こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 学会の取材で京都に来ています。桜の花はほころび、長閑な陽気です。
 少し前に日経バイオテク・オンラインで報じましたが、4月から厚生労働省の高度医療評価制度がスタートします。これは、薬事法で承認を受けていない医薬品や医療機器を用いた医療技術について、先進医療の一類型として扱うために設けられた制度で、厚労省の高度医療評価会議で認められれば保険診療との併用ができるようになります。
 
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0453/ 
 薬事法に承認されていない医薬品や医療機器を用いた医療技術の混合診療は、かつて、高度先進医療という制度の下で行われていましたが、05年に手続きを簡素化した先進医療の制度が発足したことで状況が変わりました。先進医療では、「薬事法上、適応外や未承認の医薬品や医療機器を使った医療技術は先進医療として認めない」とされたためです。その後、06年には高度先進医療と先進医療が一本化され、薬事法未承認の医薬品や医療機器を用いながらも「高度先進医療」とされてきたものについては08年3月末までの時限的な扱いとされました。
 この結果、医薬品や医療機器が普及するためには薬事法の承認を受けなければならないことになったわけですが、薬事法の承認を受けるには、臨床試験などのコスト負担というリスクを取って製品開発を進める企業がいなければなりません。しかし、希な疾患を対象にした医薬品や医療機器では開発に成功しても投資を回収できるとは限らず、製品開発に取り組む企業が現れない可能性も十分あります。そうした場合、医薬品や医療機器は未承認のままということになります。その医薬品や医療機器を利用した治療を受けた場合に、普段受けている検査や投薬、入院料などを含めて、すべて患者の自己負担になってしまうのがこれまでの制度でした。
 さすがにそれは問題があるということに気がついたのか、4月から始まる高度医療評価制度の対象になれば、いわゆる混合診療が可能になります。また、3月末までの時限的な扱いだった高度先進医療も、「臨床的な使用確認試験」を行うという条件の下、先進医療の制度の中で事実上存続することになりました。
 この辺りは、今週月曜に開かれた「臨床的な使用確認試験」に関する検討会で報告されていたので、後ほど記事にして日経バイオテク・オンラインで報じておきます。ぜひそちらでご覧ください(「使用確認試験」か「高度医療評価制度」というキーワードで検索してください)。
 
 医薬品や医療機器の普及を図るためには薬事法という手続きを踏まえるのが大原則で、高度医療評価制度は「例外的な扱い」ということですが、1つ風穴が開いたことは確かです。ただ、問題はどのように運用されるかです。高度医療評価制度の募集は、4月にもスタートするということですが、現場に即した制度として運用されるかどうかを見守っていく必要がありそうです。
 
                      日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
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