイエンスマップ2006」を、研究活動とキャリアアップに活用しよう
BTJジャーナル08年6月号に詳細記事を掲載
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
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 生命科学系研究の注目研究領域は、前回の04年版に比べて大きく様変わりしました。
 
 植物科学研究と、疾病・臨床医学関連研究との間に、ポストゲノム関係の研究領域が位置するようになりました。
 
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 詳しくは、BTJジャーナル08年6月号P.14-16の記事をご覧ください。
 
※BTJアカデミック関連記事
文科省・科学技術政策研究所が「サイエンスマップ2006」取りまとめ、
臨床医学研究と植物科学研究がポストゲノムでつながる
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20053632 
 
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 以下に6月号の内容を、目次にて紹介します。
 
2 連載「大学は今」第6回
iPS支援体制整備は試金石
松本 紘・京大副学長(次期総長)

4 特集リポート
エピジェネティクス最前線
豊田 実・札幌医科大学医学部教授
伊藤隆司・東大大学院新領域教授

10 連載「いいともバイオインフォマティスト」
 第3回 川路英哉・理研オミックス研究員

12 BTJアカデミック・ランキング
研究開発強化法が成立

13 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
GM栽培目指す北海道生産者

14 「サイエンスマップ2006」
 科学技術政策研究所(NISTEP)

17 広告索引

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                           BTJ編集長 河田孝雄