こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 
 17日から米San Diegoで開催されている米国バイオインダストリー協会の年次総会、BIO2008を取材するために、米国に来ています。といっても実はBIOに行く前に、アリゾナ州のツーソンとフェニックスのバイオクラスターなどを取材してきたため、17日の夜にようやくSan Diego入りをしました。17日に開催されたテープカットセレモニーなどは見落としてしまいましたが、18日朝からはセッションや展示会の取材をこなして行きたいと思います。日経バイオテク・オンラインで、取れたてのHOTなニュースを記事にしていきますので、皆様どうかお楽しみに。
 ツーソンとフェニックスでの取材では、いくつか面白いトピックがあったのですが、それは改めて記事で紹介することにして、印象に残ったのはアリゾナ州の1位と2位の両都市が、同じように人口が増加していて、平均年齢が若返っていることです。それから、やはり同じように給与水準が低いものの治安がよく、地価や物価が安いために人が集まりやすく、一方で交通の便がいいので、ビジネスをしやすい環境であると、地域の経済公社の人たちが強調していました。
 
 バイオのメッカだった西海岸は地価が上昇して起業に適さなくなり、バイオベンチャー創業の拠点はサンディエゴに移ったものの、San Diegoも物価などが上がり始めたので、人件費や地価、水道光熱費などがより安いフェニックスやツーソンが注目されているのではないか、と解説してくれる人もいましたが、確かにそのとおりかもしれません。確かに、最近、バンクーバーからフェニックス近郊のスコッツデールに研究開発の拠点を移したというあるベンチャー企業は、その理由を、Mayo Clinicとの関係ができることと、経営に適した場所であることだと言っていました。
 
 いずれにせよ印象に残ったのは、サブプライム問題に揺れる米国という印象があったのに、一地方の経済が思った以上に活気付いているということです。もちろん、たまたまアリゾナ州の都市を訪問しただけで、米国内でも地域によっては経済活力を喪失しかかっているところはあるのかもしれません。しかし、バイオバイオベンチャーがあまり元気ではない今の日本の状況に比べて、米国は地方も元気そうなのでちょっとうらやましい気がしました。
 
 米国のバイオは本当に元気なのか。バイオが停滞感をにじませているのは日本だけなのかどうか。明日、BIO2008の会場ではそんな辺りも探ってみたいと思います。
 
 話は変わりますが、先週、この欄に「治験のグローバル化が意味するもの」というタイトルで、ドラッグラグの解消のための施策や国際共同治験の推進で、日本で使う医薬品や医療機器がグローバルスタンダードに近づいて行けば、医療行為そのものも国際標準化に向かわざるを得なくなり、医薬品や医療機器を各国がそれぞれ審査する制度も見直しが必要になるかもしれないという趣旨のことを書いたところ、以下のようなご意見をいただきました(一部抜粋)。
 
 「FDAは医薬品の承認をしますが、副作用発生時の賠償責任は製薬企業がとり、承認した責任はありません。日本では加熱製剤承認で元厚生省生物製剤課長が業務上過失致死罪に問われ、最高裁で確定しました。私企業が発売した医薬品のリスクなのに国が責任をとる日本の在り方がおかしいのですが、現実に国際基準へ変更出来るのでしょうか。
 
 一部のグループが推進する被爆者補償や肝炎訴訟をマスコミは無批判に報道し、一方で訴訟の結果でしかないドラッグラグを批判します。上手なキャンペーンで国際共同治験や承認が押し進められても、分子標的薬や代謝拮抗剤で肺障害の発生が日本人で多いという問題の解決は最低必要だと思います。
 
 私としてはFDAの後追いしかしていない日本の承認制度改革は失敗だと思っています。画期的な医薬品の承認を最初に行うことができない日本の承認制度は間違っています。総合機構を解散してFDAの承認を追認する制度へ変更した方がましです」
 刺激的なご意見ですが、頷ける部分もあるので紹介させていただきました。米国でいろんな方と意見交換していると、FDAにもいろいろな問題があるようで、それを単に模倣すればいいという論調も乱暴な気がします。結局のところ、国民が、最高とは言わないまでも、納得できる医療を受けられるようにするにはどうすればいいのかを、皆さんと議論しながら考えていくことが重要なのだと思います。
 
 話題が散漫になってしまいましたが、お許しください。ぜひ日経バイオテク・オンラインで、BIO2008のリポートをお読みください。
 
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
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 バイオ研究者のキャリアアップ/スキルアップにお役立ていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」の好評連載「サイコムキャリアプロジェクト」が、最終回を迎えました。
 
 「オンリーワンの自分を商品化して売り込め!」を、富田悟志さんと新山元さんが執筆しました。
 必要なのは、自分を知り、相手を知り、それを相手にわかりやすくアピールすること。まずは、ポジショニングマップで自分を視覚化するところから、解説していただきました。
 詳しくは、「BTJジャーナル」08年5月号P.13-15の記事をご覧ください。
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08年5月号(第28号)の概要を目次にて紹介します。
 
2 連載「大学は今」第5回
イメージングで免疫の全貌把握
審良静男・阪大IFReC拠点長

5 特集リポート
トランスフェクション
三宅淳・AIST部門長・東大招聘教授
三宅正人・AISTグループ長

10 BTJアカデミック・ランキング
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11 専門情報ウェブサイト「FoodScience」
 食品検査は是か否か

13 連載「サイコムキャリアプロジェクト」
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16 連載「遺伝統計学へようこそ!」第15回
 現実的な全ゲノム関連研究を目指し

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