現在世界的な大きな課題は、「地球温暖化」と「食糧とエネルギーの供給確保」である。アグリバイオがこれらの課題解決に大きな貢献が期待されているところは広く認められているところである。地球温暖化を減速させるには植物によって固定される循環可能な炭素を利用するエネルギーの獲得である。これは、間違いなく地球環境に良い効果をもたらすものである。これらは、2008年7月7日から9日まで開催
される世界のリーダーの集まりである北海道洞爺湖サミットの主要課題である。
 このG8サミットの開催に呼応して、NPO北海道バイオ産業振興協会(HOBIA)は、多くの関連学協会とともに、これらの緊急且つ重要課題について考えてきている。今回は、我々が取りうる今後の方策をバイオ燃料、食糧供給、炭素排出削減などについて考えるために、北海道がバイオアイランドであり、その経済・社会基盤を農林水畜産業に置いているところから「地球環境を改善するアグリバイオ」と題視して札幌と東京でシンポジウムを開催した。ここでは組換え技術が果たす重要性が強く語られ、それらを盛り込んだ大会宣言が講演者の支持と多くの学協会の支持により以下に示すように発表された。これを今後各界に広報するつもりである。
 
◆◆◆◆       北海道バイオサミット      ◆◆◆◆
◆◆◆◆  農業バイオテクノロジーに関する大会宣言  ◆◆◆◆
 今後25年間に起こると予測されている危機的地球規模での飢餓・貧困、温暖化、食糧及び燃料の不足について、これらの問題の解消、あるいは低減させるための緊急対策が我々に求められている。本宣言の末尾に記載の学協会は、これらの問題点の現在の状況とこれらの問題を和らげるための方策を表明し、日本の利害関係者に明確な考え方をもってもらうように努めるものである。
 日本は、世界で9番目の約1億2千800万人の人口をもつ国で、総面積377,835平方キロに住んでいるので、その人口密度は、平方キロ当たり世界最高の340人である。日本は、その食糧(トウモロコシ、ダイズ及びその他の食糧及び飼料)の60%以上を輸入に依存している。自給率は、1960年以来減少を続け、2008年には、39%を切ると推定されている。
 日本は、輸送や交通手段のために世界第四番目の原油の消費国であり、これは過去25年間の地球規模での道路や船舶輸送が倍になったことによるが、更には、航空、鉄道、電車・地下鉄、水路輸送によるものも加わっている。日本自動車工業会(JAMA)の2006年報によると、7千万台の自動車が日本にあり、6千万キロリッターの燃料を使用している。1999年から2004年にかけて急速に原油の値段が上昇し、現在は更に上昇してバレルあたり100米ドルを越えることなって、日本の資金力を相当に減少せしめている。
 前世紀の間に世界のエネルギー消費がそれまでのほぼ2倍になったことで大気汚染も非常に悪化した。有害物質の放出は、例えば、化石燃料をくみ上げる上流域過程から、輸送、暖房、調理などの化石燃料を燃やす下流域に至る、全てのエネルギー開発活動を通じて起こっている。これら、各種の気体あるいは粒子状の悪影響を与えている放出物には、粒子状物質(PM)、表層オゾン(O3)、二酸化窒素(NO2)、酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(SO2)一酸化炭素(CO),有害レベルの二酸化炭素(CO2),有機物と各種メタルがあり、それらはヒトの肺に深く入り込み、健康障害を起こしていると考えられる。世界レベルでの化石燃料の消費のさらなる増加とそれに伴う環境及び健康に与える深刻な影響が21世紀の半ばから後半には現実のものとなるであろう。
 日本における遺伝子組みえ植物の生産及び利用は、これらの問題に対する一つの解決策である。耕作地が縮小し続ける中での食糧増産、植物による環境浄化、再生可能なエネルギー源利用による炭酸ガス放出の削減、バイオ作物の飼料としての利用などに良い効果をもたらすと言える。遺伝子組み換え作物の商業生産に関する2007年報(2007 Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops)にもあるように、日本における組換え作物の商業栽培、食糧と飼料、環境利用の許可の数が最高であることは極めて重要なことである。しかしながら、日本におけるバイオ作物の商業栽培規制は、極めて厳しいものであり、先の許可を実行することを阻害している。
 日本は、分子生物学およびバイオテクノロジーの研究開発のアジアのリーダーとみなされている。トップの大学からは、日本及びアジアの農業の革新を様々の視点から行なえる高い資質を持つ専門家が輩出されている。多くの遺伝子組み換え植物、例えばアレルゲンのないイネやピーナッツ、鉄含量の高いコメなどが開発の途上にある。しかしながら商業化や利用に関しては、未だに課題である。現在、日本における遺伝子組み換え技術に関する科学的論点や関心事は、政治、経済、倫理、文化、社会に関するものに集中しており、その利用の妨害となっている。このような状況は、国際的な反遺伝子組換え組織のキャンペーンによる誤った情報がマスメディアに流され、一般の人々に誤解と恐怖をばら撒くことで更に増幅されている。
 日本が、当面している地球規模での問題に対して、積極的・建設的な貢献をするために、本バイオサミットは、以下のことを宣言する。
1.遺伝子組み換え技術は日本の農業問題に解決を与えるものである。農産物の生産性の向上、病害虫の制御、新規消費者向け製品の開発、再生可能エネルギー源の開発利用のため、速やかな遺伝子組み換え技術及びそれにより生産された遺伝子組換え植物(GMO)の開発利用を推進する。
2.遺伝子組換え技術に関しての過度に取締まることのない政策及び規制体制を確立する。
3.農業生産者が自由にどのような栽培方法も取れるように、日本における遺伝子組換え技術利用に関する政策を改善する。
4.遺伝子組換え関連方策の決定に一般の人々が参加することを促進し、そのために遺伝子組み換えについてよく知ることが出来るような戦略を立て、強化する。
5.国内において遺伝子組換えの理解を促進するために民間・公共の遺伝子組換え技術を学ぶプログラムの開発・実施を支援する。
                       2008年6月30日
                       NPO北海道バイオ産業振興協会
                       日本育種学会
                       日本植物学会
                       環境バイオテクノロジー学会
                       日本分子生物学会
                       日本生物工学会
                       日本食品科学工学会
                       バイオインダストリー協会
                       NPO近畿バイオ産業振興協議会
                       国際アグリ事業団
                       くらしとバイオプラザ21
                       バイオ作物懇話会
                       NPO北海道バイオ産業振興協会
                       会長 冨 田 房 男
 
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千葉県かずさで開催されているGenome Informatics WorkShop2008に参加してます。
昨日つくばの日本動脈硬化学会では、LDL直接測定法の問題点が大きく
クローズアップされていました。
BTJジャーナル08年6月号はエピジェネティクス特集です
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 毎週金曜日のメールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田です。
 
 ただいま、かずさDNA研究所が主催、ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)が共催の「Genome Infomatics WorkShop2008」に参加してます。
 
 「wetラボでもうっかりやっちまいがち」「うっかりゲノム」「こんな大量な解析できる人はそうそういませんよ」「うっかりdataの行き先は」──。次世代シーケンサーの登場で、安易にシーケンスを外注したときの問題点を、ワークショップのプログラムの「はじめに」で、かずさDNA研究所の中村保一さんが話しました。
 
 中村さんのプレゼンは、またしても分かりやすく素晴らしいと思いました。
 
 さて今週のメールでは、メタボ健診とLDL直接測定法の話題をお届けします。
 
※BTJ記事
英文誌の初IFは2.835、第40回動脈硬化学会がつくばで開幕、「年取った人が若返ってもらわないと」と特別講演の江崎玲於奈氏
 
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4461/ 
 
BTJアカデミックはこちらから
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 昨日(7月10日)、朝8時55分から夜8時近くまで、第40回日本動脈硬化学会総会・学術集会の初日のサイエンスプログラムを取材しまして、
 
 08年4月に「特定健診(健康診査)・特定保健指導」が日本で始まったのに伴い、脂質代謝異常の指標として、いわゆる悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロール(LDL-C)が検査対象項目となり、従来測定していたトータルコレステロール(T-Cho)の測定は取りやめになりました。
 
 そこで大きなビジネスチャンスになった、LDL直接測定法が、メーカーごとの違いなどが大きな問題になっていることがよくわかりました。
 
「LDL直接測定法は日本の技術水準の高さを世界に示したもの。しかしIDLに対する反応性が各キットでさまざま。LPXに反応するものとしないものがある」──。日本動脈硬化学会脂質代謝部会長を務める横山信治・名古屋市立大学医学部教授は、つくばで開かれている第40回に本動脈硬化学会総会・学術集会で2008年7月10日午後に開かれた2時間のセッション「動脈硬化性疾患診療ガイドライン 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007─この1年─」の中で「LDLコレステロールの直接測定法について」と題した講演で言及なさいました。
 
 米国からの指摘が最初のきっかけということのようなのですが、どこかで問題を整理しないとのことで、07年秋から情報を収集し、この問題をどう考えていけばいいのか提言していきたい、と脂質代謝部会で取り組み中とのことです。
 
 08年2月から、LDL-CとHDL-Cの直接法を評価する日米共同評価計画が進行中で、200検体について解析がほとんど終了していて、7月29日に結果が発表になるとのことです。
 
 日本では試薬の標準化はされていても、臨床検査の現場におけるシステムの標準化が義務付けられていない、のが原因になっているようです。直接測定法のキットが4種類、2ステップ・メソッドのキットが5種類あり、各企業のノウハウは公開されているわけではない。臨床現場では、どの試薬による測定結果なのかを知るのが困難な状態とのことです。
 
 日米共同評価計画の結果を見て、学会で判断していくとのことです。
 
 この件は昨日から記事とりまとめ中なのですが、込み入った説明が必要で、各セッションなどで座長やフロアからの発言も記事に盛り込みたいので、まだ途上です。近く報道しますので、ご覧いただければと思います。
 
※BTJの関連記事
秋田県総合食品研、スカイライト・バイオテック、植物トリテルペンがVLDL中性脂肪を低減、MetS対策に有用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/1085/
 
総コレステロールではなくLDLが基準、
4月のメタボ健診開始で「コレステ対策トクホもバージョンアップが必要」と津志田NAROセンター長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0537/
 
味の素、福島県立医大、東大、ベニバナ種子の成果を動脈硬化学会で発表、セロトニン誘導体が主成分
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/5469/
 
動脈硬化学会、にがり、シソ、レモン、エリンギ、DAG、ヤーコン、魚油などなど、MetS対策食品の発表相次ぐ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/5471/
 
08年4月保険者義務化のMetS健診、血液検査10項目で唯一標準物質が未整備のLDLは、産総研が開発メド
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/1706/
 
 メール原稿の締め切り時間が迫ってきましたので、今日はここまでとさせていただきます。
 
 最後に、BTJジャーナル08年6月号(第30号)の内容を、目次にて紹介します。
 
2 連載「大学は今」第6回
iPS支援体制整備は試金石
松本 紘・京大副学長(次期総長)

4 特集リポート
エピジェネティクス最前線
豊田 実・札幌医科大学医学部教授
伊藤隆司・東大大学院新領域教授

10 連載「いいともバイオインフォマティスト」
 第3回 川路英哉・理研オミックス研究員

12 BTJアカデミック・ランキング
研究開発強化法が成立

13 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
GM栽培目指す北海道生産者

14 「サイエンスマップ2006」
 科学技術政策研究所(NISTEP)

17 広告索引

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                           BTJ編集長 河田孝雄