毎週金曜日のメールで編集部原稿を担当しておりますBTJ編集長の河田です。
 今週は、古紙偽造のニュースに驚きました。石巻工場を現場取材したこともあり、米子工場のキシラナーゼ漂白の記事をまとめたこともあります。
 「品質を考慮して」という弁明コメントもあったようですが、「エコマーク」や「古紙配合」といった表示も、立派な“品質”の1つではないでしょうか。
 
 さてバイオの取材では昨日、九州大学大学院農学研究院の石野良純教授に、DNAポリメラーゼなど、生体内のDNA代謝に関与する酵素の話をうかがいました。
「DNAポリメラーゼは、遺伝子工学酵素の花形選手」
「DNAポリメラーゼは遺伝子工学試薬として間違いなく大横綱」
「世は耐熱性DNAポリメラーゼの時代」
「生体内のDNAの代謝であるDNAの3R(複製、修復、組換え)は、分子生物学の中心的なテーマであり続けてきた」
「基礎研究と応用研究はそれぞれにお互いに依存し合いながら、この20年の間に急速に進展してきた」
と、石野教授グループは総説などにお書きになってますが、まさに取材する側としても、バイオ研究の醍醐味を感じました。
 
 DNAポリメラーゼは、塩基配列をもとにした推定アミノ酸配列データの類似性から、ファミリーA、B、C、D、E、X、Yの7つのグループに分けられていて、ジデオキシ法によるシーケンシングに用いられている酵素はもっぱらファミリーAの酵素で、PCRに用いられているのは、伸長性や増幅効率に優れたファミリーA酵素と、正確性に優れたファミリーBの酵素です。
 
 PCR反応をより長く、より正確というLA-PCRは、ファミリーAとBを混合して使用しているとのことです。
 
 今話題の「次世代シーケンサー」も、それぞれ塩基配列解析に用いている酵素反応に着目すると、エレガントとはいえないようです。「メーカーの説明を聞いても十分わからない部分もあるが、かなりハード・装置に依存しているでは」と石野さんはおっしゃいます。
 
 来週金曜日(1月25日)に発行・公開する「BTJジャーナル」08年1月号にて、DNAポリメラーゼやPCR関連のホットな話題を提供させていただきます。
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 
 今週のBTJの記事では、大阪大学が初めて、海外企業と共同研究の包括提携を結んだという話題もぜひご覧ください。
 
■BTJ記事
続報、阪大がメタボロミクスのカナダPhenomenome社と共同研究で包括提携、
既に結腸直腸がんとアルツハイマー病で
バイオマーカーのヒト検証成果
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9682/

 カナダPhenomenome Discoveries Inc.社は、フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析計(FT-ICRMS)などを整備してメタボロミクス解析の受託とバイオマーカーの開発を行っている企業で、近く、日本法人を設立する計画を進めてます。

 大阪大学病院が、このカナダPhenomenome Discoveries Inc.社(関連記事1、関連記事2)と昨年5月、共同研究の包括契約を締結しました。Phenomenome社が先に見いだしたバイオマーカーについて、臨床のエビデンスを日本で検証するという戦略を取っているため、既に臨床の成果がかなり蓄積してきています。

 詳しい内容はBTJウェブ・ニュースにて報道するとともに、阪大の取り組みは、BTJジャーナル08年1月号に掲載する予定です。

 阪大は先に国内企業と8件・9社(三菱重工、松下電器、三洋電機、富士通研究所、NTT・NTT西日本、日立製作所、富国生命保険、情報通信研究機構)の全学包括提携をしているほか、工学研究科が3社(小松製作所、ダイキン工業、シチズン時計)と包括提携しています。

 このように阪大は包括提携の実績を多数持っていますが、海外企業との包括提携は、Phenomenome社が初めて。阪大医学部・阪大病院が、特定の企業と共同研究の包括提携を結んだのもPhenomenome社が初めてとのことです。

 1月25日に発行・公開を予定しているBTJジャーナル08年1月号では、記事全文をご覧いただけますので、ぜひお楽しみにしていてください。

 最後に、先月末に発行・公開の「BTJジャーナル」07年12月号(第24号)の目次を紹介します。

2 短期連載「法人化から3年」
国立大学法人の中間評価と
インパクトファクター・被引用数

4 インタビュー
環境対策バイオプロセス
清水昌・京都大学教授
横関健三・味の素アミノサイエンス研究所理事

7 リポート
次世代シーケンサー続々登場
バイオ研究に抜本的な大変革
 榊佳之・理研GSCセンター長
 林崎良英・理研主任研究員

12 連載「さきがけCloseUp」総集編
「さきがけライブ」07年末は実施せず

14 専門情報サイト「FoodScience」

15 連載「科学技術政策を論じよう」
 第4回 深刻化するポスドク問題

18 連載「遺伝統計学へようこそ!」
 第10回 遺伝統計学とゲノム研究

33 広告索引

 BTJジャーナルは、次のサイトでPDFファイルをダウンロードしていただくと(無料)、ご覧いただけます。オープンアクセスに対応した新タイプのジャーナルですので、ぜひお楽しみください。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/

                         BTJ編集長 河田 孝雄