水曜日のBTJメールを担当する日経バイオテク編集長の橋本宗明です。
 昨日は、バイオインダストリー協会をはじめとするバイオ関連団体合同の賀詞交換会に出席してきました。甘利明経済産業大臣や尾身幸次ライフサイエンス推進議員連盟会長ら、多数の政治家も顔を出し、いつもながら華やかな会でした。
 ただ、少し気になったのは、例年に比べて製薬企業や厚生労働省の関係者の姿が少し少なかったことです。バイオ産業の育成には、省庁の壁を越えた取り組みが不可欠です。07年には経産省、厚労省、文部科学省が連携して革新的医薬品・医療機器創出のための5か年計画をまとめるなど、バイオ分野での省庁連携は、昨年まではうまく進んでいたと思います。昨日の賀詞交換会に製薬企業や厚労省の方の姿が少なかったのは偶然なのかもしれませんが、省庁縦割りがぶり返したような印象を受けたのは私だけでしょうか。バイオ産業振興のために3省が連携し、協調し合うという枠組みは損なわないようにしてもらいたいものです。
 さて、賀詞交換会に参加された方たちといろいろ情報交換させていただく中で印象深かったのは、細胞の加工や処理に関連する機器・器具、試薬などを扱う事業を行っておられる方々が、iPS細胞研究の振興に非常に期待感を膨らませておられたことです。iPS細胞研究に対する予算措置は政治的に決まったもので、異なる分野の研究者から見れば、不公平に映るものかもしれません。また、特定の研究テーマに場当たり的に予算をばら撒いても、その分野を「育成」することにはなりません。1月11日付けのBTJメールで産業技術総合研究所年齢軸生命工学研究センターの倉地幸徳センター長が指摘されていたように、研究分野を育成するためには、ある程度の長い視点に立った「戦略」が必要でしょう。
 ただ、その一方で、適度な投資が行われなければ、種が芽を出すことすら不可能です。今回、iPS細胞の研究支援に巨額の予算配分が決まった経緯については検証が必要かもしれませんが、種が蒔かれ、育成する方針は決まったわけですから、研究にかかわる人たちには世界をリードするような成果を挙げることを期待します。また、機器・器具、試薬などを扱う企業の人たちには、単なる恵みの雨と喜ぶだけではなく、共同研究などに参加して、この分野の発展に寄与してもらいたいものです。
 ところで、少し宣伝をさせてもらいます。本年の「新春展望」の記事に少し書いたのですが、当編集部では今年、提携先を得て、英文による情報発信を開始することになりました。対象となるのは、国内のバイオベンチャー企業を紹介した書籍「バイオベンチャー大全2007-2008」です。この書籍の中で、有力ベンチャーとして取り上げた企業の情報を収録した英文のデータベースを、提携先のtransB社を通じてリリースする計画です。
 transB社によると、欧米の製薬企業やベンチャー、投資家には、日本のバイオベンチャーに対する興味はあるものの、英文で読める情報がほとんどないとのこと。実際にどの程度ニーズがあるのかはデータベースをリリースしてみなければ分かりませんが、我々の試みを通じて、日本のバイオベンチャーが製薬企業などと提携したり、海外の投資家からの資金調達を成功させたりしていただくことになれば幸いです。
 もう1つは、今、BTJのサイトの一番上に出ている「沖縄イノベーション創出事業」のバナー広告(スーパーバナーと称しています)について。沖縄で産学官協同研究を行い、新規事業の創出を目指す取り組みを沖縄県が助成するというもので、詳細はぜひバナー広告をクリックしてご覧いただきたいのですが、このバナーを出していただいた結果(だけではないとは思いますが)、各地で開催する説明会への参加者は、既に昨年の4倍近くに達しているとのことです。
 BTJのサイトは、バイオ関連の研究者、企業関係者にご利用いただいているので、研究者、企業関係者などに情報発信をしたい方は、ぜひ、このバナー広告などの利用をご検討ください。宣伝ばかりになってしまいました。失礼しました。
                     日経バイオテク編集長 橋本宗明
 
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インパクトファクターの定義をご存知ですか
インパクトファクターを、サイテーションインデックスと混同した記載が大学ウェブサイトに散見されるようです
昨年末公開・発行の「BTJジャーナル」07年12月号の「法人化から3年」の連載記事、「国立大学法人の中間評価とインパクトファクター・被引用数」をご覧ください。
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
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 2004年4月に法人化した国立大学は、08年6月に中期目標期間の実績評価を迎えるにあたり、客観的な指標データの準備を進めています。
 
 科学分野の研究業績では、トムソンサイエンティフィックが有償で提供している「インパクトファクター;IF」や「サイテーションインデックス;CI」が、重要な位置を占めています。
 
 このIFとCIを混同しているケースも少なからずあるようです。IFはジャーナルの客観的評価の指標で、一方CIは個々の論文の客観的評価の指標のもととなるもので、まったく異なるものです。
 IFは、ジャーナルの影響度を表す指標。たとえばジャーナルAの07年のIFは、「05年、06年にジャーナルAに掲載された論文が07年中に引用された回数」を、「05年、06年にジャーナルAが掲載した論文の数」で割った数値。
 いかにIFが高いジャーナルに掲載された論文でも、後に多く引用される論文はごく一部であることがわかっています。
 論文そのものの客観的評価としては、該当論文の被引用数が重要になります。このもとになるのがCIです。
 詳しくは、「BTJジャーナル」07年12月号P.2-3の記事に掲載しています。
 BTJジャーナルの記事はダウンロード(無料)していただくと全文をご覧いただけます。
 ぜひお楽しみください。
「BTJジャーナル」のダウンロードはこちらから
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
※最後に、07年12月号(24号)の目次を紹介します。
2 短期連載「法人化から3年」
国立大学法人の中間評価と
インパクトファクター・被引用数
4 インタビュー
環境対策バイオプロセス
清水昌・京都大学教授
横関健三・味の素アミノサイエンス研究所理事
7 リポート
次世代シーケンサー続々登場
バイオ研究に抜本的な大変革
 榊佳之・理研GSCセンター長
 林崎良英・理研主任研究員
12 連載「さきがけCloseUp」総集編
「さきがけライブ」07年末は実施せず
14 専門情報サイト「FoodScience」
15 連載「科学技術政策を論じよう」
 第4回 深刻化するポスドク問題
18 連載「遺伝統計学へようこそ!」
 第10回 遺伝統計学とゲノム研究
33 広告索引
 BTJジャーナルは、オープンアクセスに対応した新タイプのジャーナルです。研究や教育、日常生活にご活用いただければ幸いです。
→ http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
                         BTJ編集長 河田 孝雄