こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 GreenInnovationメールの第3週を執筆いただくのは、京都大学大学院農学研究科海洋微生物学分野の澤山茂樹教授です。澤山教授は藻類など、主に応用微生物学を専門としたバイオ燃料の研究をされています。今回は、バイオガスとメタン生成について考察いただきました。
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◆ニュースウォッチ◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「バイオガスとメタン生成」
        京都大学大学院農学研究科海洋環境微生物学分野・澤山茂樹教授
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 前回は、ディーゼルエンジンを積んだトラックやバスの燃料として、短期的には天然ガスがいいのではないでしょうかとのお話で終わりました。そう考えるようになったのは、「シェールガス田」の開発が進んでいるためです。ご存知のように新しいタイプのガス田で、従来は採削できなかったシェールガス田が、技術革新により実用化されたそうです。シェールガス田の開発により、天然ガスの採削可能量は大きく増えたため、軽油の代わりにCNG(圧縮天然ガス)でディーゼルエンジンを動かしてはどうか考えています。CNG車の課題はガスの充てんに時間がかかることです。素人考えで恐縮ですが、安全面に十分配慮しながら、ガスボンベを交換する方法も良いかもしれません。
 天然ガスに対応するバイオ燃料がバイオガスです。圧縮バイオガスだとCBGになります。バイオエタノールとは違って、天然ガスとバイオガスの燃料成分はまったく同じメタンであることは、利用の面から大きな利点です。バイオガスを生成する微生物反応がメタン発酵です。ここでも経済性の壁は高いのですが、比較的水分含量の多い、生ごみ、畜産排せつ物、下水汚泥などが原料バイオマスとなります。
 日経バイオテク・オンラインのニュースをチェックしようと、7月4日に本年について「バイオガス」というキーワードで検索したところ、3件の記事が出てきました(編集部注、デフォルトは過去3カ月の記事から検索するよう設定しています)。バイオガス化は古くから実用化されているのでブームにはなっていませんが、植物の肥料成分もリサイクルできる、重要な微生物の産業利用法だと思います。ちなみに、「メタン」で検索すると件数は増えましたが、以下の3件以外のバイオガス関連の記事は拾えませんでした。
2011-06-11 09:56:06
海洋研究開発機構、DHSリアクターで「ちきゅう」の八戸沖掘削コア試料からメタン生成菌を高効率培養・分離、海底下のバイオガス発生機構解明へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/9622/
2011-02-07 15:09:18
バイオエナジーがバイオガスから都市ガスを生産して導管に直接注入、東京ガスが受け入れ・買い取り
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6909/
2011-01-14 15:55:16
三井造船とタジリがメタン発酵の前処理装置を開発、ごみの収集体系を大きく変えずにメタン発酵の導入が可能
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/6185/
 従来バイオガスは、バイオガスプラント内のコージェネなどで利用するオンサイト利用がメインでしたが、東京ガスが受け入れるように、精製して都市ガスで使用するオフサイト利用の動きが出ています。日本では300カ所程度の下水処理場でメタン発酵が行われていますが、オフサイトで利用しているところは長岡京市と神戸市の2カ所くらいしかありません。主に硫化水素と二酸化炭素を除去するバイオガス精製コストが低下すると、都市ガスでの利用も増えてくるのではないかと期待しています。二酸化炭素をある程度含むバイオガスでも利用できるFF(可変燃料)型のCNG車があると、バイオガスの精製コストが低く抑えられるのではと考えています。
 ここで、高井研著「生命はなぜ生まれたのか-地球生物の起源の謎に迫る」、幻冬舎新書を簡単に紹介したいと思います。最古の持続的生命は、海底熱水活動域の水素をエネルギー源としたメタン生成やその他の水素エネルギー代謝能を持った生命ではないかとのお話を、興味深く読みました。キョン2から命名されたらしい「ウルトラエッチキューブリンケージ仮説」のネーミングなど、独特な文章のスタイルも著者のお人柄がうかがわれ、私には好ましいものでした。
 私はメタン発酵技術の研究に携わっていますが、海洋域におけるメタン生成について感心を持っています。海は硫酸塩の濃度が高く、嫌気的な条件における有機物の主な分解者は硫酸還元菌と考えられています。海底の熱水活動域では、メタン生成菌も盛んに活動しているようですが、沿岸域などではあまり活動していないと考えられています。特に沿岸域におけるメタン生成菌の活動を調べ、海洋域でのメタン生成菌の生態の一端に迫ることを目指し、科研費で「沿岸域におけるメタン生成に関する研究」をスタートさせて頂いています。