皆さん、ご覧になりましたか?
 
 ハードディスクVTRの助けを借り、現在、ヨーロッパで開催中のUEFAチャンピョンズリーグの準決勝をようやく見ました。ケーブルTVに変えてから、フジテレビが放映する深夜の放送に頼らざるを得ず、まったく睡眠不足です。実は昼間の疲労でもろくもベットに沈没してしまったのですが、文明の利器のおかげです。
 今回のハイライトは間違いなく、マンチェスターユナイテッドVSローマの試合で、ローマのエース、トッティの欠場も響き、2対0でマンチェスターユナイテッドが勝利しました。この勢いなら、欧州クラブの最高峰となる可能性濃厚です。
 
 中でも、現在最も油が乗り、ドリブル、フェイント、シュートが切れまくっているポルトガル代表のクリスチャンロナウドのヘディングシュートは、今でも頭の中でリプレイされています。この一点で勝負は決まったと思います。勿論、英国人らしくゴール前での混戦で、最後に泥臭く蹴りこみ、敵の命脈を断ったルーニーも素晴らしい。この二人がエンジンとなって、きっと今回のカップはかつての工業都市、マンチェスターに凱旋するでしょう。
 
 TV画面の制約を今回のロナウドのシュートほど感じさせたものはありませんでした。実際、中継のアナウンサーも「どこから出てきたのか!!」と絶叫したほど。平凡なクロスに、画面の左端から飛びながら現れたロナウドが、懸命に阻止しようというローマのディフェンスを空中でなぎ倒し、そのままゴール。基本どおり、キーパーの足元にヘディングで叩きつけました。ロナウドはそのままピッチに倒れ込み、スタジアムは絶叫と歓声に包まれました。あのスピードで、正確にクロスボールの軌道を読み、跳躍、頭部でジャストヒットする身体能力は天才ならではです。
 きっと空中のボールの軌道を分解写真のように捉える認知能力に富んでいるのでしょうね。彼の小脳と視覚野を見てみたい、と思うのはマニアックすぎるかも知れません。
 
 さてバイオです。バイオでもロナウドのヘディングに相当するブロックバスターが姿を見せつつあります。
 
 第一三共が米Amgen社から昨年導入した抗RANKL抗体、denosumabがそのブロックバスター候補です。
 既に、欧米ではフェーズIIIに入っており、本日、BTJで骨粗しょう症の患者さんの骨量が増加したという臨床試験結果の一部を報道いたしました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/1862/ 
 
 閉経後の女性ホルモンの低下によって、骨吸収が促進され、骨粗しょう症が起こります。この疾患は老齢化する我が国にとって深刻な病気で、骨粗しょう症の結果、大腿骨頭の壊死や骨折が女性の老人に引き起こされ、そのまま寝たきりとなる不幸な経過をたどることが多いためです。
 
 骨粗しょう症の医薬品には、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、女性ホルモン受容体の作動薬、骨のコーティング剤などが開発されていますが、骨粗しょう症の疼痛除去や進行を抑止することは可能ですが、一度、減少した骨量を増加させ、骨自体を丈夫にする根本治療にはかなか届かないというのが現状でした。
 
 今後の臨床試験で、安全性と骨量増加の再確認が出来れば、円熟期を迎える地球上の女性のほぼ全員の福音となる可能性があると思います。つまり、達者なお婆さんを抗体医薬がたくさん誕生させることになるのです。介護などによる負担も減少させ、お婆さんの幸福も増進させるという訳です。
 
 勿論、医薬品ですから、副作用がないと言い切れるはずはなく、今後の慎重な臨床開発が必要ですし、市販後もきっちりと調査をしていただき、長期に有効性が保証されるのか? 副作用などは本当にないのか? を、検証しなくてはなりません。
 
 現在において唯一この薬に存在する副作用は医療経済への影響です。この医薬品は年2回注射するだけで効果が持続する画期的なバイオ医薬ですが、Amgen社は1回300万円以上の価格をつける予定であるといった噂も飛んでいます。現在の抗体医薬の1年薬価は1000万円から数百万円であり、また、denosumabの有効性や患者に与える恩恵を考慮しても、高薬価をつけたい希望は分かるのですが、我が国の保険医療制度がこの負担に耐えるためには、今から長期収載薬価の尚一層の引き下げや、国民医療費そのものを一時的に増加するなどの施策を打っておかなくてはなりません。
 
 現在の抗体医薬が治療を可能としたのはがん、中でも固形がん、リウマチなどの炎症、RSウイルスなどの感染症です。この領域の抗体医薬の実用化競争が起こっているのが現状です。denosumabは、骨のリモデリングを直接、破骨細胞と骨芽細胞のコミュニケーションに作用することによって、骨吸収に傾いていた骨粗しょう症患者を、骨形成に転ずる、つまり骨代謝のスウィッチを押す新しいメカニズムです。
 
 今後、抗体医薬の開発の標的に、こうした代謝や細胞分化の恒常性のスウィッチを握る分子が大きくクローズアップされて来るに違いありません。Denosumabの標的、RANKLのクローン化には日本の研究者の貢献も極めて大きかったことも忘れないでいただきたい。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/5554/ 
 
 先週の金曜日に日経BP技術賞の授賞式を開催しました。
 今回の大賞はヒトiPS細胞を開発した京都大学医学部山中伸弥研究室でした。心からお祝いを申し上げます。研究室で授賞したいという山中教授の志も反映できたと思います。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/1852/ 
 
 さて、京都は雨です。ブログで散り残る夜桜を京都で楽しみたいと書きましたが、世の中はそんなに甘くはなかった。ずぶ濡れになりそうです。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/ 
 今回のブログは読み応えありますので、是非とも上記のリンクよりアクセス願います。
 
 今週もお元気で。
 
               Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満
  
ps 
 大学、公的研究機関、政府の関係者に、月500円で日経バイオテクオンラインからえりすぐった基礎、大学、ポスドク問題、研究費など科学政策、政府動向、そして大学発ベンチャーの動向の記事を読み放題で提供いたします。学問も一つの穴に閉じこもっておればよい時代は過ぎました。皆さんの幸せと研究を発展させるために不可欠なニュース源にご登録願います。下記のサイトのワン・コインでニュースは全部読み放題です。是非お試し願います。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp?jreq=spnews&pg_nm=1 
 
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糖鎖オールジャパンを特集、
BTJジャーナル08年3月号を発行・公開しました。
AISTの成松久センター長らと理研の谷口直之・グループディレクターらに登場していただきました。
 
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp 
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 日本有数のバイオテクノロジー研究機関である理化学研究所と産業技術総合研究所(AIST)が共に、ここ半年であたらな組織を立ち上げた「糖鎖科学・糖鎖生物学」の特集記事を、BTJジャーナル08年3月号で5ページにわたり掲載しました。
 
 「大学の先生は産業化をあまり意識していない。アカデミアの取り組みのもう一方の極として、産業中心のGLIT(糖鎖産業技術フォーラム)を立ち上げた」と、この3月中旬に米NIHで開かれた糖鎖の会議にも参加した成松久・AIST(産業技術総合研究所)糖鎖医工学研究センター・センター長は語ります。08年1月23日につくばで開かれたGLIT設立シンポジウムには、100社以上から210人が参加しました。さらに成松センター長らは、日本糖鎖科学統合データベースの構築も進めており、産業界とアカデミアの橋渡しにも積極的に取り組んでいます。
 
 詳しくは、「BTJジャーナル」08年3月号P.4-8の記事をご覧ください。
 「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 
「BTJジャーナル」08年3月号(第27号)の目次を紹介します。
 
2 連載「大学は今」第3回
進化迫られるテニュアトラック制

4 特集リポート
糖鎖オールジャパン体制
谷口直之・阪大教授・理研GD 
成松久・産総研センター長

9 BTJアカデミック・ランキング

10 専門情報サイト「FoodScience」

11 社告 日経BP技術賞

12 連載「サイコムキャリアプロジェクト」第2回
自分を「見える化」

16 連載「遺伝統計学へようこそ!」第13回
関連性を評価する方法

20 広告索引

 BTJジャーナルは、オープンアクセス時代に対応した新タイプのジャーナルです。研究や教育、日常生活にご活用いただければ幸いです。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
                           BTJ編集長 河田孝雄