こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 GreenInnovationメールの第1週目は、バイオインダストリー協会先端技術・開発部の大島一史部長に担当いただきます。長くバイオプラスチックに関わって来られたご経験に基づき、最近のバイオプラスチックを巡る動向の解説や、普及に向けた提言などをいただきます。今回は、汎用樹脂のバイオプラスチック化の話題です。
 さて、このGreenInnovationメールですが、第1週は大島部長、第2週はバイオインダストリー協会つくば研究室の小林良則室長、第3週は京都大学大学院農学研究科海洋微生物学分野の澤山茂樹教授、第4週は北海道で技術戦略マネジメント・オフィスというコンサルティング業を運営しておられる飛谷篤実さんにコラムを執筆いただいていますが、6月は第5週があります。そこで、第5週ではこのGreenInnovationメールに対してお寄せいただいた皆様からのご意見を掲載したいと思います。メールマガジンの内容に対するご意見でも、政府の政策などに対するご意見でも結構です。バイオマスやバイオプロセス、バイオ燃料、アグリバイオ、マリンバイオなどのいわゆる「グリーンバイオ」に関して、皆様からのご意見を掲載しますので、ぜひとも下の投稿フォームからご投稿願います(なお、お寄せいただいたご意見のうちの一部のみの紹介となる可能性もあることを事前にご了承ください)。

※※みなさまからのご意見、ご批判をお待ちしております。
https://bpcgi.nikkeibp.co.jp/form-cgi/formhtml.cgi?form=ask_pass4/index.html

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◆バイオプラスチック革命◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   - 新たなトレンド:既存樹脂のバイオ化 -
                  バイオインダストリー協会・大島一史部長
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 これまでバイオプラスチック(BP)と言えば決まってポリ乳酸(PLA)やポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の動向が紹介されていました。PLAは唯一と言ってもよい大規模生産設備によって製造されているBPであり、PHAはそのバイオプロセスに対して多くの研究者が関心を寄せていることが背景にあります。いずれも既存樹脂にない新たな分子構造を持つことから、これまでにない特性が期待されて来ました。
 ところが最近は既存樹脂原料のバイオマス化への切り替えに関心が高まり、昨年は実際にバイオPET(ポリエチレンテレフタレート)、バイオPE(ポリエチレン)、バイオPU(ポリウレタン)などが上市され、容器包装や自動車部材等への本格適用が始まろうとしています。今後のBPの展望を見るときに、最も重要な要素とも思えるこの流れについて、今回および次回に分けてここ数年の動向を見ておくことにします。
<バイオポリオレフィン>
 2006年8月に化学技術戦略推進機構・戦略推進部(当時:現在は新化学技術推進協会へ移行)は、原油高騰とバイオ・エタノール合成コストの低減を背景に、バイオ・エタノールの脱水反応からエチレン(“バイオ・エチレン”)を合成してPE、さらにバイオ・プロピレンへ変換してバイオPP(ポリプロピレン)を製造する構想を公表しています。
 海外ではブラジルBraskem社がサトウキビ由来バイオ・エタノールからの高密度PEの工業生産を公表(06年6月21日)し、本格生産を2010年10月から開始しています(規模20万t/年)。これを追うように米Dow Chemical社もブラジルでCrystalsev社(バイオ・エタノール製造)と合弁でバイオPEを製造し、2011年に35万t/年のプラントを稼働させると、07年7月に発表しています。
 Braskem社のバイオPEは“グリーン・ポリエチレン”と銘打ち、パイロット・プラントによる試作品が協同開発者である豊田通商によって国内に導入され、北海道庁主導で開催された洞爺湖サミット記念環境総合展2008において道庁展示ブースでバッグが展示・配布されたのを皮切りに、バイオジャパン2008、NEW環境展2009、エコプロダクツ展2009、さらに東京パック展2010でも多種多様な試作品が出展されてきました。2011年の国内導入数量は5万トン程度と見込まれており、既に資生堂による化粧品容器、アイセロ化学による包装、福助工業による規格袋などへの展開が公表されています。最近は日本ポリエチレンの技術支援を得て国内販売の強化が公表されました(2010年12月07日)。海外でも食品用紙容器の開発製造事業者であるスウェーデンのTetra Pak社がラミネート用として、このグリーン・ポリエチレンの年5000tの導入を公表しており(09年11月25日)、海外での関心も高い模様です。
 最近、東京大学の平尾研究室が豊田通商およびBraskem社との共同研究の下で、このバイオPEが我が国に輸入されて容器包装へ成形加工され、使用後にサーマル・リサイクル処理された場合のGHG(温室効果ガス)排出量を評価した結果が発表され、それによると1.35kg-GHG/kg-“green PE”であり、既存の石油由来PE製品の4.55kgから5.10kg-GHG/kg-“conventional PE”と比較して70%から74%低いと公表されました(豊田通商プレスリリース:2010年11月18日)。
 最新の情報によれば、Braskem社は2013年にバイオPPの製造も開始するとしています(規模は3万t/年)。PEとPPは我が国のプラスチック市場規模(ポテンシャルとしておおよそ1450万t/年)のそれぞれ20%強程度を占める典型的な汎用プラスチックですが、その一部がBP化されるインパクトは極めて強いと思われます。
 7月7日発行の次回はバイオPET以下、既存樹脂のBP化動向を概観します。