こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 GreenInnovationメールの第2週目は、バイオインダストリー協会つくば研究室の
小林良則室長に担当いただきます。今回は、関わっておられるNEDOのバイオエタノ
ール製造技術開発のプロジェクトの中から、バイオマスの糖化酵素の話題をご紹介
いただきます。ところで、先週もお願いしましたが、このGreenInnovationメールの
6月第5週(30日)ではこのGreenInnovationメールに対してお寄せいただいた
皆様からのご意見を掲載したいと思います。メールマガジンの内容に対するご意見
でも、政府の政策などに対するご意見でも結構です。バイオマスやバイオプロセス、
バイオ燃料、アグリバイオ、マリンバイオなどのいわゆる「グリーンバイオ」に関して、
皆様からのご意見を掲載しますので、ぜひとも下の投稿フォームからご投稿願い
ます(なお、お寄せいただいたご意見のうちの一部のみの紹介となる可能性も
あることを事前にご了承ください)。
 
※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html

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◆マイオピニオン◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  酵素活性測定法の標準化について
           バイオインダストリー協会つくば研究室・小林良則室長
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 我国の国民性からして標準化という思想はなかなか馴染めないところがあるよう
にも思います。私のようなアバウトな性格ですと企業時代のISO、GMPというの
は実に頭の痛いテーマでした。何故今回のプロジェクトで標準化かということです
が、要は、これまでセルラーゼ関係の研究者達が皆ばらばらな評価法で己の酵素を
評価してきたために、どれが本当に優れた酵素か論文を読んだだけでは判断できな
いという状況に対し、高機能糖化酵素創成に向けた研究開発を効率化するために、
性能が正しく比較評価できる共通の物差しを作ろうと考えたのです。
 プロジェクト開始時、PLの森川先生から、活性測定法の標準化などという仕事は
大学等では絶対にやれず、これこそセンターラボの仕事だからきちんとやるように
との指示がありました。前回述べたバイオマス基質の不均一性の問題が頭にありま
したので糖化能測定法の標準化は難しいだろうなと思いながらも、活性測定の基礎
となる還元糖とたんぱく質定量法の検討から着手しました。還元糖についてはDNS
法、ソモギー・ネルソン法、テトラゾリウムブルー法を、タンパク質については
Bradford法、Lowry法について検討しました。
 これらの検討の中で実験書記載の代表的定量法にも発色安定性に大きな問題があ
ること、同じグレードの試薬を用いてもメーカーにより発色安定性に大きな差があ
ること、汎用されている定量用キットでも品質管理にやや問題がありそうなことな
どを見いだしました。
 種々問題はあったのですが、最終的にDNS法とBradford法を標準化法として選択し
ました。これらの検討においては特定実験者および実験者間における繰り返し実験
のデータのばらつきをCV%として評価し、精度が確保される処方を定めました。ま
た、DNS法では糖の種類によって呈色性が大きく異なること、たんぱく質定量におい
ても方法と標準物質の組み合わせによって定量値が大きく異なることも再確認しま
した。要は、これら種々の問題点をきちんと理解した上で目的に応じた定量法を選
択することが重要であるということを再確認した次第です。
 次いで、FPU、CMCase、BGL(cellobiose,pNPG)、Xylanase、β-Xylosidase活性測
定法の標準化について検討しました。ここでは代表的市販酵素を用いて基質濃度と
活性の関係を中心に検討し標準化法として妥当な精度が得られる方法としました。
最も重要なバイオマス糖化能測定の標準化法としては基質濃度5(w/v)%、pH5.0、
50℃、2mlの系で評価する方法としました。この場合のCVは3%程度と満足のいくも
のでした。さらに、プロジェクトで重要課題となっている新規取得酵素の評価のた
めに、多数の極少量サンプルでも迅速かつ正確に評価できるハイスループット法と
して、96穴ウエルプレートを用いて基質濃度3(w/v)%、500μl反応系で評価する方
法を開発しました。
 この方法の最大の問題は各ウエルに15mgの基質が均等に配分されるかという点に
あり、精度がどの程度になるか危ぶんでいたのですが、CV3%程度と満足できる結
果でした。このようにして一応、ハイスループット法はできたのですが、私は、得
られたデータについては極めて注意深く見る必要があると考えております。15mgの
基質を対象にした評価結果から将来の工業スケールでの製造技術の根幹を作ろうと
するわけですから、あくまでも慎重なものの見方が必要です。
 このような巨大なスケールアップ倍率においても、優位性が発現できるような酵
素の性能の差を、最初はこの極小スケールの評価で見いだそうとしているわけです
から。前回も述べましたが、我々の仕事はあくまで現場現物主義でなければ実用化
技術につながりません。当然ですが、FPUも、CMCaseも、BGLも、Xylanaseも全てそ
の糖化酵素の一面を現す指標でしかなく、あくまでもこれらの活性の総合的なアウ
トプットとして現れるバイオマス糖化能こそが問題なのです。この目的が正しく評
価されるような系でなければ何の役にも立たず、紙の上の絵空事で終わってしまい
ます。
 これらの標準化法により国内外から収集したNovozymes社、Genencor社、明治製
菓などの商品について各種活性を測定しました。ここでの注目点はTrichoderma
由来酵素の欠点と言われるBGL活性の問題です。海外酵素メーカー2社はこの点を改
良してきたと言われておりましたが、我々による評価結果からもこのことは明確に
確認できました。また、Xylanase活性の改良動向も把握できました。さらに、これ
ら主要酵素の成分についてのSDS-PAGE等による解析結果からはこの2社の開発戦略
の違いも把握できました。
 次いで、これら各社の酵素の特性を理解した上で、前回述べたバイオマス標準前
処理標品に対する糖化性能を比較評価しました。この目的のために、標準前処理標
品が必要だったのです。これらの評価結果については既にシンポジウムなどで報告
していますので詳しくは述べませんが、BGL活性、Xylanase活性の強弱などが糖化
成績にきれいに反映されていることを確認しています。当たり前のことですが、バ
イオマスの糖化効率はバイオマス前処理物と酵素のそれぞれの特性の関係で決まっ
てくるのです。
 今回、我々が確立したこれらの標準化法にはまだ問題点もあり、荒削りな部分が
あります。これらの方法は順次公開される予定ですので皆様方からもご意見をいた
だき、改良してより良いものに仕上げていきたいと考えます。少なくとも国内でバ
イオマス糖化に関わる研究者が統一した基準の下にお互いの酵素の性能を評価した
ら、研究開発の効率化、ひいては税金の無駄使い削減につなががるのではないでし
ょうか。
 最後に私の田舎暮らしの話しの続きで、子供会向けの野菜作りの話しです。町内
に市から管理を委託された緑地がありまして、ここで子供たちに野菜のオーナーに
なってもらって、育て、収穫してもらうことにしました。ジャガイモ、サツマイ
モ、枝豆、トマト、トウモロコシ、カボチャ、キュウリ、ゴーヤ、スイカ、各種ハ
ーブを育てています。朝、子供達がスイカの雄花を摘んで雌花に受粉させてから登
校してくれる姿を期待しています。隣にはカボチャもありますので、体中花粉だら
けにして飛び交うミツバチの姿に感動してくれればと思います。また、無農薬で育
てたトウモロコシの実態を見て何かを感じてくれればと思います。
 若いお母さん方に言うのです「大都会のこの年頃の子供たちは毎日塾で大変な受
験勉強をしています。この田舎育ちの子供達が競争で勝つには実体験で得た知識で
対抗するしかないのです。精々、色々な実体験を積ませてやってください。この中
からは幾らでも夏休みの自由研究の課題が見つかりますから」と。いまいちお母さ
ん方の反応が良くないのが気がかりです。夏休みには枝豆の根瘤菌を顕微鏡で見せ
てあげられないものかと考えています。近々、子供たちを集めて野菜の育て方の勉
強会を開きます。この子供たちの中から将来農学部に進む子供が出てくれたら嬉し
いなと思います。田舎暮らしには楽しいことが一杯です