こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 
 先週名古屋で開催された日本再生医療学会を取材してきました。残念なことに2日目は東京で別件があったので、初日のみの参加となり、山中伸弥教授の講演を聴くことはできませんでしたが、例年よりも参加者は多く、非常に活況を呈していました。初日の夜の懇親会は文字通り立錐の余地もないぐらいの盛況ぶりでした。ヒトiPS細胞(誘導多能性細胞、人工多能性細胞)が樹立され、iPS細胞研究に光が当たったことに加えて、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの自家培養皮膚の承認もあって、再生医療の実用化に再び注目が集まり始めたのだと思います。
 懇親会でお会いした方の中に、非常に懐かしいお顔がありました。名古屋記念病院という病院を経営する医療法人名古屋記念財団の太田和宏会長がその人です。実は今から20年ほど前、日経ヘルスケアという病院経営雑誌で駆け出しの記者をしていたときに、名古屋記念病院には何度も取材し、太田会長にもインタビューさせていただいたことをよく覚えています。太田会長も私の名前を覚えていていただいたようで、お渡しした名刺を指差して、何度もうなずいておられました。
 太田会長は透析医療の黎明期を拓かれた方で、新生会第一病院という透析専門病院を成功された後に、がん治療を中心とする名古屋記念病院を開設し、地域医療に取り組んでこられました。その名古屋記念病院のことを、先端の医療技術を導入しながら、地域に根ざした医療を実践しておられる病院として紹介させていただいたと記憶しています。懇親会でお会いした際には、名古屋記念病院では、公的病院でさえ手薄になっている小児の救急医療に積極的に取り組んできたこと、そうした不採算医療に取り組んだ結果、長年赤字を続けてきたが、今回の診療報酬改定でようやく黒字になる見通しであるとのことでした。医療の分野でフロンティアを開拓して成功されてきた方に20年ぶりにお会いできたのは、これからの再生医療の行く先を何か示唆しているのかとも感じました。
 その一方で、数年前ならたくさん参加されていたベンチャーキャピタルなどの金融関係者の姿はほとんど見かけませんでした。あるいはたまたま顔を合わさなかっただけかもしれませんが、逆に大手化学メーカーの幹部などの姿をお見かけしただけに、これからがビジネスチャンスと見て再生医療学会に乗り込んできた事業会社と、金融関係者のセンスの違いを感じました。そういえば、日経バイオテク・オンラインのニュースでも、最近、日本のバイオベンチャーと製薬企業との提携を報じる機会が増えてきました。日本のバイオベンチャーのポテンシャルを製薬企業がようやく認め始めた表れなのか、投資が冷え込んだ結果、弱気になったバイオベンチャー経営者が多少不利な条件でも契約するようになっただけなのかは分かりませんが、投資が冷え込む中で、提携例が増えていることはバイオベンチャーにとって朗報には違いありません。
 再生医療学会の話題は既に幾つか日経バイオテク・オンラインで紹介しましたが、まだ少し追加する予定です。ぜひ日経バイオテク・オンラインでお読みください。
 
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
 ご意見があれば以下のフォームからお願いします。いただいたご意見を次回以降のBTJメールの中で、匿名で紹介させていただく可能性があることをご了解ください(紹介されたくない場合はその旨を明記しておいてください)。
 
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html
 
============================================================================
「末は博士か大臣か」から
全入時代に突入した、大学の博士課程
BTJジャーナルの連載「大学は今」第2回は
博士の経済支援制度
7大学の制度比較一覧表を参考に
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
「BTJアカデミック」はこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
============================================================================
 「末は博士か大臣か」が、子供の将来の理想像とされた時代がかつての日本にあったかと思いますが、現代の日本の大学の博士課程は、学生確保のための競争がヒートアップしています。
 博士課程が全入時代を迎えた現在では、行き先さえ特にこだわることがなければ、学生側が選んで博士課程の行き先を決めるという状況になっています。
 バイオ研究者のキャリアアップ/スキルアップにお役立ていただきたい月刊のPDFマガジン「BTJジャーナル」では、「大学は今」連載の第2回で、「急増する博士の経済支援制度」と取り上げました。
 東京農工大学、北陸先端科学技術大学院大学、横浜国立大学、室蘭工業大学、東京大学、東京工業大学、北海道大学の7大学法人の制度を紹介しています。
 ぜひBTJジャーナル2008年2月号のP.2-3の記事をご覧ください。
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
「BTJジャーナル」08年2月号(第26号)の目次を紹介します。
2 連載「大学は今」第2回
激化する博士の経済支援競争

4 リーダー・インタビュー
国際ヒト常在菌ゲノムコンソーシアム
服部正平・東京大学教授

6 特集リポート
進化するDNAチップ
ChIP-chipをヒト全ゲノムに初応用
白髭克彦・東京工業大学教授

10 リポート
文科省ターゲットタンパク初シンポ

11 新連載「いいともバイオインフォマティスト」第1回
 黒川顕・NAIST准教授

13 新サービス「BTJアカデミック」開始
14 専門情報サイト「FoodScience」

15 連載「サイコムキャリアプロジェクト」第1回 若手理系人に必要なのは論理力を汎用化すること
19 連載「遺伝統計学へようこそ!」第12回 家系情報がない集団を対象に「ありふれた」疾患の研究
 BTJジャーナルは、オープンアクセスに対応した新タイプのジャーナルです。研究や教育、日常生活にご活用いただければ幸いです。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
                         BTJ編集長 河田 孝雄