毎週金曜日のメールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田です。
 
 今日は午後から、大妻女子大学(東京・千代田)で開かれている第3回ギャバ・シンポジウム「ギャバの効用と戦略を考える」(大妻学院創立100周年記念シンポ、主催:日本茶普及協会)の会場に居ります。
 さきほどまでNARO食品機能性研究センター長の津志田藤二郎さんが「GABA含有食品の開発と展望」と題した講演をなさっていました。
 
 津志田さんのご講演は昨日、虎ノ門パストラルでも拝聴しまして、本日BTJのニュース記事を投稿しました。
 
■BTJ記事
総コレステロールではなくLDLが基準、
4月のメタボ健診開始で「コレステ対策トクホもバージョンアップが必要」と津志田NAROセンター長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0537/
 
 GABAの食品としての機能性研究は1987年、当時の農林水産省野菜・茶業試験場がGABAを増加させた茶を開発したのが最初でして、津志田さんの数多くの研究業績の1つです。

 ただいま第3回ギャバ・シンポジウムでは、野菜茶業研究所で津志田さんの後をついで研究なさっている澤井祐典さんが「茶生葉におけるGABAの増加」と題した講演中です。

■ここ1年のBTJのGABA関連記事
苦節42年、農水省が育種開発した茶品種べにふうきを使った茶飲料、
アサヒ飲料が全国発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9947/

University of Massachusett、
統合失調症の発症原因を示す研究結果を発表、
GAD1遺伝子のオンオフが問題
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7687/

写真追加、長瀬産業、生薬発酵研、徳島大COE、
ストレス睡眠問題を改善する発酵人参を12月商品化、
発酵で腸内細菌の個人差問題を改善
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7353/

ファーマフーズ、07年7月期決算は赤字転落、
今期は海外事業と販管費圧縮で好転へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7014/

Neurologix社、
パーキンソン病遺伝子治療のフェーズI結果を論文発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/4987/

マルコメ、
ACE阻害ペプチド高含有の高血圧対策味噌を近く商品化、
カルピスと共同開発
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/3600/

都市エリア十勝、
ルチン1.7倍、アントシアニン37倍のダッタンソバ品種を6月出願、
スプラウト商品を販売へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/3403/

農芸化学会、カルピスとマルコメ、
味噌の麹菌でカゼインからLTP生成、
LTP含有味噌の降圧効果を確認
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/2937/

農芸化学会2007年度大会、抗ストレス効果のGABAに
抗疲労効果を新たに確認
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/2894/

続報、メルシャン、
リスベラトロール3倍とGABA8倍のワインを新発売、
ポリフェノール2倍に続く
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/2188/

 上の10本の記事を見ても、GABAがいかに面白い存在であるか、わかるかと思います。

 第3回ギャバ・シンポジウムでは、横越英彦・静岡県立大学食品栄養科学部教授が「GABAの脳・神経系におよぼす影響について」と題して講演なさいまして、静岡新聞社が07年11月に発行した静新新書「ストレスとGABA」(著者:横越英彦さん)の巻末には、GABAを含む食品・サプリメントが16商品ほど紹介されています。

 この著書は、横越さんが代表をつとめているGABAストレス研究センターが協力して完成したのことです。

■BTJの関連記事
GABAストレス研究センター、
GABA100mg摂取が満員電車のストレスを半減、
株主総会、上司叱責、ジェットコースター並みのストレスに抑制
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/0201/

GABAストレス研究センター、
11月1日に設立、グリコ、コカ・コーラ、
ファーマフーズ、ファンケル、ロートが協賛
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/0198/

 同じく午前中には、柳川右千夫・群馬大学大学院医学系研究科教授が、「遺伝子改変マウスを利用してGABAの機能を探る」と題して講演なしました。柳川さんは、GABAの生合成に関与するグルタミン酸脱炭酸酵素GAD(GAD65とGAD67の2型が存在)と、細胞質からシナプス小胞へのGABAの輸送・蓄積に関与する小胞型GABAトランスポーター(VGAT)の合わせて3つの分子について、完全型ノックアウトマウスを作製して、脳におけるGABAの役割を解明する研究の成果を発表した。GAD67とVGATについては、条件付きノックアウトマウスの作製にも取り組んでいるという。

 さらにはGABAニューロン固有の性質について解析を容易にするため、GABAニューロンを蛍光分子で標的した遺伝子改変マウス(GAD67-GFPノックインマウス)も作製なさっているという紹介も、要旨にはお書きになってます。

 このように分子レベルのメカニズム解明の研究は急速に発展しているようです。

 来週火曜日(2月19日)には文科省ゲノムネットワークプロジェクトの成果発表会がお台場であります。このゲノムネットワークの成果の代表例といえる、東工大の白髭克彦教授らの成果が先月、Nature誌に発表になりました。

■ゲノムネットワークの関連記事
コヒーシンがインシュレーターの構築に必要、白髭克彦・東工大教授らが文科省
ゲノムネットワークの成果をNature誌に発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0015/

文科省ゲノムネットワークプロの後半スタート、
06年度終了課題の大半継続、
酵母ツーハイブリッドは日立の研究開発本部が実施
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/3274/

たんぱく質間相互作用の可視化が容易に、
インタラクトーム統合解析プラットフォーム「eXpanda」を
慶大が開発
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/2471/

第3回ゲノムネットワークプロ公開シンポに400人が参加、
藤木完治・文科省大臣官房審議官が「全力支援を約束」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/2211/

 先週紹介したゲノム4領域や上記のゲノムネットワークの主たる研究グループは、実に大量のデータを算出しているわけですが、およそ年7000万円とか1億円、あるいはそれ以上の研究費をプロジェクトで確保なさっているようです。

 一連のオーミクスの中でも、最もデータの質が高いゲノム塩基配列の解読速度の向上には目覚しいものがあります。

 1月末のProNAS論文では、1500配列長(塩基数)で、1時間に1000億塩基を解析できるという画期的なシーケンス法が紹介されていて、早ければ2010年にも登場するようです。

■PubMed論文より
Selective aluminum passivation for targeted immobilization of single DNA polymerase molecules in zero-mode waveguide nanostructures.Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Jan 29;105(4):1176-81. Epub 2008 Jan 23.

 まだ製品化時点のスペックというのはうかがい知れないようですが、2月8日に米Helicos BioSciences社が初受注を発表した「Helicos」遺伝子分析システムに比べても、ケタ違いのパワーのようです。

■BTJのシーケンサー関連記事
海外重要発表、Helicos BioSciences社、
独自に開発した次世代高速シーケンサーを初受注
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0500/

広辞苑換算で150冊以上の塩基を1日で解読できる、
米Helicos社の次世代DNAシーケンサーのフローセル展示(その2)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9294/
  
広辞苑換算で150冊以上の塩基を1日で解読できる、
米Helicos社の次世代DNAシーケンサーのフローセル展示(その1)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9293/

 Heliscopeや上の論文の成果を踏まえたPacBioの登場により、さらにゲノムデータの生産量は飛躍的に増えます。

 そろそろメール原稿の締め切り時間が迫ってきましたが、これらオーミクス研究の成果を、健康増進にいかに結び付けるか、重点的に取材してまいりたいと考えております。

 とにかく絶対的なエンドポイントとして、日本国民は世界で最も長寿の部類に入る、という輝かしい実績があるわけです。

 最初の津志田さんのご講演の記事でも紹介しましたが、日本発の栄養疫学のエビデンスは、Circulation誌にたびたび掲載されるように世界から注目されているのです。

■BTJ記事からの抜粋
総コレステロールではなくLDLが基準、
4月のメタボ健診開始で「コレステ対策トクホもバージョンアップが必要」と
津志田NAROセンター長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0537/

・大豆イソフラボンが日本人女性の脳梗塞および心筋梗塞リスク低減に有効
(Circulation. 2007 Nov 27;116(22):2553-62.)
・魚およびn-3PUFA摂取が冠状動脈疾患のリスクを低減」
(Circulation. 2006 Jan 17;113(2):195-202.)

 これに伴うさまざまなジャパニーズパラドックスの解明に、オーミクス研究も
寄与するはずです。

 BTJジャーナルでは08年1月号でメタボロームと活用したバイオマーカーの成果を掲載しましたが、2月25日に発行・公開するBTJジャーナル08年2月号では、オーミクス時代にますます重要性が増しているバイオインフォマティクスの記事も掲載する予定です。お楽しみに。

「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/

 最後に、先月末に発行・公開した「BTJジャーナル」08年1月号(第25号)の目次を紹介します。

2 新連載「大学は今」
阪大が海外企業と初の包括提携
メタボロームで有力マーカー続々

5 リーダー・インタビュー
統合バイオリファイナリー
センターで外部資金獲得へ
 近藤昭彦・神戸大学教授

7 特集リポート
ノーベル賞PCRに新世代
酵素の進化など革新続く
 石野良純・九州大学教授

12 学会コレクション
第4回日本学術振興会賞

13 専門情報サイト「FoodScience」

14 連載「遺伝統計学へようこそ!」
第11回 遺伝継承法則を用いた解析

 BTJジャーナルは、次のサイトでPDFファイルをダウンロードしていただくと(無料)、ご覧いただけます。オープンアクセスに対応した新タイプのジャーナルですので、ぜひお楽しみください。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
                         BTJ編集長 河田 孝雄