こんにちは。水曜日を担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 今日は朝から取材や打ち合わせで1日中ばたばたとしていました。その中で、一番大きなニュースはなんと言っても表題に取り上げた富士フイルムホールディングスによる富山化学工業の買収でしょう。
 富士フイルムは、医療用画像診断装置の大手メーカーであり、06年に放射線医薬品メーカーの第一ラジオアイソトープ研究所を買収したり、米国で創薬ベンチャーを経営するなどしていたことから、製薬企業の買収によって、医療・医薬分野でのプレゼンスをさらに高めようという思惑があったのは理解できます。
 一方の富山化学は、02年に大正製薬と提携し、資本参加を受けるとともに、両社の販売会社を統合し、富山化学自体は実質的に研究開発型の創薬ベンチャーとして生き残りを図ってきました。2000年に、当時主力だった脳循環代謝改善剤の販売を中止し、業績が悪化したことによる苦肉の生き残り策でしたが、昨年、キノロン系経口合成抗菌薬「ジェニナック」の発売にこぎつけたほか、パイプラインには新型インフルエンザ治療薬やアルツハイマー病治療薬、抗リウマチ薬などのユニークな薬剤が幾つかあり、一時の危機的な状況は脱したと見ていました。それだけに、今回の決断の背景には何があったのかが気になります。
 買収の内容は、富士フイルムが66%を保有する筆頭株主となるとともに、02年に富山化学と提携して、株式の20%を取得していた大正製薬もその出資比率を34%に引き上げるというもので、スキームは少し複雑ですが、富山化学が上場の維持を断念し、富士フイルムグループの一員となったのは確かです。ただその一方で、大正製薬の出資比率を、株主総会における重要決議事項に拒否権を発動できる34%としたのは絶妙で、傘下入りはするけれど、抵抗する方法も残した辺りに富山化学の経営陣の思惑が隠されているように思います。合併に至った理由や3社それぞれの思惑などは、本日午後に開催された説明会で恐らく質問があったことでしょう。説明会を取材した河野記者の日経バイオテク・オンラインでの報告をお待ちください。
 今日はこのほかに実は書きたいことがあったのですが、取材や打ち合わせで飛び回っているうちにほとんど時間がなくなってしまいました。ちなみに先ほどまでメディビックグループの決算説明会を取材していたのですが、富士フイルムと富山化学の会見などが重なったせいで説明会の参加者は少なく、橋本社長が説明会の「冒頭で「コンペティティブの中で来ていただいた甲斐があるようにしたい」と話していたのには思わず笑ってしまいました。メディビックグループの将来展開について、どんな話があったのかについては後ほど日経バイオテク・オンラインに投稿しておきますが、正直なところ、少し迫力に欠ける印象を受けました。
 
 とりあえず、このあたりで今日のメールは失礼します。
 
                      日経バイオテク編集長 橋本宗明 
 
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創刊2周年の「BTJジャーナル」
新連載「大学は今」を開始
08年1月号は「阪大病院の包括提携」を掲載
08年2月号は「激化する博士の経済支援競争」を掲載予定
「BTJジャーナル」は全文を無料でご覧いただけます。
ダウンロードはこちらから→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
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 創刊2周年を迎えた「BTJジャーナル」は、新連載「大学は今」を08年1月号から開始しました。

 先月末に公開した08年1月号に掲載しているのは、阪大病院の取り組み。カナダのメタボロミクス企業と包括提携している取り組みを紹介しています。
■BTJ関連記事
続報、阪大がメタボロミクスの
カナダPhenomenome社と共同研究で包括提携、
既に結腸直腸がんとアルツハイマー病で
バイオマーカーのヒト検証成果
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9682/
 
阪大医学部武田教授、
アルツハイマー病の論理的バイオマーカーをカナダPDI社と論文発表、
化合物の臨床評価に活用
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9826/
  
結腸直腸がんで欠乏するビタミンE関連6化合物、
カナダPDI社と包括提携する阪大病院が、
08年4月から大阪がん検診センターと臨床研究を開始へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9813/
 BTJジャーナルの記事は写真図版を含め全文をご覧いただけます。ぜひご活用ください。
 新連載「大学は今」の第2回は、2月25日に公開・発行する08年2月号にて、博士を経済支援して院生確保に走る大学競争、の記事を、掲載する予定です。各大学の取り組みの一覧表も掲載しますので、お楽しみに。
■BTJ関連記事
激化する博士の経済支援競争、
身を削り、院生確保に走る大学
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9893/
 
 文部科学省の若手研究者自立促進プログラムにおける各大学の取り組みも、追って、連載「大学は今」に掲載します。
 
■BTJ関連記事
文科省の若手研究者自立促進プログラムに朗報、
「エフォート上限20%は撤廃する」と1月29日のシンポで文科省課長が明言
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0322/
 
 BTJジャーナルの記事はダウンロード(無料)していただくと全文をご覧いただけます。
 ぜひお楽しみください。
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※創刊2周年にあたる08年1月号(第25号)の目次を以下の通りです。
2 新連載「大学は今」
阪大が海外企業と初の包括提携
メタボロームで有力マーカー続々

5 リーダー・インタビュー
統合バイオリファイナリー
センターで外部資金獲得へ
 近藤昭彦・神戸大学教授

7 特集リポート
ノーベル賞PCRに新世代
酵素の進化など革新続く
 石野良純・九州大学教授

12 学会コレクション
第4回日本学術振興会賞

13 専門情報サイト「FoodScience」

14 連載「遺伝統計学へようこそ!」
第11回 遺伝継承法則を用いた解析

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                         BTJ編集長 河田 孝雄