こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 GreenInnovationメールの第1週目は、バイオインダストリー協会先端技術・開発部の大島一史部長に担当いただいています。大島部長には、長くバイオプラスチックに関わって来られたご経験に基づき、最近のバイオプラスチックを巡る動向の解説や、普及に向けた提言などをいただきます。
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◆バイオプラスチック革命◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   -“バイオ樹脂”の定義について--
                  バイオインダストリー協会・大島一史部長
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 これまでこのメールマガジンでは、“バイオプラスチック”(BP)の“定義”についてはあえて触れずに、ナショナル・インベントリ・レポートでの扱い(5月)、既存樹脂のBP化動向(6月、7月)を紹介してきました。
 日本工業規格(JIS)によれば、プラスチックとはすなわち熱可塑性を意味し、熱可塑性高分子物質を示しています。とは言え、アカデミアの方の中にも熱硬化性樹脂でさえ、熱硬化性プラスチックと称される方がおられるほどで、いまやプラスチックという言葉は、高分子物質、樹脂やポリマーを意味するがごとく汎用的に使われています。その中で、BPは何となくバイオ(ロジカル)テクノロジーやプロセス、バイオマスに由来するイメージで捉えられ、使用されていますが(本稿でも意識してそうでした)、JISでもISOでも未だに定義されていません。この辺で海外を含めてこの種の用語がどう扱われているのか、概観しておきましょう。
 我が国では日本バイオプラスチック協会(JBPA)が、生分解性プラスチック(BdP)とバイオマスを原料とするプラスチック(いわゆる “バイオマス・プラスチック”)をバイオプラスチックとして括っており、欧州の業界団体も同じ扱いをしています。BdPについては、その生分解過程が“バイオ(ロジカル)プロセス”であることからBPとされている訳です。
 このとらえ方で見れば、ポリアクリルアミドもBPの範疇に入ると思われます。すなわち、アクリロニトリルの水和反応で得られるアクリルアミドをモノマーとするポリマーは、凝集剤・土壌改良材・紙力増強剤・接着剤・塗料樹脂として工業的に極めて重要で、存在感のある高分子材料です。従来アクリロニトリルの水和法には硫酸法(:硫酸への直接注入)や接触法(:水との直接接触;触媒:ラネー銅)がありましたが、近年は微生物を利用した酵素法が工業的にも採用されています。従ってこのタイプのポリアクリルアミドもバイオ(ロジカル)テクノロジーが駆使されて製造されたポリマーであることからBPであるとも言えましょう。しかしながらポリアクリルアミドをBPとして論じている方はおられないようです(不思議としか思えません)。
 いわゆるバイオマス・プラスチックは、バイオマスを原料(の一部)とするプラスチックとして扱われ、前述のJBPAではバイオマス由来の組成が25重量%以上であることを要件の一つとして“バイオプラ認証制度”を運営しています。一方、我が国では国産バイオマスを原料とするプラスチックの生産は工業的にはコスト上の難問を抱えていることもあって、バイオマスを既存樹脂と複合化して製品を開発する取り組みが盛んです。そこで、日本有機資源協会(JORA)はバイオマスを原料とした資材(化学品・化成品や樹脂等)およびバイオマスを含む資材や製品を対象とした“バイオマス・マーク認証制度”を運営しており、そこではバイオマス由来成分量に下限は設けられていません。方やバイオマス由来組成25%以上のバイオプラスチックがJBPAの“バイオプラ”として認証されて流通し、一方、バイオマスを含むプラスチックやその製品がJORAの“バイオマス・マーク”を付けて販売されています。
 海外でも、欧州ではVINCOTTE社(ベルギーの民間認証企業。生分解性およびコンポスト化性に関わる認証制度で著名)が2009年9月からバイオマス由来資材の認証制度を、また米国農務省は2011年1月から同種の認証制度を運用し始めました。前者では、資材あるいいは製品中の有機炭素が30重量%以上かつバイオ炭素が20重量%以上を要件とし、また後者は資材・製品のカテゴリー毎にバイオ炭素の下限量が定められています。共通しているのは共にプラスチック製品に留まらずにバイオマス由来の製品を対象として、炭素濃度表示でバイオ由来度合いを示すことと、その含量を4区分に分けていることに過ぎません。
 世界のどこでも通ずるシームレスな認証制度には遠い道程が・・・と思う次第です。