敬愛する野茂投手引退のニュースに触れ、金曜日にもかかわらず登場いたしました。当時、日本プロ野球界を敵に回してまで、渡米した野茂投手の挑戦がなければ、私たちの野球はいつまでの米国のセカンドシチズンで終わっていました。彼の勇気が、私たちが挑戦しもしないで怯んでいた臆病を払拭し、次々と渡米する後継者を生み、野球のグローバル化に貢献したことは忘れてはなりません。口数少ない野茂投手のコメントで「まだやり残したことも悔いもある。しかし、観客を楽しませることが出来なくなり、引退を決意した」。プロ選手として引き際を決めた潔さと尚かつプロ選手への執念を残した、しぶとさに感心いたしました。
 今では当たり前のようにプロ野球ニュースで大リーグのニュースが流されていますが、これは野茂投手以前にはなかったことなのです。ニュースの上では、日本のプロ野球も大リーグも等しく並べられていることは、プロ野球でも世界市場の統一化が進んだ証です。
 
 野茂投手が証明したことは、世界市場の統一は実は才能の移動や世界市場への開放によって、実現できるということです。野茂投手に感謝は尽きません。
 
 わが国のバイオ研究者やバイオのビジネスマンの中で、己の才能を世界市場で確かめる機会を得る人は何人いるのか? これはわが国の外資系でローカルスタッフとして雇われるという意味ではありません。世界市場で起こっている知的な創造とそのマネージメントに参画するプロパーとして、つまり一軍に入って、勝負をする人材がどれだけいるのか? 私自身のことも含めてもう一度、考え直さなくてはなりません。
 
 さて、最後に一つお願いです。
 
 大学や研究機関でライフサイエンス分野の研究成果を産業界へ伝え、共同研究や製品開発に役立てていただく「技術シーズ・レター(ライフサイエンス分野)Vol.4」の企画を進めています。一言で言えば、ウェブ上や紙面で共同研究やライセンス先を募集する試みです。今年で第4回になりますが、効率よくパトナーや提携先を見つけことができます。実績もあります。
 
 どうぞ下記より詳細にアクセスし、8月5日までにお申し込み願います。
http://innovation.nikkeibp.co.jp/etb/20080701-00.html  
 
 今週のブログも結構、頑張りました。下記より閲読願います。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
 
 週末も蒸しそうですが、熱中症にならぬようお気を付け願います。
              Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
 
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北海道の組換え作物に関する条例の追従実験の奇奇怪怪
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 北海道には、「遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例」という基本的に遺伝子組換え作物の栽培を禁止する条例がある。この条例に違反すると罰金はもとより刑務所に入る実刑までついている。また、申請に当たっての審査料金が30万円以上でありとてもまともにやる気を起こさせないようにしたものである。この条例がいかに科学的根拠に乏しく、しかも二重規制を行なったものと判断されるという者も多い中で、未だにそのままである。
 
 その中で、科学的根拠を求めるつもりで、ダイズ、イネ、トウモロコシ、ナタネ、テンサイについて従来の品種を用いての花粉の飛距離を求める追従実験が2006年度、2007年度のかなりの規模の試験(私と判断では実験・試験と言えないろもの)が行なわれて結果が報告された。
 
 初年度の試験結果がでたときに実験の不備を質問した。不備とは、親の純度を測定していない。勿論自然変異率などは考慮していない。また、実験計画及び結果の解析に当たり全く統計学的な処理がなされていない。勿論平均値くらいは出ているがここでの統計学的な意味とは、データーの信頼度や実験間の誤差など通常の作物学などで行なわれるものである。これがなくては、専門科学雑誌には採択されるべくもないものである。
 
 さて、ここでこれまで行なわれたことを検証してみよう。私は、これらを実験と評価できない。その理由は、先に書いた通りであり、単にやったことを並べた調査に過ぎないが、2年分を比較してみよう。
 
イネ
     花粉親からの距離   交雑率(%)   調査粒数
 
2006年  2 m           1.136       52,899 
     26 m          0.529       56,937 
     150 m          0.068       54,212 
     300 m          0.024       51,002 
 
2007年  2 m            x          x 
     26 m           x          x 
     150 m          0.017 (0.076)     x 
     300 m          0.014 (0.023)     x 
     450 m          0.002 (0.006)     x 
     600 m           0 (0.028)      x 
 
カッコ内は冷害を模した冷水処理したもの。xは、データーの公開なし
 
ダイズ
     花粉親からの距離   交雑率(%)   調査粒数
 
2006年  10 m (南)中央     0.003        28,653 
        十勝       0.066        39,237 
        北見       0.003        37,080 
     20 m〔南〕中央     0.003        30,362 
        十勝       0.032        37,563 
        北見        -          - 
     40 m〔南〕中央      0         22,741 
        十勝        0         31,483 
        北見        -          - 
 
2007年  10 m (南)中央      0.003       30,822 
        十勝        0         29,873 
        北見        0         45,582 
     20 m〔南〕中央     0.003       33,657 
        十勝        0         30,988 
        北見        0         45,607 
     40 m〔南〕中央      0         22,741 
        十勝        0         31,483 
        北見        0         45,288 
 
 ここでは、スペース都合でイネと大豆のしか示さないが、ご覧のように真になんとも奇妙ともいえるデーターだ。新聞や消費者運動活動家にはイネは、600mでも交雑を起こったと報告しているが、ダイズでは全く逆になっていて交雑が見られていない。2006年度の十勝の高い交雑率の結果は、何だったのかということになる。
 
 私から見れば、実験者の腕が上がったのと使った種子の純度が良くなったものと考える。つまり、イネの結果は、種子の純度を示すもので、距離を何キロ離しても同じデーターが出ると思っている。そもそも100%純粋なものはないのであるからだ。またここで多くの十路に(0、ゼロ)と記載されていたのでそのまま転載したが、正しくはゼロが幾つか並ぶのが正しい書き方である。これもまたこれらの実験が科学的に考えてでたものでないことである。
 
 ここで、再び私の主張を繰り返す。このような実験にどんな意図があるのか実験者は、説明すべきだ。これは税金の無駄使いである。この批判を、実験者に向けるのは間違いであることを願っている。実験者は、多分実験を計画実施させたデスクに向かっている者の命令でしぶしぶやっているのであると信じている。こんな実験をやるのなら、減俸を強いられている道庁職員に少しでも還元すべきある。条例も直ちに撤廃すべきである。                   
 
                       NPO北海道バイオ産業振興協会
                       会長 冨 田 房 男
 
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「安全配慮義務違反にならないのか。判例が出ないとわからない」
先週木曜日から金曜日の日本動脈硬化学会に続き、先週土曜日の日本ヘルスサポート
学会でも、特定健診・特定保健指導の問題点が話題になってました
「ゲノムインフォマティストは絶滅危惧種に」と黒川顕・東工大教授は危機感を表明
なさいました
BTJジャーナル08年6月号はエピジェネティクス特集です
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
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「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 毎週金曜日のメールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田です。
 一昨日(7月16日)に東大・弥生講堂で開かれた「プロバイオティクスと腸管免疫─食シグナル・生体統御系間相互作用(明治乳業)寄付講座記念シンポジウム─」、それから今日までパシフィコ横浜で開かれている第5回植物メタボロミクス国際会議を一昨日、昨日と取材しました。いずれも盛会でした。記事とりまとめましたら、また紹介させていただきます。
 今週は先週土曜日に四谷の持田製薬で開かれた日本ヘルスサポート学会の話題からお届けします。
※BTJアカデミック記事
2008-07-16
「介護は成功、後期高齢者は大失敗、特定健診はこの中間」と田中滋・慶應義塾大学教授・日本ヘルスサポート学会理事長
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20054559 
 
 「特定健診・特定保健指導の制度について現在、やめてしまえ、という声がないのは助かる」──。2008年7月12日に都内で開かれた日本ヘルスサポート学会第3回学術集会で、同学会理事長を務める田中滋・慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授は、最後の総括でコメントなさってました。
 
 「今回は、この4月に始まったばかりの特定健診・特定保健指導をメーンに取り上げた。成果が出ているのかという声も聞くが、始めて2カ月で太った人が消えたら驚きだ。定期的な健康診査は秋に実施するところも多い。慶應も秋。いずれにしてもアウトカムは5年先、10年先になる」
 
 「後期高齢者制度は評判が悪い。ステイクホルダーはみんな賛成して作ったのに。納得して、今の制度よりは改善するということで。にもかかわらず何故やめろ。これは実務的なミス。マスコミ的にはいい材料、エピソードベース。システムとしてはミス少なかったのだけど。悪かったのは広報。2年前に法律が通っていたのに、2年間何も広報してこなかった。住民・対象者に知ってもらうことが大切なのに」
 
 「一方、介護保険は、2年間自治体の担当者まで巻き込んでシンポ、公民館、中学校体育館、全国津々浦々。インプリメントに力を注いだ。実行可能性が大事。自治体の方々が推進した。これに対し、後期高齢者はまったく手を抜いた」
 
 「それでは、特定健診はどうか。ステークホルダーである医師会も財界も労働組合も賛成した。広報はどうだろう。自治体によりバラツキが広がっている。高知市や北九州市のように熱心なところは目立っている」
 
 「介護は成功、後期高齢者は大失敗、特定健診はこの中間といえるだろう。鍵となるのは、目的と理想の共有。介護は、尊厳ある自立支援で、4兆円。後期高齢者は理想がない。これからでもつくるべき。理念なしに11兆円は動かない」
 
 「特定健診の目的ステートメントは、医療費抑制ではない。抑制のためには、コストベネフィット分析が必要、経済学的に。一方、企業、大学、官庁は目的は簡単に作れる。生産性の上昇だ。メンタルヘルスは、生産性低下の最大の要因。医療費より大きい、桁が違う、これは出る」
 
 「特定健診の効果で大きいのは共通化。これまで、他の自治体、健保のデータと比べることができなかった。ポスター発表にあった『健康会計』にあるように、プロセスの見える化。これはいいこと。ただし健保組合がある場合のみだけど。一般にいえばQOLが上がる」
 
 「特定健診の対象は40-74歳。引退したあと10年くらい楽しく過ごす。夫婦でも1人でも。60歳から後期まで15年。団塊の世代がいま60歳。一病息災くらいで75歳まで送り込む。社会を支える側にいてもいいのでは。ワークライフバランス、これは雇い主、社会の責任だ」
 
 第3回学術集会の最後に、田中理事長は総括なさいました。
 
 これに先立ち、午後に開かれたシンポジウム「特定健診・特定保健指導の実践と課題」は、同学会の副理事長である松田晋哉・産業医科大学公衆衛生学教室教授が座長を務め、パネリストは、田中裕・北九州市医師会理事・田中クリニックと、藤野善久・産業医科大学公衆衛生学教室の2人が登場しました。
 
 「産業医として悩ましい。特定健診は、安全衛生法に基づいてきちんとしっかり、ということ。逆にいえば今までザルだった」(松田氏)
 
 「議論は続いているけど、健診と根本概念まったく違う。安全を超えた健康増進とは、ギャップがある。安全衛生法における安全配慮の最たるものは、就業措置。特定健診で特定保健指導の対象になった場合、無措置でいいのか。たまたま心筋梗塞で倒れた場合、安全配慮義務違反にならないのか。判例が出ないとわからない」(藤野氏)
 
 特定健診・特定保健指導の現場での対応などについては、現在も頻繁に、厚生労働省から詳細が発表になっています。現場では悩ましい問題が山積しているようです。
 
 もう1つの話題は、先週金曜日にかずさDNA研究所が主催、ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)が共催した「Genome Infomatics WorkShop2008」から、先週に続いてお届けします。
 
2008-07-17 
「ゲノムインフォマティストは絶滅危惧種に。自動化だけでなく、教育や解析受託センター整備など重要」と黒川顕・東工大教授
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?a1=1&jreq=btjnews&id=20054599 
 
 「とにかく自動化は必須だが、完全ゲノム配列を決定できるヒト、遺伝子の注釈付けを根気強くできるヒトの教育も大切。このままでは絶滅危惧種になってしまう」──。2008年7月11日にかずさアカデミアホール(千葉県木更津市)で開かれた「Genome Infomatics WorkShop2008」(主催:かずさDNA研究所、共催:ライフサイエンス統合データベースセンター)で、黒川顕・東京工業大学大学院生命理工学研究科生命情報専攻教授(BTJジャーナル08年2月号P.11-12)は、「微生物ゲノム自動アノテーションに求められるもの」と題して講演した指摘なさいました。
 
 「予算がついたからと、ゲノムシーケンスをやっちゃう。素人とはいわないけど、ゲノム解析の経験に乏しい人が、容易に手を出せる時代が来てしまった。何とかしないといけない。(バイオインフォマティストである)我々はどうしていけばいいのか」と黒川教授、利用する立場の人間。どうやっていきたいのかどうやって欲しいのか、を見極めることも大切と指摘なさいました。
 
 完全ゲノム配列は、自動化は困難とみられるが、アノテーションはレベルにより自動化が可能、と黒川教授は指摘。アノテーションの自動化については、利用者を次の3つのグループに分けて対応すれば、それぞれのグループに納得してもらえるのでは、とのことです。分類したグループは、初級:できちゃったゲノム、中級:ゲノムやりたかった、上級:ゲノム命、の3つ。
 
 続きは上の記事をご覧ください。
 
 メール原稿の締め切り時間が迫ってきましたので、今日はここまでとさせていただきます。
 
 最後に、BTJジャーナル08年6月号(第30号)の内容を、目次にて紹介します。
 
2 連載「大学は今」第6回
iPS支援体制整備は試金石
松本 紘・京大副学長(次期総長)

4 特集リポート
エピジェネティクス最前線
豊田 実・札幌医科大学医学部教授
伊藤隆司・東大大学院新領域教授

10 連載「いいともバイオインフォマティスト」
 第3回 川路英哉・理研オミックス研究員

12 BTJアカデミック・ランキング
研究開発強化法が成立

13 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
GM栽培目指す北海道生産者

14 「サイエンスマップ2006」
 科学技術政策研究所(NISTEP)

17 広告索引

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                            BTJ編集長 河田孝雄