こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 GreenInnovationメールの第3週を執筆いただくのは、京都大学大学院農学研究科海洋微生物学分野の澤山茂樹教授です。澤山教授は藻類など、主に応用微生物学を専門としたバイオ燃料の研究をされています。
 ところで、このGreenInnovationメールの6月第5週(30日)ではこのGreenInnovationメールに対してお寄せいただいた皆様からのご意見を掲載したいと考えています。メールマガジンの内容に対するご意見でも、政府の政策などに対するご意見でも結構です。バイオマスやバイオプロセス、バイオ燃料、アグリバイオ、マリンバイオなどのいわゆる「グリーンバイオ」に関して、皆様からのご意見を掲載しますので、ぜひとも下の投稿フォームからご投稿願います(なお、お寄せいただいたご意見のうちの一部のみの紹介となる可能性もあることを事前にご了承ください)。

※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html

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◆「日経バイオテクオンライン」の関連記事◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━
        農業/環境分野のバイオテクノロジー記事
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Shell社とCosan社、サトウキビエタノール事業を行う合弁会社をブラジルに設立
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/9687/
Elevance Renewable Sciences社、Delta BioFuels社のミシシッピー州にある施設を買収
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Gevo社、商業スケールのバイオイソブタノール生産施設の改造開始、2012年前半に稼動
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Lignol社、カナダ特許が成立
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/9683/
KiOR社、Catchlight Energy社とバイオマス原料供給契約を締結
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/9633/
海洋研究開発機構、DHSリアクターで「ちきゅう」の八戸沖掘削コア試料からメタン生成菌を高効率培養・分離、海底下のバイオガス発生機構解明へ
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花王がエコテクノロジーリサーチセンターを開所、植物・バイオマス研究棟の温室は一般見学も
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/9598/
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◆ニュースウォッチ◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「世界最大のセルロース系エタノール工場と日本の課題」
        京都大学大学院農学研究科海洋環境微生物学分野・澤山茂樹教授
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 日経バイオテク・オンラインのニュースをチェックしようと、6月1日に「バイオエタノール」で検索したところ、27件の記事が出てきました(編集部注、過去3カ月の記事から検索するよう設定しています)。最初は見逃してしまいましたが、2ページ目もありました。念のため。気になる記事は幾つもあるのですが、どうしても以下のタイトル中の「世界最大」が目を引きます。
2011-04-14 12:40:01 「Mossi & Ghisolfi社、世界最大のセルロース系エタノール施設を建設へ、Novozymes社が酵素を供給」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/8365/
 記事によると、Mossi & Ghisolfi社は主に麦わらを原料にイタリア北西部に年産5万kLのバイオエタノール工場の建設に着手したとのこと。米国のトウモロコシ由来のバイオエタノール工場よりも小さいですが、日本の糖・デンプン由来のバイオエタノール工場年産1万kLよりも大きな工場です。規模が大きくなければ、製造コストは下がりません。年産5万kLのリグノセルロース系バイオエタノール工場は、1日当たり600tから700t程度の原料を使用することになると思います。イタリア北西部では、安価なバイオマスが大量に得やすいのでしょう。2010年の別冊日経サイエンスNo.171「エネルギー・水・食料危機」の中の「草から作るガソリン」では、米国のセルロース系バイオマスは、食料供給への影響なしに乾燥重量で年間13億t供給可能と試算されています。経済性にかなう生産規模という、国産バイオエタノールの課題が見えてきます。
 ところで、リグノセルロース系バイオエタノールの製造方法は、濃硫酸法など多くの方法が研究されていますが、この工場はどんな方法でエタノールを作るのでしょうか? どうやらNovozymes社が酵素を供給するようなので、いわゆる酵素法のようです。記事からは、「粉砕されてパルプ状となり、」と紹介されていますが、前処理の方法は詳しくは分かりません。メカノケミカル法、希硫酸法、アンモニア法、または水熱法でしょうか? セルラーゼ等の酵素を使う方法は、長い間本命と考えられてきた方法で、米国では巨額の研究開発資金が投入されてきました。肝心の酵素コストが高いことが、実用化の障壁と言われてきました。長年の研究開発の成果として、競争力のある糖化酵素剤「Cellic CTec2」が発売されたとの関連記事が以下の記事です。
2010-02-23 01:03:31 「Novozymes社、セルロース系エタノール「1L50円強」を実現する酵素を発売」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9099/
 記事によると、エタノール1L当たりの酵素コストを約9円程度と試算しているようです。記事からは、この経済性をオンサイト生産型ではない方法で実現するように読めます。Novozymes社の連携パートナー企業として、日本の企業の名前が挙がっていないのが残念です。堺市ではバイオエタノール関西社のプラントが稼働していますが、セルラーゼも発酵微生物もプラントエンジも国産で、セルロース系バイオエタノール生産実用プラントが建設される日を心待ちにしています。
 最後に、近い将来の乗用車のシステムについて触れてみたいと思います。2015年頃の登場を期待している、私の個人的に考えるベストな乗用車は、「可変燃料型プラグインハイブリッド」です。通常のプラグインハイブリッド(PHV)は、日本ではE3対応のガソリンエンジンを搭載していると思いますが、そのエンジンをガソリンとエタノールが任意の割合で使用できるFF (Flexible-Fuel)型に変更するだけです。ご存じのように、プラグインハイブリッドでなければ、FFVは既にブラジルや米国で販売されていますし、日本のメーカーも製造しています。メーカーの方にとっては大変でしょうから怒られるかもしれませんが、PHVをFF型に変更するのはそんなにコストも時間もかからないのではないかと、勝手に考えています。すいません。経済性の高いFF-PHVが販売されたら、E100を給エタノールしつつ、近場はなるべく電気で走行することを想定しています。ところで、バスやトラックなどのディーゼル車は、シェールガス田の開発が進んできているので、将来は圧縮天然ガス(CNG)車が有望でしょうか? 皆様のご意見もお聞かせください。