今、北海道は、北海道洞爺湖サミット(G8サミット)が7月7日から9日まで開かれることである意味沸きたたっている。これに便乗する形でさまざまの催しが行なわれることになっている。様々の形で報道されているように地球環境、地球温暖化が主なる議題となっている。私は、これらの課題の専門家ではないが、北極や南極の氷が少なくなっていることや私の住んでいる札幌の冬の気温が高くなっていること
は良く分かっている。つまり、専門家の言葉とおり、温暖化は確実に進行しており、あらゆる手段を尽くしてこれをなんとかとどめようとするのがまっとうな考であることに異論を唱える方はないと思う。
 さて、このような中で北海道でG8サミットを開く状況にあるのかを考えてみたい。いろいろな視点から見て北海道で開くことに北海道民の一人として極めて喜ばしい。また、経済的・社会的効果が大きいことに異議を唱えるものではなく、大歓迎である。国の決定に心からお礼を述べたい。
 
 問題は、北海道がとっている施策に問題があるのだ。一番の問題は、北海道が生物生産に大きく依存していることを忘れていることである。この産業(農林畜産業といってもよい)の育成を大きく阻害しているのが組換え作物条例である。ISAAA(国際アグリ事業団)のレポートによれば、これまでの伝統的農法をバイオ農法(組換え作物の栽培)に変えるだけで自家用車約500万台相当の炭酸ガスを削減したことになる。全世界での組換え作物の作付面積は、114.3 (million ha)とされている。北海道の全耕地面積は、1.18(million ha)であるから、単純に計算すると約5万台相当になる。畑作だけでも数万台相当となる。このように直ぐにでも効果の出るものを条例という法律で、この行為を禁止しているところで地球環境、地球温暖化が主なる議題とG8サミットを開くことは、大きな疑問を感じる。
 
 科学的に安全性が証明されているものを感情論で組換え作物の栽培を原則禁止している北海道で、このような重要な会議を開くことは、恥ずかしいといわざるを得ない。即ち、僅かではあるが、組換え作物の栽培の禁止をやめることで、確実にしかも簡単に炭酸ガスの排出を減少できるのである。北海道は、G8サミットを開催するのだから、法をもって炭酸ガスの排出を減少禁止して、増加を促進していることと認めねばならない。まともな行政に帰るチャンスであることに違いない。僅かでも地球温暖化を防ぐことが叫ばれていることをまともに捉え、この根拠なき、稀代の悪条例である組換え作物禁止条例を撤廃することを世界に示すべきである。
 
 G8サミットに際して、北海道バイオ産業振興協会と日本バイオ情報普及協会の主催で多くの学協会の共催で、「バイオサミット : 地球環境を改善するアグリバイオ!!」を実施する。ここでは、世界の食糧、エネルギーの問題、特にわが国の食糧自給率が40%を切り、エネルギーに至ってはほとんど100%海外に依存していることをよく認識し、今後の日本そして生物生産が主要産業である北海道のあり方を論議することになっている。
 
 わが国、特に北海道の為政者には、是非とも参加して欲しいものである。一般の方々も現実をよく学ぶために参加して欲しいものである。
バイオサミットについては、NPO北海道バイオ産業振興協会(HOBIA)
TEL/FAX 011-706-1331
担当:西原由佳、冨田房男 
email:mail@hobia.jp にお問い合わせ下さい。
 
                     NPO北海道バイオ産業振興協会
                     会長 冨 田 房 男
 
============================================================================
新型インフルエンザと日本版FDAと臨床研究の倫理指針の話
============================================================================
 
 こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 
 今日はいろいろ書かなければならないことがあるのですが、まずは先週のメールで書いた新型インフルエンザワクチンをプレパンデミックワクチンとして事前接種するという話に対して、読者の方から「ワクチンの効果は、流行時にワクチン接種群と非接種群との間で実際に比較しない限り効果を客観的に判断出来ないのだから、希望者に臨床研究として接種するのは許されるとしても、その後の接種対象を1000万人に拡大することについては全く意味のないことと思う」という趣旨のご意見をいただきました。
 
 ご意見はもっともで、新型インフルエンザが流行していない現段階で、新型ワクチンが本当に感染防御に有効かどうかを調べることはできません。ただ、一方で、先週も書きましたが、新型インフルエンザワクチンは非常に強い局所反応が現れていることが報告されています。そのため、むしろ、安全性の検証という意味で大規模に臨床研究を実施することは重要だと思います。
 
 実は、先週のメールを書いた後、日本感染症学会で新型インフルエンザを巡る議論を取材してきました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/2162/ 
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/2207/ 
 
 新型インフルエンザワクチンの事前接種については、国立感染症研究所ウイルス第3部の田代眞人部長も、「6000人への接種はあくまでも臨床研究であって、政策的に医療関係者などに免疫を付けることを意図したものではない」と説明。1000万人への接種については、「6000人の臨床研究のデータを見た上で議論すること」と話していました。
 
 いずれにせよ、新型インフルエンザワクチンが副反応を伴う一方で、その感染防御効果が不明確である以上、プレパンデミックとして接種する場合には、よほどきちんとインフォームドコンセントを行わなければ、再びワクチンのイメージダウンを招く事態にもなりかねません。「世界初の事前接種へ」と大きく報じられるのを見て、ワクチンへの期待が過剰にならなければいいと、少し気になっている次第です(新型インフルエンザワクチンについては、実際にパンデミックが起こった時に、流行株に基づくワクチンをいかにスピーディーに供給していけるかが最も重要な課題なのでしょう)。
 
 今週はライフサイエンス・サミットが開催されました。まだ記事を書いていないので、少し触れるだけにしておきますが、科学技術振興機構の井村裕夫主席フェローが、「医薬品庁を設置して、日本版FDAの実現を目指すべき」と提言していたのが1つの大きなポイントだったと思います。この提案が政策にどう反映されていくかはこれから見守る必要がありますが、実は今、医薬品医療機器総合機構の改革については、いろいろなところからいろいろな意見が聞こえてきます。さまざまな立場の人がさまざまな観点から意見を言うのは非常に重要なことですが、実際に改革を進める人たちの方向性が定まっていないと、PMDAを振り回すだけで、肝心の審査や安全対策などの業務が滞るような事態を招きかねません。従って、改革に向けた議論を重ねる一方で、改革のリーダーシップを明確にするべき段階ではないかと思う次第です。
 
 最後にもう1つ。今日は臨床研究の倫理指針に関する専門委員会を傍聴してきました。7月30日までに指針を改定しなければならないのですが、臨床試験の補償に関して議論が紛糾し、期日までの指針の改定に黄色信号が点った印象を受けました。
 
 詳細は後ほど日経バイオテク・オンラインに記事をアップしておくのでそちらでお読みいただきたいですが、臨床研究に伴い被験者に生じた健康被害に対して補償の責務を明記することに対して委員の間から異論が噴出。「補償を義務化すると、臨床研究はストップする」との懸念を多くの委員が示していました。
 
 厚生労働省としては、治験を対象とするのと同様に、臨床研究を対象とする損害保険を保険会社などに作ってもらいたい意向のようですが、それが不確定なまま指針を作ってしまうと、確かに、臨床研究が萎縮する事態を招きそうです。被験者の保護は最優先されるべきですが、そのために臨床研究ができなくなる制度にしては意味がありません。この議論の行方も注目されるところです。
 
 締め切りの時間が迫り、ちょっと言葉足らずの部分があるかもしれません。今回書いたテーマはいずれも重要なので、今後も折に触れて取り上げていきます。ぜひ皆様からもご意見をお寄せください。
 
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
 
============================================================================
糖鎖オールジャパンを特集、
BTJジャーナル08年3月号を発行・公開しました。
オールジャパン体制の構築に取り組んでいる理研の谷口直之・グループディレクターらと、AISTの成松久センター長らに話をうかがいました。
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp 
============================================================================
 
 日本有数のバイオテクノロジー研究機関である理化学研究所と産業技術総合研究所(AIST)が共に、ここ半年で新たな組織を立ち上げた「糖鎖科学・糖鎖生物学」の特集記事を、BTJジャーナル08年3月号で5ページにわたり掲載しました。
 
 「米国は政策的な動きが非常に早い」と、この3月中旬に米NIHで開かれた糖鎖の会議にも参加した谷口直之・大阪大学微生物病研究所寄附研究部門教授は語ります。谷口教授は昨年10月、理化学研究所フロンティア研究システムにシステム糖鎖生物学研究グループを立ち上げ、糖鎖の技術をいろいろな分野に提供していく仕組み作りにも注力なさっています。
 
 「大学の先生は産業化をあまり意識していない。アカデミアの取り組みのもう一方の極として、産業中心のGLIT(糖鎖産業技術フォーラム)を立ち上げた」と、この3月中旬に米NIHで開かれた糖鎖の会議にも参加した成松久・AIST(産業技術総合研究所)糖鎖医工学研究センター・センター長は語ります。08年1月23日につくばで開かれたGLIT設立シンポジウムには、100社以上から210人が参加しました。さらに成松センター長らは、日本糖鎖科学統合データベースの構築も進めており、産業界とアカデミアの橋渡しにも積極的に取り組んでいます。
 
 詳しくは、「BTJジャーナル」08年3月号P.4-8の記事をご覧ください。
 
 「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 
「BTJジャーナル」08年3月号(第27号)の目次を紹介します。
 
2 連載「大学は今」第3回
進化迫られるテニュアトラック制

4 特集リポート
糖鎖オールジャパン体制
谷口直之・阪大教授・理研GD
成松久・産総研センター長

9 BTJアカデミック・ランキング

10 専門情報サイト「FoodScience」

11 社告 日経BP技術賞

12 連載「サイコムキャリアプロジェクト」第2回
自分を「見える化」

16 連載「遺伝統計学へようこそ!」第13回
関連性を評価する方法

20 広告索引

 BTJジャーナルは、オープンアクセス時代に対応した新タイプのジャーナルです。研究や教育、日常生活にご活用いただければ幸いです。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 
                            BTJ編集長 河田孝雄