こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 皆様、ゴールデンウィークはいかが過ごされましたでしょうか。私は、大学時代の友人たちとバーベキューパーティーをするために大阪に帰省していました。友人たちとのバーベキューパーティーは毎年の恒例行事でして、GWの使い方として新鮮味には欠けるきらいはありますが、同じ場所に同じメンバーが毎年集まってくるというのは何となく安心感があっていいものです。
 GW中は、秋田県や北海道で見つかったハクチョウの死骸から、高病原性の鳥インフルエンザウイルスが検出されたという報道が目に付きました。鳥インフルエンザウイルスは03年以降に3億羽以上のニワトリやアヒルを死亡させてきたといわれます。ご存知の通り流行地域ではヒトへの感染例も報告されていますが、世界全体で382人(H5N1型と確定した症例数)という数字にとどまっています。うち死亡例は241人なので、感染すると致死率は非常に高いですが、ヒトへは感染しにくいウイルスと言えます。したがって、野鳥や家禽類などへの感染状況をモニターするなど警戒は必要ですが、すぐにヒトの間で流行が始まるようなものではないことは認識しておいた方がいいでしょう。また、感染ルートの解明は今後の調査を待たなければなりませんが、大陸から飛来する渡り鳥を介して感染症が国内に入ってきているとすれば大変興味深いことです。この辺りは今後の研究に注目していきたいところです。
 話は変わりますが、4月中旬に日本感染症学会に取材に行き、幾つか感染症に関する興味深い講演を聞きました。例えば、ヒトの体には60兆個のヒト細胞よりも1桁多い数の微生物が共生していること、その中には病原性を持たず、通常は潜伏感染しているものの、宿主の抵抗力の低下など何らかきっかけで顕性感染を起こすものも少なくないこと、ある種の細菌の持続感染が動脈硬化などの危険因子となっていること、逆に結核菌などの感染とアレルギー疾患の間に関係があると考えられること、などなど。改めてまとめて話を聞き、いといろと考えさせられました。
 ヒトと微生物の間に何らかの共生関係がある以上、よほど病原性の強い場合は別として、安易に細菌やウイルスを殺してしまってしまうのは考えものです。抗菌薬などの大量使用はそれをしん酌しないために、耐性菌の出現という事態を招いてしまったような気がします。あるいはワクチンも同様で、ワクチンを利用することで特定の細菌を根絶できても、より病原性の強い別の細菌が出現しないとも限りません。実際、肺炎球菌では、ワクチンに含まれていない血清型の菌が出現して問題になっているという話しもあります。感染症対策は、何でも根絶すればいいというのではなく、ヒトとの共生関係や微生物同士の関係まで調べた上で考えていく必要があるのではないかと思いました(鳥インフルエンザの話とは関係がありません)。
 最後に少し宣伝です。以前、BTJメールでも紹介しましたが、バイオベンチャー大全の英語版のプロジェクトがようやく正式にご案内できることになりました。このプロジェクトは、07年7月に日経BP社が発行した「バイオベンチャー大全2007-2008」の翻訳権を英国のコンサルタント会社であるtransB社に供与し、日本の主要なバイオベンチャーを掲載したデータベースサービスとして、欧米企業向けに情報発信しようというものです。transB社では、データベースシステムの開発およびコンテンツの翻訳、更新作業を終え、「Japan BioApproach Database」という名称のデータベースサービスとして、間もなくリリースされます。

 元々書籍として出版したものを、随時更新可能なデータベースサービスとしてリリースするために、どのようにして更新や確認をするかで少し話し合いが必要でしたが、欧米にほとんど出回っていない日本のバイオベンチャーにかかわる情報を英語で発信することが、日本のベンチャーにとっても、欧米の投資家や製薬企業にとっても大きな意味のあることだという点で、transB社と弊社の考えは最初から一致していました。

 外資系の企業などでは、既に日本語版の書籍を購入いただいていたとしても、英語で読めるJapan BioApproach Databaseもお役に立てるかと思います。以下のサイトから、transB社に直接アプローチいただければ幸いです。

http://www.transb.co.uk/japanese_biotech_database.htm

 本日はGW明けと言うこともあり、少し散漫な印象になったかもしれません。どうかお許しください。

                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html

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光イメージングを特集したBTJジャーナル08年4月号を発行・公開
08年4月、北海道大学に光イメージングセンターが発足、
近江谷克裕教授と金城政孝教授が登場
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
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 バイオ研究者のキャリアアップ/スキルアップにお役立ていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」の08年4月号を、このほど発行・公開しました。
 特集リポートは「光イメージング」。この4月に光イメージングセンターを立ち上げた北海道大学の近江谷克裕教授と金城政孝教授に研究の最前線を聞きました。生物発光や蛍光を駆使したin vivoイメージング技術は機能解析に不可欠。と共に若手研究者が挑むのに魅力的な分野といえそうです。
 
 2008年は原子分子の概念が確立して100周年です。1分子イメージングの技術も急速に進歩しています。
 
 詳しくは、「BTJジャーナル」08年4月号P.5-9の記事をご覧ください。
 
 「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 
それでは最後に08年4月号(第28号)の目次を紹介します。
 
2 連載「大学は今」第4回
iPSの世界競争に打ち勝つ
山中伸弥・京大教授

5 特集リポート
光イメージング
近江谷克裕・北大教授
金城政孝・北大教授

10 海外現地リポート
米Anaheimトレードショー

15 連載「いいともバイオインフォマティスト」第2回
中尾光輝・かずさDNA研究所特別研究員

17 BTJアカデミック・ランキング

18 専門情報サイト「FoodScience」

20 連載「サイコムキャリアプロジェクト」第3回
相手をよく知るには?

24 連載「遺伝統計学へようこそ!」第14回
質的形質と量的形質

36 広告索引

 ぜひ「BTJジャーナル」をダウンロードして、お読みください。パソコンでご覧いただくと、リンク先の情報もすぐに入手できます。プリントアウトをお読みいただくなら、カラーをお勧めします。

 BTJジャーナルは、オープンアクセス時代に対応した新タイプのジャーナルです。研究や教育、日常生活にご活用いただければ幸いです。
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                            BTJ編集長 河田孝雄