3連休はいかがお過ごしになりましたか?
 
 私はスーパーモデルのように水を1日、3リットルは飲み干しながら、テニスに励みました。何しろ屋上にあるコートです。ここで一夏を過ごせればドバイオープンだって参加できます。容赦なく照りつける太陽光線に、もう黒こげです。日焼け止めもどこまで効果があるのやら。とにかく、トマトジュースもぐびぐび飲んで、アンチオキシダントを摂取しております。
 さて年甲斐もなく、テニス少年に戻ってしまいましたが、最近、我が先達も、齢六十にしてとうとう矩を超えてしまいました。この勇気と己に対する信念にはほとほと頭が下がります。
 
 リウマチなど自己免疫性疾患の権威にして、同時に遺伝統計学や臨床疫学など統計学の天才であった、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの鎌谷直之前センター長が、定年まで5年を残して、2008年7月7日に突如辞任したのです。下記の記事はBTJでNo1ヒットを記録いたしました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4623/ 
 
 同氏の支援なしには、オーダーメイド実現化プロジェクトなど集団遺伝学とDNAのSNPsタイピィングを組み合わせて疾患や副作用関連遺伝子を探索する研究は成就しなかったと思います。SNPsのゲノムワイドの解析でわが国の研究チームが国際的な成果を挙げた背景には、鎌谷教授の数学があったことは忘れてはなりません。失礼な言い方になってしまいますが、医師や分子生物学者だけでは、正直無理だったと素直に思います。
 
 春頃から噂を聞いておりましたが、まさか本当に女子医大の教授のポストをあっさり投げうってベンチャー企業に転出するとは。誰もが唖然といたしました。
 
 しかし、先週木曜日(7月17日)の夜に、京王プラザホテルで開催された退任記念会で会った鎌谷教授は「こうして突然辞任すると、普通はセクハラか、科研費の不正かですが、僕には一切関係ない。今やめることは予定通りだ」と涼しい顔でした。「残りの15年の人生を統計学に賭けたい」と鎌谷教授の言葉は胸を打ちます。
 
 自らの挨拶で、「今まで製造業中心の社会では、皆と同じことをすれば良かったのですが、今の社会はそれぞれ創意工夫をして新しいことに挑戦しなくてはならなくなった。そのため不確実性とリスクをマネージすることが大切になった。統計学こそこうしたことを可能とする」と、まことに歯切れが良い。
 
 パーティでは、余りに数学的な才能が優れていたために、「鎌谷さんの言ってることは、難しくて良く分からない」というスピーチ(医学部の教授達の)が連発され、そのあげく「鎌谷教授のような医師は沢山いるかも知れないが、遺伝統計学者としての鎌谷教授に代わる人材はない」との同僚の発言で、会場中が皆うなずくという有様。
 
 一見、突飛な決断ですが、誰もが鎌谷先生なら医学を辞めて、統計学に専念しても、一家を成すと思っていたためでしょう。そのため、退任記念講演会であるのに妙に明るい。私も挨拶で「おめでとうございます」と思わず申し上げてしまいました。
 
 五十而知二天命
 
 「人生は多量変数だ。今回の辞任も様々な変数を入れて決めた。もっとも6月にボーナスが出るとは知らず、家内の指摘で7月7日に辞任することになった」と冗談だか、どこまで本気だか分からないスピーチを飛ばしていた鎌谷教授ですが、きっと50歳代に天命を知り、今日まで思いを巡らし、準備を進めて来たのだと思います。
 
 新しい門出をお祝いしたいと思います。
 
 是非ともBTJジャーナルでインタビューをお願いいたします。鎌谷先生、是非ともご連絡願います。これは本当のお願いです。
 
 さあいよいよ梅雨も明けました。
 
 日本の夏をどうぞご堪能下さい。
 
     Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
 
PS 
 大学や研究機関でライフサイエンス分野の研究成果を産業界へ伝え、共同研究や製品開発に役立てていただく「技術シーズ・レター(ライフサイエンス分野)Vol.4」の企画を進めています。一言で言えば、ウェブ上や紙面で共同研究やライセンス先を募集する試みです。今年で第4回になりますが、効率よくパトナーや提携先を見つけことができます。実績もあります。
 どうぞ下記より詳細にアクセスし、8月5日までにお申し込み願います。
http://innovation.nikkeibp.co.jp/etb/20080701-00.html
 
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<<BTJブログWmの憂鬱>> 
最新一週間の記事  http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
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2008-07-18
BTJブログWmの憂鬱08年07月18日、野茂投手が証明したこと
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4646/
 
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2008-07-16
BTJブログWmの憂鬱08年07月16日、まだiPS細胞は役には立たないのか
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4594/
 
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2008-07-14
BTJブログWmの憂鬱08年07月14日、ペイシェントリスクマネーの供給
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4535/
 
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文部科学省の科学技術政策研究所がこの6月にとりまとめ発表した
「サイエンスマップ2006」、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授の業績が顕著な鳥インフルエンザ研究の内容分析担当の方は……
BTJジャーナル 08年6月号を発行・公開しました
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「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 バイオ研究者のキャリアアップ/スキルアップにお役立ていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」の08年6月号を発行・公開しました。

 文部科学省の科学技術政策研究所がこの6月にとりまとめ発表した「サイエンスマップ2006」の詳細を、掲載しています。
 分析したリサーチフロントの例として「H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザの研究」の分析結果を、記事の1ページ目に掲載しています。このリサーチフロントの内容分析をどなたが担当なさったかは、記事にてご覧ください。

 各注目研究領域の内容分析は、前回の04年版から国内の専門家の協力のもとで進めているが、06年版からは、注目研究領域すべて(06年版では124)において、内容を分析した担当者を公開・明記する取り決めにしました。
※BTJアカデミック関連記事
文科省・科学技術政策研究所が「サイエンスマップ2006」取りまとめ、臨床医学研究と植物科学研究がポストゲノムでつながる
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20053632

「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
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 以下に6月号の内容を、目次にて紹介します。

2 連載「大学は今」第6回
iPS支援体制整備は試金石
松本 紘・京大副学長(次期総長)

4 特集リポート
エピジェネティクス最前線
豊田 実・札幌医科大学医学部教授
伊藤隆司・東大大学院新領域教授

10 連載「いいともバイオインフォマティスト」
 第3回 川路英哉・理研オミックス研究員

12 BTJアカデミック・ランキング
研究開発強化法が成立

13 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
GM栽培目指す北海道生産者

14 「サイエンスマップ2006」
 科学技術政策研究所(NISTEP)

17 広告索引

 ぜひ「BTJジャーナル」をダウンロードして、お楽しみください。パソコンでご覧いただくと、リンク先の情報もすぐに入手できます。プリントアウトをお読みいただくなら、カラーをお勧めします。

 BTJジャーナルは、オープンアクセス時代に対応した新タイプのジャーナルです。研究や教育、日常生活にご活用いただければ幸いです。
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                           BTJ編集長 河田孝雄